二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ~キセキの世代と姫君~ ( No.2 )
- 日時: 2012/08/07 20:56
- 名前: 久遠 (ID: lUcqHz23)
- 第1Q「…あなたは、誰?」 
 東京のとある地域に住む双子の兄妹がいた。
 二人は本当に仲が良く、二人で一緒にいることが多かったという。
 けれど、兄は親に溺愛され、妹は虐待を受けていたという。
 学校にも通わせてもらえず、いつも暗い部屋に閉じ込められ、人間として扱われない日もあったという。
 その片割れはいつしか、もう一人の"自分"を生みだした。
 そのもう一人の"自分"が自分を守ることとなった。
 そして、ある日突然兄の存在が消え、親の罪が問われる日が訪れたのだ。
 孤咲side
 焼香の匂いが私の鼻をくすぐる。
 聞える音は鼻水をすする音。
 そして空気は悲しみに包まれていた。
 (私が死んでも、たくさんの人が悲しんでくれるだろうか。)
 などという、考えに浸っていた時、近くにいた叔母さんが肩を叩いて
 「大丈夫かい?」
 と、声をかけた。
 「お兄さんは死んじまったし、親は二人とも無期懲役…。今はさ、泣いたっていいんじゃない?」
 _________そう、今執り行われているのは私の双子の兄、白檻心葉の葬式だった。
 そして目の前には彼の遺影。
 それを見るたびに、もう彼が帰ってこないということを実感する。
 「うっ…うわあぁぁぁぁ」
 叔母さんに肩を抱き寄せられ、その時、声をあげて泣いた。
 * * *
 それから数時間後。
 私は庭にいた。
 太陽は沈み、月がのぼる。
 「…心葉君…。」
 満月の月を見上げながら小さく呟いた。
 彼の死は、私にとって大きなものだった。
 彼の死によって私の心の中には大きな穴が開いた。
 (…人前であんな風に泣いたの久々だったなぁ…。)
 もう心葉君の死について考えたくなくて先ほど、声をあげて泣いたことを考える。
 (最後に泣いたのはいつだっけ。)
 と考えようとした時、後ろから足音が聞こえた。
 振り返ると、赤い髪の金と赤の私と同じオッドアイの同い年の男の子が立っていた。
 (…なんだろう、この感じ。)
 一瞬、全身の毛が逆立つのを感じた。
 (父様と母様と似た雰因気…。)
 「君が、孤咲だね。」
 「…あなたは誰?」
 これが、過去の人生との決別と新しい人生の始まりだった。
