二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ~キセキの世代と姫君~第1Q更新 ( No.5 )
- 日時: 2012/08/09 21:23
- 名前: 久遠 (ID: lUcqHz23)
- 第2Q「それ、あげる。」 
 「俺さ、妹がいるんだ。」
 とある日のこと。
 ミーティングルームで白檻心葉と将棋をしていた時だった。
 「…なんだい、急に。」
 突然、心葉がおかしなことを言い出した。
 「いや、さ…。赤司には話しておこうかなって。…頼れる主将だし?」
 「なぜ疑問形なんだ?」
 「んー…。なんとなく?」
 「マネージャーのくせに生意気だね。」
 そう言って赤司が一手を打つ。
 ______そう、彼らの関係は主将とマネージャーなのだ。
 「…しかしなぜ、君はマネージャーなんだ?」
 「…と、言うと?」
 「君は選手向きだと思うのだが。」
 「そうかなぁ?僕、今のままで十分だと思うよ。」
 「しかしだな、」
 「いいんだよ、赤司。」
 赤司の言葉を遮るようにしてそう言った心葉。そして少しだけ悲しそうな顔をして、
 「…良いんだ。」
 と呟いた。
 ______それが彼との最後の会話だった。
 赤司side
 「…あなたは誰?」
 完全におびえた目をした彼女。
 ボクを警戒しているのは明らかだった。
 「ボクは赤司。赤司征十朗。君のお兄さん…心葉の同級生さ」
 できるだけ優しい声色で、優しい笑みでそう言うが、警戒を解かれることはなかった。
 「…そんな人がどうしてここに?」
 「葬式に参列したからさ。そしたら君がここにいたから。」
 「…そうなんですか。」
 ぷつり、と会話が途切れる。
 (それもそうか。彼女は…)
 「おーい、赤司ー!」
 遠くでボクの名前を呼ぶ声がする。
 すると、彼女はその場から離れようとした。
 「ねぇ、これ。」
 離れて行く彼女に声をかける。
 そして彼女が振り返ったと同時に一つの箱を投げ渡す。
 「…!?」
 それを何とかキャッチした彼女は不思議そうな目でボクを見つめる。
 「それ、あげる。」
 そう言い残してボクはその場を離れた。
 * * *
 「赤司、おまえどこ行ってたんだよ。」
 葬式が終わったと同時に制服を着崩したらしい青峰が不機嫌そうな様子で言った。
 「ちょっとね、彼の遺族に挨拶をしに行ってただけさ。」
 「あいつに遺族なんていないのだよ。」
 すると今度は緑間が眼鏡の縁を押し上げながら冷めた口調で言った。
 「緑間の知らない、あいつの遺族さ。」
 「…どういうことだ?」
 緑間の鋭い目を一瞥して、
 「さぁ、学校に帰るぞ。」
 1人先に歩き出した。
 それが、彼女と僕らの出逢いだった。
