二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- だいすき!! / りんご村life
- 日時: 2010/08/28 14:28
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
- こんにちは! はじめまして。瑠璃です! 
 受験生なのに2スレ目……orz
 どうしても書きたかったんです、どう森←
 私が初めて掲示板に小説書いたときの話をアレンジしつつ書きたいと思います。
 よろしくお願いします!!
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- Re: だいすき!! / りんご村life ( No.1 )
- 日時: 2010/08/28 15:31
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
 00 どこ?
 車がごうごうと、うなるような音を立てながら走る。
 周りを見渡せば、ビル、ビル、ビル……。
 最寄の駅には人が溢れかえり、周辺の店は若者で賑わう。
 「はーあ……」
 「あおいー!? ため息なんかついてないで、こっち手伝ってー」
 「……はーいっ」
 人と物が溢れかえるこの街で、あたしは育ってきた。
 そして明日、中学生になる。
 つばき姉ちゃんが出て行って、もう8年。あのときつばき姉ちゃんは12歳。
 あやめ姉ちゃんが出て行って、もう6年。あのときあやめ姉ちゃんは12歳。
 あたしは、2人が出て行ったときと同じ年になった。
 明日、あたしは家出する。
 あたしが笑って過ごせる場所はどこ?
 姉ちゃんたちがいる場所はどこ?
 ———その答えを探すため。
- Re: だいすき!! / りんご村life ( No.2 )
- 日時: 2010/08/28 17:22
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
- 登場人物 
 ★あおいの同居人
 あおい ♀
 主人公。元気で明るい。
 都会の生活が嫌になり、姉探しをかねて家出する。
 つばき ♀
 あおいの上の姉。大人っぽくてちょっとクール。
 意外に不器用。
 あやめ ♀
 あおいの下の姉。短気だが器用で家事が得意。
 中でも料理が得意。
 レン ♂
 あおいの小学校時代のクラスメート。
 両親が海外へ出張のため、一時的にりんご村に来る。
 ★施設のどうぶつ
 たぬきち ♂
 村の商店の店長。せこい←
 きぬよ ♀
 服屋の店員。接客担当で気さく。
 あさみ ♀
 服屋の店員。服作り担当で人見知り。きぬよの姉。
 ぺりこ ♀
 役場の職員。優しくて礼儀正しい。
 ぺりみ ♀
 役場の職員。ぺりこの姉だが態度が悪い。
 ぺりお ♂
 役場の職員。郵便物配達担当。
 フータ ♂
 博物館の館長。虫が嫌い。
 フーコ ♀
 フータの妹。博物館2階の天文台担当。
 マスター ♂
 博物館脇の喫茶店「ハトの巣」で働く。無口。
 もんばんさん ♂
 きりっとしているしっかり者。
 もんばんさん② ♂
 なんか頼りない。
 村長 ♂
 自分大好きな村長。目立ちたがり屋。
 ★住人
 ちとせ ♀ わたし系
 優しくて礼儀正しい。ぺりおに憧れているらしい。
 マーサ ♀ アタイ系
 夢見がち。いつか幸せな恋をしたいと思っている。
 シルエット ♀ あたし系
 何かと経験豊富な様子。ペンタと仲が悪い。
 ロビン ♂ ボク系
 ママとちとせが大好き。食べ物も大好き。
 ペンタ ♂ おいら系
 筋トレ大好き。デリカシーが無い為、モテない。
 アポロ ♂ オレ系
 クールで大人。釣りがプロい。
- Re: だいすき!! / りんご村life ( No.3 )
- 日時: 2010/08/29 16:14
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
- 01 タクシー 
 「あんな田舎の村に引っ越すなんて、変わってるっぺな、お客さん」
 「そう? こんなところより随分マシだと思うけど」
 「便利だけどな、都会は」
 黄色い古ぼけたタクシーに乗り込んだあたしは、運転手とぽつりぽつり会話を交わしていた。
 「親御さんにゃ、納得してもらえたっぺか? 田舎に1人で引っ越すなんて、反対するっぺ?」
 陽気な運転手は、一応客のあたしに向かって平気でタメ口を使っている。
 変な運転手だ。
 「———いいよ、あたし、家出したから」
 「家出ぇ!? そうか、そうか……」
 まあでも、あそこはいい村だっぺ。
 運転手が独り言のようにつぶやいたとき、窓に水滴がひとつ、落ちた。
 ふたつ、みっつ、よっつ……
 すぐに、数え切れなくなった。土砂降りだ。
 「せっかくの門出の日に、雨か———」
 ———ごうごうとうなるような音。
 ……あの、道路の音?
 あたし、家出したんじゃ……
 「———!?」
 はっと目が覚めると、タクシーはトンネルに入っていた。なんだ、トンネルの音だったのか、と少し安心した。しかしこの音は、あたしにとって不快極まりないものだった。
 「お客さん、起きたっぺか?」
 「え、ああ……うん」
 乱れたポニーテールの髪を軽く整えながら、あたしは気の無い返事をした。
 「お客さんは、名前、なんていうんだ?」
 「……あおい」
 「あおい、か。いい名前だっぺな」
 可愛い名前だね、と言われたことはあったけど、いい名前と言われたのは初めてだった。
 「運転手さん」
 「なんだっぺー?」
 「……ありがとう」
 運転手は、少し照れたように笑って、
 「もうすぐ着くっぺよ、りんご村に。トンネル抜けたらすぐだっぺ」
 と言った。前方に光が見え始めているのがわかる。
 「……楽しみ!」
 ***
 大きな建物の前の石畳の上で、タクシーはゆっくりと止まった。
 「ありがとう、運転手さん」
 「体に気をつけるっぺよ。新しい村、楽しめよ。そこが役場だから、いろいろ聞くといい」
 「うん!」
 ドアを閉めると、タクシーはクラクションを鳴らし、走り始めた。
 「さようならー!」
 見えるはずはないけど、豆粒くらいの大きさになったタクシーへ向かって手を振った。
- Re: だいすき!! / りんご村life ( No.4 )
- 日時: 2010/08/30 13:58
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
 02 あやめ?
 カランカランと音を立て、役場の扉は軽々と開いた。
 「こ、こんにちはー……」
 「あら、こんにちは。あおいさんですね?」
 「は、はいっ」
 突然挨拶を返された上に、名前まで呼ばれたものだから、あたしは焦った。声のする方を見ると、白いペリカンさんが、役場の制服らしき服を着て微笑んでいる。
 「じゃあ、どうぞこちらへ。私、ぺりこと申します。昼間は、この役場で毎日受付をしています。よろしくお願いします」
 「あ、ああ、よろしくお願いします!」
 自己紹介には慣れているのか、ぺりこさんは柔らかな口調で、すらすらと言葉を紡ぎ出す。さすがだ。
 「夜間は、私の姉が受付をしています。何かあったら、遠慮なく私たちに声をかけてくださいね」
 「はい、ありがとうございます!」
 優しいぺりこさんの言葉に、少なからず不安を抱えていたあたしは安心し始めた。
 「それで、あおいさんの家なのですが、この地図の……えーと、ここです」
 「あ、役場から結構近いんですね」
 「ええ、そうです」
 ぺりこさんが指差した場所を目で追う。ついでに、家以外の場所にも目を通す。商店、仕立て屋、博物館……やっぱり田舎みたいだけど、あたしが住んでいた場所に比べれば、この村はとても魅力的に思えた。
 「では、こちらが家の鍵です。あおいさんはあやめさんと共同生活ということになりますから、まずは家に行って挨拶をしてくるといいと思います」
 地図の上に鍵を置き、ぺりこさんはさらりと言う。
 「ええっ、共同生活なんですか!? 意外だなぁ…………———え?」
 「え、どうかなさいましたか?」
 ……共同生活?
 ……あやめ??
 「あっ、あああああああありがとうございました、ぺりこさああああん!!」
 あたしはひったくるように地図と鍵を掴むと、もうダッシュで役場を飛び出した。
 ……あやめ、……あやめ、……あやめ姉ちゃん!? ……ありえない!!
 あたしは興奮しながら、赤い屋根の家にたどり着いた。
 「……ここか」
 ごくりと唾を飲んで、あたしはドアノブに手を掛けた。
 がちゃっと音がした。
 あれ、あたしまだ、開けてない———
 「痛っ!!」
 「えっ!?」
 あまりの激痛に、思わずしゃがみこんだ。額にドアがぶつかったのだ。
 「〜っ」
 「ご、ごめんね、ごめんね!? だ、大丈夫!?」
 涙目になりながら顔を上げると、そこには……
 「あやめ姉ちゃん!」
 6年前と何も変わらない、紛れも無いあたしの姉がいた。
 「あおいぃ!? どうしたの、あんた」
 「どうしたのじゃないよ!! 痛いよ、おでこ!!」
 「……そっちか」
 ま、入りなさいよと言うあやめ姉ちゃんの後に続いて、あたしは家の中に入った。
- Re: だいすき!! / りんご村life ( No.5 )
- 日時: 2010/08/30 14:19
- 名前: 瑠璃 ◆QPwXafSX2I (ID: gWH3Y7K0)
 03 つばき?
 「何でここに来たの、あおい? まさか、あたしがここに居るの知ってたの?」
 「知る訳無いじゃん! 偶然だよ、偶然! もう、信じられない。って言うか、2話でもう探してた人に会っちゃうってどうなの。展開としておかしいでしょ」
 「いや、その辺はあたし知らないけど」
 あやめ姉ちゃんの寝室だと言う屋根裏部屋で、あたしたちは状況報告を始めた。
 「あんた、あたしたちの真似したの? あたしたちと同じ年になったら家出しようって決めてた、とか?」
 あやめ姉ちゃんはふうっとため息をつきながら、自分の物らしい赤いベッドに腰掛けた。あたしもその隣に座る。
 「まあ、そうなんだけど。だって、あたし、あの場所嫌いだったの」
 「まあ、気持ちはわかるけどね。あたしはお母さんとケンカして家出したけど」
 「ああ、そんなこと、あったっけ」
 あやめ姉ちゃんは、確か1人暮らしがしたいって言い出して、それでケンカになったのだ。
 あたしがそんな遠い日のことを思い出していると、あやめ姉ちゃんは思い出したように言った。
 「あ、ねえあおい、つばき姉ちゃんと話す?」
 「……は?」
 「ほら、ケータイで」
 あやめ姉ちゃんがポケットから取り出した物を見て、あたしは脱力した。
 「……まさか、連絡なんてすぐ取れる状況だったりする?」
 「当たり前。だってあたし、もう18だよ? あおいみたいなお子様とは訳が違うの」
 「くっ……」
 あたしはがっくりと肩を落とした。何、この展開? 普通人探しって、何年もかかるものじゃないの? 調子狂っちゃうよ。心の中で愚痴をこぼす。
 すると突然、大音量の電子音が流れた。
 「っ!?」
 「あ、噂をすれば。つばき姉ちゃんからだよ」
 「え?」
 携帯電話のディスプレイに映し出された文字を見て、あたしはもう驚くのにも飽きてしまった。
 「もしもし? ねえ聞いてよ! あたしあおいと居るの、今!! ……へ? うん、うん……はぁ!? 何それ!? ……うん、ああ、ユキちゃんの……うん、うん、……」
 どうやら、また何か起こるみたいだ。何だか、もう何が起こっても驚けない気がする、あたし。
 5分ほど会話をした後電話を切ったあやめ姉ちゃんに、あたしは尋ねた。
 「何だって、つばき姉ちゃん?」
 「それが、つばき姉ちゃん、明日この村に来るらしいんだけど……」
 その言葉を聞いた瞬間から、あたしはやっぱり驚くのだった。
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