二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.31 )
- 日時: 2009/12/14 21:12
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 プロローグ-
- 俺の幼馴染、御神は人に心を開かない性格だった。 
 
 御神は、『一人の方が楽。』といつも言う。
 
 でも、俺は心配で、一人のクラスメイトに仲良くしてくれないか、と言った。
 
 この事が“キッカケ”になることも知らずに。
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.32 )
- 日時: 2009/12/14 21:13
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 1p-
- 朝。 
 
 俺は一人で学校に行った。
 
 いつもは御神と行くが、今日は少し遅くなりそうだったから先に行ってもらった。
 
 教室の扉を開けると、
 
 御神が本を読んでいた。
 
 やっぱり一人か。
 
 『あ、おはよう。』
 
 「おはよう。御神さ、俺意外と仲良くする気ないのか?」
 
 『別に、群れなくても生きていけるだろう。私は一郎太がいるだけで充分だ。』
 
 本を置いて、前を見ながら言う。
 
 「…群れって…。」
 
 俺は苦笑い。
 
 でも、女子とかと仲良くした方が楽しいと思うんだけどなぁ…。
 
 
 …-放課後((ぇ、早。-…
 
 
 
 たまたま今日用事があって部活を休んだ。
 
 一人で帰り道を歩いていると、後ろから声がした。
 
 「風丸くん!!」
 
 「…園崎?」
 
 「そ、正解!」
 
 ニコ、と笑って走ってきたのは園崎紗枝。
 
 友達が多い。
 
 あ、そうだ。
 
 「なぁ、園崎…ちょっと頼みあるんだけど…」
 
 「何?(なんだろ///」
 
 「御神のこと、なんだけどさ…。」
 
 「…天照大さんがどうしたの?」
 
 …いきなり園崎の雰囲気が変わった気がした。
 
 気のせいか。
 
 「あいつ、友達少ないだろ?でも、話してみるといい奴なんだよ。仲良くしてやってくれないかな?」
 
 「…い、いよ。」
 
 「ありがとう!」
 
 「じゃ、あたしこっちだからさ。」
 
 「じゃーな!」
 
 「うん!(…風丸君、天照大さんのことばっかり。)」
 
 これで、大丈夫だろ。
 
 友達、できるといいんだけどな。
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.33 )
- 日時: 2009/12/14 21:14
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 1p-
- 次の日の放課後。 
 
 園崎と御神が話しているところが見えた。
 
 明るい性格の園崎だし、きっと大丈夫だろう。
 
 そう思って先に部活に行くことにした。
 
 
 
 〜グラウンド〜
 
 「風丸!!…あれ?御神は?」
 
 円堂が話し掛けてきた。
 
 「クラスメイトと話してたから先に来たんだ。」
 
 「そっか。…めずらしいな。」
 
 「…そうだな。これでみんなとも馴染めるようになればいいんだけど。」
 
 「……風丸。お前鋭いくせに、自分のことになると鈍感なんだな。」
 
 豪炎寺が入ってきた。
 
 どうやら全て聞いていたらしい。
 
 「豪炎寺?何がだ?」
 
 「いや…自分で気付け。」
 
 「?」
 
 どういう意味だ?
 
 なんて考えてたら御神が来た。
 
 『一郎太。何故置いていった。』
 
 「え?園崎と話してたんじゃなかったのか?」
 
 『…先に言ってくれと言った覚えはない。』
 
 「あ、ごめん…。」
 
 『いいけど。』
 
 じゃあ言うなよ。
 
 そう言いたかったが、やめておいた。
 
 さっさと行ってしまったから。
 
 だけど今日の御神は何故かおかしかった。
 
 豪炎寺のパスをカットしようとしていた時、
 
 『ナイトメア…バタフライ!!!……。?』
 
 周りに闇が広がり、紫色の蝶がボールの周りにまとわりついてボールを止める技。
 
 周りに闇が広がるまではいつも通りだった。
 
 でも今日は、急に闇が崩れ、元の風景に戻ってしまったのだ。
 
 今まで、失敗したことなんてなかった技なのに。
 
 「…御神?」
 
 『大丈夫だ。すこし、足が滑った。』
 
 「…?」
 
 明らかにおかしかった。
 
 今日の御神は。
 
 何かあったんだろうか?
 俺はまだ、気付いていなかった。
 このとき、どうして気付かなかったんだろう。
 明らかに御神は、“足をかばって”プレイしていたのに。
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.34 )
- 日時: 2009/12/18 19:27
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 3p-
- 「ねぇ、天照大さん!」 
 放課後、部活に行こうとしている所に1人の女が来た。
 「…園崎、だったか。」
 「うん、覚えててくれたんだ♪」
 ニコッと笑顔を見せた。
 ただ…、この笑顔は偽物だとすぐに分かったが。
 「いや、なんとなく、だ。」
 「ちょっと、はなしがあってさ。屋上来てくれない?」
 「いいけど…。」
 「そう。じゃ、行こう!」
 また偽りの笑顔を浮かべ、私の腕を引っ張っていく
 ギィィとサビついたドアを開けると心地よい風が吹いた。
 「何のようだ?」
 「うん、あのね?消えてほしいんだぁ♪」
 「…。」
 「風丸君のこと好きなんだよね、あたし♪なのに風丸君ッたらあんたの事ばっかり。」
 「そんな気は…していた。園崎が一郎太の事が好きだと言う事はなんとなく。」
 「そっか!じゃ、消えて?」
 「…無理。」
 「…もーいいや。アンタが諦めるっていうなら何もしないで置こうと思ったけど…。みんな、出てきて。」
 園崎の雰囲気が変わったかと思えば、ドアの影から数人の女が出てきた。
 …。一郎太の…ファンクラブ、だったか。
 「あんた、幼馴染だからってなれなれしいのよ。知ってるでしょう?風丸君がモテること。」
 「そうだな。だが、なれなれしくして何が悪い?私は部活がある。悪いが時間がない。」
 そういって走っていこうとした。
 正直、逃げるのは嫌だったが、部活を休んで皆に迷惑かけるほうが嫌だった。
 が、
 女の一人が足を出した。
 私はつまづいて転んでしまった。
 そして、
 ダンッ という音が響くと同時に、右足に痛みが走った。
 …?
 「フフッ♪これで…サッカーできないね♪」
 「…ッ…」
 右足を、踏まれていた。
 女達は、笑い声を上げながら言ってしまった。
 「…痛ッ…」
 ズキッと足に痛みが走ったが、動けないほどではなかった。
 みんなに心配かけたくない。
 その思いから、走って部室に向かった。
 その日は、必殺技を失敗したが、みんなにはばれていないようだった。
 よかった…。
 隠しきれるハズもなかった。でも、隠すしかなかった。
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.35 )
- 日時: 2009/12/22 16:31
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 4p-
- 次の日。 
 足を見ると腫れていた。
 包帯を巻いておいたが、昨日よりも痛かった。
 「御神ー!行かないのか?」
 「あぁ、今行く!」
 一郎太と学校に向かった。
 廊下を歩いていると、
 「あ、天照大さん!」
 この怪我の原因、園崎。
 「おはよう!^^」
 「あぁ、おはよう。」
 タッ、と走って向かってきた。
 「先、行ってるな。」
 「…あぁ。」
 一郎太がそう言って教室に入っていった。
 「昨日の話の続き、いい?」
 めんどうだったが、逃げるのも性に合わないため行くことにした。
 「あぁ。」
 行く先は、
 やはり屋上だった。
 「で?」
 「うん、どう?サッカー出来なくなった気分は?」
 「…出来なくはなってないがな。」
 「え?」
 驚いたようにこっちを見る。
 「残念ながらそこまで痛くない。」
 「…。そっか♪じゃあ、近いうちにやり直すよ!楽しみにしててw」
 そう言って、行ってしまった。
 それだけのために呼んだのか、と思ったがこれ以上屋上に居るのも嫌だったので言うのはやめておいた。
 〜昼休み。〜
 「御神!!昼飯食おーぜ!!」
 円堂が話しかけて来た。
 「あぁ。先に行っててくれ。」
 そう返事して、
 今日までの課題を提出しに4組に向かった。
 「失礼しました。」
 ドアを閉めて、中庭に向かうため階段を下りた。
 そのとき、
 一郎太が向こうから来たのが見えた。
 一瞬、そっちを向いた時、
 “ドンッ”
 「え、」
 背中を押されて、階段から落ちた。
 「…ッ…」
 「御神!?」
 駆け寄ってくる一郎太。
 「大丈夫か!?」
 「大丈、夫…だっ…」
 「誰か先生呼んでくれ!!」
 何人かの生徒が走っていった。
 保健室まで運ばれて、怪我を見てもらったところ、病院に行くまででもなかった。
 大事には至らなかった。
 「…。」
 一郎太は、何か考えていた。
 どうしたんだ…?
 今日は、念のために早退する事にした。
- Re: -夢館-〜夢、売ります。〜 【イナズマ短編集】 ( No.36 )
- 日時: 2009/12/23 20:37
- 名前: 葵 ◆.rvcC1zt4s (ID: m16n.Ntt)
- 参照: -キミが居れば。 5p-
- …今日、御神が階段から落ちたとき… 
 園崎が、ニヤッと笑った。
 間違いなく。
 不自然に、御神の近くにいた。
 俺が御神を見つけたとき、園崎が手を伸ばしたのが見えた。
 もしかして御神が落ちたのは…。
 次の日、園崎を呼び出した。
 体育館裏、体育倉庫の前。
 「…御神を落としたの…お前、だよな?」
 「え?なに言ってるの…?違うよ。そんなこと、するハズないじゃ、ない…」
 声が震えていると思ったら、泣いていた。
 でも、俺は見たから。
 園崎が三上を押した所を。
 「一郎太!!」
 「…御神?」
 どうして?
 、と思った。
 が、園崎が喋りだした。
 「風丸君、あたし、何もしてないよ?信じてくれないの…?」
 「…一郎太。こいつは嘘をついている。この足の怪我だって、園崎にやられた。」
 「…。」
 御神は、嘘をつくような奴じゃない。
 だから、園崎は…
 「園崎、悪いけど俺は御神を信じる。」
 「…ッ」
 「15年間一緒に居るのはだてじゃないからな。」
 「もう、いいよ。」
 黙っていた園崎が、口を開いた。
 「え?」
 「そうだよ。全部あたしがやった。
 あたしは風丸君が好きなのに、口から出てくるのは御神御神…そればっかり!!」
 そういいながら園崎は近づいてくる。
 本能的に(?)後ずさりする御神と俺。
 体育倉庫の中に入ってしまった。
 「どーせ、あんた達付き合ってんでしょ!!そこでずっとイチャこいてろバカップル!!!」
 そう叫んで、俺たちが園崎の言った事を理解する前に走っていった。
 そして戸の所で振り返り、ガチャンとカギを閉めた。
 …え?カギ…?
 「え、ちょ、待て!!!待て!!!園崎ィィ!!!!」
 「園崎!!開けろ!!こんなところでッッ!!!」
 「だれかっ!!」
 …
 10分後(え、
 「「ゼェー…ハァー…ゲホッ…ハァッ…」」
 「ど、どうする一郎太…ここ、人通り少なかっただろ…」
 「ッ…あぁ…しかも今日は…テスト期間で部活が休みッ…」
 「う、嘘だろう…」
 部活が休みとなれば、体育倉庫まで来る人はいない。
 当然、俺らを見つける人も居ない…
 「ハァ…」
 「…一郎太。」
 「何。」
 「お前…園崎に私と仲良くしてくれと頼んだだろう。」
 「え゛…」
 バレてた。
 「余計なお世話だ。」
 グサ
 効果音でもつくかのように言葉が刺さる。
 「私は、」
 「?」
 「お前さえ……一郎太さえ居てくれれば充分だ。」
 「御神…//」
 「一郎太が好きだからな///」
 「俺も、御神が好きだ。」
 ずっと、好きだった。
 大好きだった。
 「え?」
 そういったのに。
 御神はきょとん、とした表情を向けた。
 「え?」
 「一郎太、今なんて言った?」
 「聞こえなかったか?」
 「いや、聞き間違いかと…」
 顔を赤らめながらそっぽを向く。
 「…ブッ…ククッ…」
 「わ、笑うな!!何がおかしいんだ!!」
 「や、可愛いなぁと思って…」
 「うるさいっ!!馬鹿!!」
 「赤面して言われても。」
 「!!」
 そんなこんなで、俺達は、
 晴れてやっと恋人同士ということで。
 -キミが居れば、他に何もいらなかったんだ。キミが居れば。-
