二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *あむの旅* ( No.46 )
- 日時: 2009/12/29 16:23
- 名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 2zWb1M7c)
- 「神の領域に踏み込んだ愚か者め! 今度こそ神の元へ送り届けてやろう!」 
 指輪の赤い石が輝き、コーネロの腕が銃へと変形する。連続的に、弾丸が飛び出してくる。
 「いや、オレって神さまに嫌われてるだろうからさ。
 行っても追い返されると思うぜ……おい、あむ! 俺の後ろに下がってろ!」
 あむは言われたとおり、エドワードの背後に回る。エドワードは再び両の手を合わせ、地面に当てる。練成の光が弾け、大きな壁がせり上がってきた。
 銃弾は壁にはじき返され、辺りに散らばる。火薬の臭いがあむの鼻を突いた。
 「ちっ!」
 するとコーネロはエドワードたちにくるりと背を向けた。
 よく見ると、小さな木製の扉があるではないか! コーネロは外に出ると、扉を閉めた。
 「ラン、キャラチェンジ!」
 あむは素早くランに指示を出す。ランは了解! と敬礼をした。
 「ほっぷ・すてっぷ」
 その声であむの×マークの髪飾りが、大きな赤いハートの飾りへと変化した。
 「じゃーんぷ!」
 あむは地面を思い切り蹴り、跳びあがった。風圧でスカートが舞い上がった。
 その身体は一気にロゼがいる場所まで跳ぶ。着地すると、ロゼが顔を青ざめさせながら言った。
 「な、なんですか! どうしてそんなに……」
 下ではエドワードとアルフォンスが、口をあんぐりと開けている。
 「よっと」
 ロゼの横を通り過ぎると、あむは扉に手をかけた。
 今のは『キャラチェンジ』と言う。一言で言えば、
 しゅごキャラの力を借りてパワーアップすることだ。今はランの力を借りて、人を超えたジャンプ力を手に入れたわけだ。ただキャラチェンジするしゅごキャラによって、上がる能力は全く違うのだ。
 「あれ?」
 扉に手をかけるが全く開かない。押しても、引いても固いのだ。
 「錬金術で何かしたのかな……」
 あむが横で考え込んでいると、バチバチと言う音がした。
 「よし。開けるぞ」
 いつのまにか鉄の扉が作られていた。それをエドワードは、蹴破ると言う乱暴な手法で開けた。
 その途端銃やら、槍やらを持った信者が雪崩のように入ってきた。
 エドワードはにっこりと微笑むと、両手を合わせる。鋼で出来ている腕の先がとがり、剣のようになった。そして突っ込んでいく。
 あちこちで、悲鳴が上がり、続けて殴りつける音が聞こえてくる。
 「さあ。僕たちも行こうか」
 ひょいっとアルフォンスはロゼを抱きかかえ、あむについて来て。と言った。
 信者の屍(死んでません)を避けながら、あむはアルフォンスについていった。
 *
 アルフォンスにつれてこられた場所は、教会の鐘がある屋上であった。リオールの町が一望できる、とても美しい場所である。
 例によって信者共をダウンさせ、あむは鐘に近づく。鐘は少し高い、塔の上にあった。かなり小さめだが、銅製で中々立派な細工がされている。
 「よっと」
 ランとのキャラチェンジで、金がある塔へ飛び乗る。そして鐘をつっているロープをアルフォンスが練成した、ナイフでゆっくりと切っていく。
 「ねえあむちゃん。銀時計はどうするの?」
 「この騒動が終わったら、ちゃーんとエドワードさんに返すよ」
 あむは作業をしながら言った。ロープはかなり古いものらしく、力が弱いあむでも楽々と切ることができる。あっという間にロープはすべて切れた。支えを失った鐘が地面に転がる。
 持ち上げてみると、かなりずっすりと来た。持てない訳ではないが、長くは持てない。
 さっと持ち上げると、キャラチェンジをしながらアルフォンスの元に飛び降りた。
 「あむ、有難う」
 アルフォンスに鐘を渡すと、あむは伸びをした。
 「いいえ。アルフォンスさんの役に立てたなら」
 あむは恐縮する。するとアルフォンスは優しく話しかけてきた。
 「アルフォンスさん? そんな堅苦しくならないでよ。僕も兄さんも、普通に「アル」、「エド」って呼んでくれていいと思う」
 「じゃあ。よろしくね、アル」
 アルフォンスは片手を挙げる。と、ロゼがしもどもどろに話しかけてきた。
 「さっきの話、ほんとうなの?」
 「ボク達はただ……もう一度母さんの笑顔が見たかっただけなんだよ。練成の過程で僕は全身を、兄さんは左足を持っていかれた」
 「何それ」
 あむは言葉を失う。錬金術は身体を犠牲にするようなものではないはずだ。
 「リバウンド。錬金術が失敗して、僕と兄さんの身体を奪っていたんだ。『何が』『どこ』に持って言ったのかはわからないけどね」
 「でもそこまで犠牲を払ったのなら、お母さんは」
 アルは首を横に振る。
 「でも練成は失敗した……人の形をしていなかった」
 「そんな……」
 「だからロゼ、あむ。君たちはこっちに来ちゃいけない」
 風が強く吹き、あむの髪を引っ張っていった。
 〜つづく〜
