二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第0話 突然の出来事 ( No.3 )
- 日時: 2009/12/27 19:55
- 名前: 日向 (ID: 8OAmeoNh)
- 5月上旬の朝。あたし、中村リクは一番後ろの席でぼうっと空を眺めていた。 
 「リク」
 自分の名前を呼ぶ声に、あたしは振り返った。
 振り返った先には、友達の咲、真美、千紗がいた。
 「どうしたの?」
 あたしは、ボーイッシュヘアが特徴の咲に話しかけた。
 「国語の宿題、やってある?」
 「あぁ、あの面倒くさい文章問題ね。勿論やってあるよ。答えあってるか分からないけど」
 「助かった。あれ、今日の4時限目に提出だったから、困ってたのよ」
 「全く、しょうがないね。まぁ、同じ養護施設の友達として当然のことだけどね」
 「あははっ、まぁね」
 そう話していると、フワフワヘアが可愛らしい真美が話しかけてきた。
 「リクちゃん。実は、私生徒会の手伝いで先生に頼まれている用事が出来ないの。代わってくれる?」
 「OK、先生の用事ね。大丈夫だから思う存分生徒会の手伝いしなよ」
 「えぇ。本当にありがとう、リクちゃん」
 そう微笑んでお礼を真美に、三つ編みヘアの千紗が話しかけてくる。
 「二人とも、リクちゃんに頼りすぎだよ?」
 「だって、リクしかれる人が居ないんだもの」
 「そうよ。リクって三年の先輩方に人気だもの」
 「そうだったの?あ、だから先輩達にクッキーとかくれたんだ」
 「え、自覚してなかったの!?」
 「じゃあ、リクちゃんがこの学校の【王子様】って呼ばれてる事も知らないの?」
 「・・・・・・初耳なんだけど・・・・・・」
 「リクちゃん、男女問わず人気だから」
 「そうなんだぁ・・・・・・。まぁ、何とかなるでしょ」
 「全く」
 「ふふっ、リクちゃんらしい」
 「だね」
 そう話しながらあたし達は笑った。
 あたし達四人は、【夢咲学園】と呼ばれる養護施設で育った幼馴染。
 咲は5歳の時に両親が稼業の失敗によって夜逃げしてしまい、施設に引き取られた。
 真美は赤ん坊の頃に両親を亡くしてしまい、施設に引き取られた。
 千紗は母子家庭だったらしくて、1歳の頃に母親によって施設に引き取られた。
 そしてあたしは、咲と同い年の時に、両親が交通事故に遭ってしまい、施設に引き取られた。
 だから、あたし達は常に一緒。勉強する時も、ご飯を食べる時も、何かで遊ぶ時も一緒。そんな関係だ。
 「でも、何であたしが【王子様】って呼ばれてるの?」
 「そりゃあ、王子様みたいに何かと助けてくれるし、笑顔がいつも優しくて可愛いからでしょ」
 「それに、リクちゃんは料理も裁縫も上手で、とっても力持ちだし」
 「後、いつも助けてくれるから」
 「そ、そういうものなの・・・・・・?」
 あたしの質問に答えた皆にあたしはフゥッと息を吐いて椅子に寄りかかる。
 「リクって、高1にしてはスタイル良いもんね」
 「そうかな?標準でしょ?」
 「ううん。今リクちゃんの背って167cmあるでしょ?もう先輩方の背を超えてるよ」
 「それに、結構あるし・・・・・・」
 「こらこら。勝手に人の胸を見ないの」
 じーっと羨ましそうにあたしの胸を見る千紗に一言。
 「リクって成績優秀だしね。この高校の受験だって首席だったでしょ?それで、超進学校の誉高校からスカウト来たでしょ?それなに、あんたは断って・・・もったいない」
 「だって、あんな学校に行ったって、意味ないよ。それに、面白くない」
 「面白くない?何それ?」
 あたしの言葉に咲は疑問を持った。
 少し考えながらあたしは頬杖を立てて。
 「だって、ああ言う学校での文化祭って娯楽系とか飲食系とか禁止で、家族しか入っちゃいけないとか、そういう校則があるからね」
 「・・・それは、そうかも」
 「それに、こんな平凡な日常より、もっと楽しい事とかしてみたいし」
 「例えば?」
 千紗の質問に、あたしはこう答えた。
 「例えば・・・・・・、魔法を使う事とか」
 あたしが言ったその言葉に、
 「ぷっ、あはははははははっ!魔法、魔法ねぇ。さっすがリク!面白すぎ!!」
 咲は大笑いした。
 勿論、真美も千紗もつられて笑った。
 「ふふっ、リクちゃんらしいね。でも、そんな事してみたいかも」
 「うん!私もしてみたい!」
 「まぁ、無理だけどね」
 そう言いながらあたし達は大笑いした。
 すると、咲が黒板の上にある時計を見た。
 「あ、もうすぐHRが始まるよ。確か、1時限目は数学だっけ?」
 「そうだね。ま、どうせつまらないけどね」
 「もう、リクちゃんったら」
 「あ、そうそう。その時間になったら、面白い事してあげる」
 「面白い事?」
 千紗は問いかけたけど、あたしは笑顔で。
 「うん。それは見てのお楽しみ」
 「そっか。楽しみにしてるよ」
 「後でね」
 「じゃあね」
 「バイバイ」
 そう話しながら咲達は各自自分の席に座った。
 あたしは窓から見える青空を眺めながら1時限目を待った。
 まさか、あんな事になるなんて思いも知れなかった—————・・・
