二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: とある暇人の超圧水砲 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/31 00:00
- 名前: 鯖味噌 ◆/UYeS30HBo (ID: JPqqqGLU)
- 【第一話】 
 眠い、そしてだるい。さらに暑い。
 それら諸々を痛感しながら、俺——樋口康人は夏の蒸し暑さから逃げるようにとある公園の木陰で、氷の塊片手に横になっていた。いや現在進行形でなっている
 というかさっきまで寝ていた。その間絶えず分泌されていた汗で制服はぐっしょり。夏休みだってのに制服着用なんて難儀な話だ
 夏というものは実に過ごしにくい。とにかく暑い
 よく「エアコンのきいた室内に長く居ないようにしましょう」と聞くが、まだ若い少年少女に蒸しパンになれというのだろうか。残念だが俺は菓子パンにはなりたくない
 また、服を脱ごうとしても限界はある。外に渦巻くヒートアイランドでは抵抗することなくただ焼かれるだけだ
 さんさんと、めらめらと、ぎんぎらぎんにさりげなく輝く太陽はまだ真上にいる。これから更に暑くなることであろう
 「あー……あっちー」
 ぼつりとひとりごちて、再び意識を闇へ戻す——正確には寝ようとしたとき
 よく通る鈴のような声が聞こえた。俺の意識を闇から引きずり出すには十分な声量。実に五月蠅い
 「ちょっとそこの殿方!こんなとこで仕事もせず、なに横になっておりますの!?」
 声のした方向を首だけ回して見る。そして声の主をみてげんなりした
 それは、きれいな茶髪をツインテールにした少女。端正な顔立ちで、捉えようによってはかわいいと言えなくもなくもない。
 もっとも客観的に見てだが。俺は正直どうでもいい
 そいつは俺と同じように、見てるだけで暑苦しい制服を着ている。が、その制服は俺の平平凡凡制服君とは天と地の差。いや別に制服がすごいんじゃなく、学校がすごいんだけど
 それは、この都市で5本の指に入るといわれ、さらに世界有数のお嬢様学校というとんでも名門校。常盤台中学の制服だった。
 俺のは平平凡凡の中学校な。制服と同様に
 その名門制服を見せつけるそいつの腕には、盾のマークのついた腕章。
 「お嬢さん。なにか御用でござんしょか。私は只の今まで昼寝に勤しんでいたのですが」
 「よくもまぁ、『風紀委員』の仕事をさぼっておいてそんなことが言えますわね……」
 風紀委員——この都市の治安維持に努める学生選抜の組織。入るにはそれなりに試験を受けてそれなりのことをしないといけない。詳しいことは覚えていない。
 めでたく受かった人には、先ほどのお嬢さんがつけていた腕章を支給され、晴れて入隊と言う流れだ。
 ふと、自分のズボンの右ポケットの辺りを探ると、ぐっしょりとした腕章がでてきた。これは俺。風紀委員第177支部所属の俺の腕章である。
 腕章をめんどくさいからつけないという人がいると聞いたことがあり、俺もそれにならって昼寝の時にはつけていない。ポケットの中で俺といっしょに眠っている
 「あれ、今日も仕事あったんですか? お嬢さん」
 「だからワタクシがここにいるわけですが? それとワタクシには白井黒子という名前があるのです。変にかしこまられると気持ち悪いですわ」
 「お嬢さんは気に入らない……と。じゃあガチレズとかでいいか」
 「まぁ、お姉さまへの愛情表現をそのような形で取られるとは心外ですわ。それをあだなに使われるのも」
 「さいですか。じゃあ『お前』でいいや」
 「その方がしっくりきますわね。ではワタクシはあなたのことを『てめえ』と呼ばせてもらいます」
 「ご自由にどうぞ」
