二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 東方神隠詩 ( No.3 )
- 日時: 2010/04/07 11:40
- 名前: みかんうた (ID: raanz7.S)
- 零 〜序章〜 Ⅱ 
 「はぁっ、ハァッ」
 私はどこだか分からない、山道をとにかく走り続けていた。
 息は苦しいし、足は痛い。てか、裸足。でもそんなの気にしなかった。
 人の形をした妖怪が、今すぐにでも私を食べてしまいそうで。……単純にいえば、死にたくなかった。
 ……おかしい。ついさっきまでは、あれ程死にたがってたのに。
 結局、その程度の覚悟ってことか。
 「ぅわっ!!」
 その時だった。木の根っこかなんかにつまづいたのか、丁度斜面になっていた坂から私は勢いよく転がり落ちる。
 体中泥だらけ。髪の毛もぐしゃぐしゃ、体中痛む。
 「……なにやってんだろ」
 つい、そんな言葉が漏れた。
 もうよく分からなかった。自分自身も、そしてこの世界も。
 「なんの音〜?」
 木の陰から少女の声がする。
 なんだかよく分からないけど、見つかったらヤバイ気がする。でも、足が痛くて立ち上がれない。
 「……人?」
 ひょこっと木の陰から現れた少女。
 私より幼そう。ピンクのワンピースを着て、とっても可愛いんだけど……やはりなぜかウサギの耳が生えています☆
 やっぱり妖怪ですか、この世界にはこういう人達しかいないんですか!?
 この人も、私を食べる気なんだろうか? 逃げたい、逃げたいけど逃げられない。体が思うように動かない。
 「人間だよね? ……なんで、こんなところに?」
 私が聞きたいです。
 兎少女は一回、考え込むとにやりと不気味に笑った。……寒気。
 や、ややややっぱり食べる気なんだぁぁぁぁぁあぁぁあぁああ!!!
 「うわぁぁあぁぁぁああぁぁあああ!!!」
 私はまた猛ダッシュで逃げました。
 人間、いくら疲れていてもいざという時には頑張るんだね。
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 「てゐー、どうしたの? さっきの子、人間でしょ?」
 「鈴仙……。分からない、私の姿を見て突然逃げちゃった」
 「ふーん……。またあんたが変な事やったんじゃないの?」
 「やってないから! どんだけ信用されてないの私!!」
 「それより、師匠呼んでたわよ」
 「はいはーい」
