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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ジャンル色々短編〜リクエスト可!最近は戦国BASARA〜 ( No.112 )
- 日時: 2010/05/22 10:03
- 名前: るりぃ (ID: qyuIaVem)
- 参照: http://アフォ小説家?
- 『ありがとう』 
 赤黒く鉄の匂いがする水溜りの中に私は倒れていた。
 自らから流れ出る紅い液体が広がるのをとめられない。
 私は訪れるであろう一撃を待つが、それは待っても来なかった。
 「何故・・・とどめを、ささない・・・」
 息も絶え絶えながら彼に問うと彼は胡散臭い笑みを私に向けながらこういった。
 「俺様が手を下さなくたってアンタ死ぬでしょ。」
 彼はクナイを刺すでもなく、怪我を踏みにじるでもなく、ただ、笑顔で私を見下ろしていた。
 「俺様、血も涙もないって事で有名だからさ。」
 彼の顔に張り付いていた笑顔の仮面が消え、硝子球のような瞳が私を見据える。
 「せいぜい、苦しみ、悶えながら逝きな。」
 これが敵に恋した私の運命か。
 だが、私は最後まで無様に足掻くことはしない。潔く散ろう。
 貴様の瞳に、少しでも私が映れた事を、幸福に思うぞ。
 あ り が と う
 声に出したその言葉が貴様に伝わったかどうかはわからんがな。
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