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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ジャンル色々短編〜リクエスト可!最近は戦国BASARA〜 ( No.113 )
- 日時: 2010/05/22 10:16
- 名前: るりぃ (ID: qyuIaVem)
- 参照: http://アフォ小説家?
- 『ごめんね』(ありがとう 佐助Sida) 
 赤黒く鉄の匂いがする水溜りの中に彼女は倒れていた。
 彼女から流れ出る赤い液体が広がるのをとめられない。
 否、とめてはいけない。
 彼女は俺からくるであろう一撃を待つように瞼を伏せた。
 が、俺は愛した人に止めを刺せるような人間ではない。
 彼女は俺からの一撃が来ない事を不思議に思ったのか
 「何故・・・とどめを、ささない・・・」
 息も絶え絶えながら俺にそう問うてきた。
 俺は彼女に心の中の気持ちを悟らせないよう、いつもの胡散臭い笑みを貼り付けた。
 「俺様が手を下さなくたってアンタ死ぬでしょ。」
 俺はクナイを刺すでもなく、怪我を踏みにじるでもなく、ただ、笑顔で彼女を見下ろしながらもっともらしい台詞を吐いた。
 「俺様、血も涙もないって事で有名だからさ。」
 顔に貼り付けていた笑顔の仮面が消え、無表情になるのが分かる。
 「せいぜい、苦しみ、悶えながら逝きな。」
 これが敵に恋した俺の運命か。
 頼むから最後まで足掻いて生きてくれ。
 俺は彼女を無表情で見つめながら、心の中では反対なことを思う。
 暫くそうしていただろうか、死にかけの彼女が微笑を浮かべ、俺にこういった。
 あ り が と う
 その言葉を聞き、俺様の瞳から出てきたのは、一粒の悲しみ。
 ご め ん ね
 俺様の言葉、届いてないと思うけど、言っておくよ。
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