二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】 黒猫闇幻想。 ( No.3 )
- 日時: 2010/06/13 17:01
- 名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: eHFPH3xo)
- 参照: 世界が変わるという事は、僕も変わるという事
- ▼story01 「Fugitive」 
 暗く、足場の狭い螺旋階段。
 打ちっぱなしのコンクリート作りで、手摺も何も無い。
 下層は暗闇に呑まれて見えない程深い、円柱型の縦穴トンネルが広がっている。
 此処は、時計塔の内部。
 足音を響かせて走り続ける、僕等の影。
 やがて僕は力尽きた様に、其の足を止めた。
 「────ッ……はぁ、はっ……」
 僕は震える膝を掴んで踏み止まり、肩で何度も荒い呼吸をした後、力無く壁に背中を預ける。
 湟謎も立ち止まり、僕の前まで戻った。
 「……っ……御免……」
 「いや」
 湟謎自身も息を整え、暑いのかネクタイを緩めている。
 彼を横目に、僕は尋ねた。
 「此処まで来れば、安全?」
 「俺達が安全圏に辿り着くには、地球を出なければならない」
 安全圏。其の言葉は、今の僕等には程遠い物だ。
 僕等は逃亡者。
 別に罪を犯したわけではないが、僕等は地球にとって邪魔者らしい。
 「嫌だな。僕他の星なんて好ま──」
 僕が言い掛けた時だった。
 幾つもの足音が、下層の暗闇から除々に此方に近付いている。
 「案外早くバレたな」
 「上からも来るよ」
 上下から沢山の兵士等の足音が、トンネル内に木霊する。
 足音から見て、数は100は居そうだ。
 直に彼等は姿を現した。予想通り、100は居そう。
 「仕方が無いが、殺るしかないな」
 意を決した様に、勢い良く駆け出す僕等。
 黒錬を構えた僕は、兵士に向かって突進する。
 同時に、湟謎も携帯していた短銃の引き金を引く。
 其れに怯えた兵士等は、投飛ばされ、闇の中に落ちて行く。
 しかし、兵士の数は多く、限が無い。
 「ったく、此れじゃ殺られるのが越智だ!」
 常に冷静な湟謎でさえも、焦りが見受けられる。
 そんな湟謎の頭上から、気付かれない様に降りようとする兵士がいた。
 ハッと気付いた僕は、叫ぶより先に身体が動いていた。
 「───湟謎、危ない!」
 叫んだと同時に降りて来る兵士。
 背を向けていた湟謎を庇って、咄嗟に前に出た僕は、兵士に腹を横蹴りされる。
 「あっ………」
 「────雅焔!!」
 ふっ飛んで、階段の外へ落下していく僕の身体。
 其の僕に必死に手を伸ばし、咄嗟に地を蹴る湟謎。
 僕等ハ闇ニ引キ摺リ込マレル様ニ落チテ行ッタ。
 _鎖ナガラ其ノ姿ハ、闇ヲ舞ウ蝶ノヨウダッタ_
 落チテ行ク僕等ノ先ニハ、
 只漆黒ノ闇ガ口ヲ開ケテイル_
