二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D灰】WRONG-WORLD...★[裏愛] ( No.8 )
- 日時: 2010/06/13 22:03
- 名前: 陽 (ID: Ua50T30Q)
- ◆第≪01≫幕───『終焉ノ鈴音』 
 ≪黒の教団≫
 ──今日、『ただいま』というのは何回目だろう。
 ──今日、『おかえり』と言ってもらったのは何回目だろう。
 胸がチクチクといたむ中。
 「…ただいま、コムイさん」
 欠伸をしながら、室長のコムイ・リーに任務の報告をする。
 コムイはまるで父親のようにアレンににっこりと微笑んだ。
 「おかえり、アレンくん。任務ご苦労様」
 アレンは、コムイに軽く会釈し、その場を去ろうと思った。
 しかし、頭を上げたとき、コムイの後ろに二つの影を見つけた。
 「あの、コムイさんその人たちは…?」
 問いかけた瞬間、コムイがハッとした顔で二人を前に押した。
 二人とも、エクソシストの団服を着用している。
 …と、いうことは。
 「新人さんですか?」
 「そう。二人とも、自己紹介してやって」
 すると、向かって左側にいた女の子が、一歩前に進んだ。
 プラチナブロンドの金髪をツインテールにし、綺麗にくるくるとカールしていて、お嬢様みたいだ。
 透き通った翡翠色の瞳が、アレンを見つめた。
 「…あなたのことは室長から聞いてる。あたしはベティ。ベティ・オルブライト。よろしくね、ウォーカー」
 そう言ってから、にこりと微笑んだ。
 きりっと整った凛とした顔からは想像がつかない、少し甘い声だった。
 アレンも、『よろしく』と答えた。
 「おいベティ、やけににこやかじゃないか?もしかして一目ぼ……オぅッ!!!」
 「うるさい、変態シスコン」
 さっきまでとはちがう、冷ややかな目線を送るベティ。
 叩かれた頬を押さえながら、アレンの前にあらわれた青年。
 こちらはどちらかというと、優しそうな雰囲気の…柔和な顔立ちをしている。
 ベティとは違った艶のあるこげ茶色の髪の毛を、肩辺りまで伸ばしている。
 (なんだか…コムイさんと神田とラビが混ざったような人だなぁ…)
 なんだか笑えてきた。
 「…すまないな、ウォーカー。俺はロイだ。よろしく」
 「妹さんを大切にしてるんですね」
 二人は顔を見合わせて、照れて笑った。
 どこかの兄妹に似ていて、思わずそんなことを聞いてしまう。
 言ってから、『なぜこんなことを聞いたんだろう』と思い返す。
 深い闇に囚われる。
 (だめだ…)
 ──エクソシストとノアの狭間にいる人間。
 きっと僕しかいないだろう。
 一体、僕は何者なのだろう。
