二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: テニスの王子様〜適当に妄想したのを書く編w〜 ( No.21 )
- 日時: 2010/09/26 09:42
- 名前: 白石空樹 (ID: xr1in99g)
- 忘れ物♪忘れ物ったら忘れ物♪ 
 忘れ物。
 私はそう友達に告げて教室へ戻った。
 扉をあけると、机に突っ伏す男子がいる。
 よく見るとそれはイケメンエクスタシー男白石蔵ノ介。
 かっこいい、と四天宝寺中で有名な彼に好意を寄せる友人は少なくない。
 でも、彼に彼女ができたという噂はない。
 ……まあ、興味ないけど。
 机に手を突っ込んで忘れ物の携帯を取った。
 それを制服のポケットに入れて教室を出ようとしたとき、静かな教室にかすれた声が聞こえた。
 「……待って」
 「?」
 その声は白石からだった。
 白石はムクリ、と起き上がると机に頬杖をついて、こっちを見た。
 「お願いがあるんやけど…」
 「なに?」
 「このお菓子全部食べてほしいねん」
 「…」
 彼のカバンからあふれんばかりのお菓子が出てきた。
 なんだそりゃ。
 バレンタインでもポッキーの日でもないけど。
 「…なんかいっぱい貰たんや。」
 なるほど、モテる男はつらいですね。
 私はそんな白石を見る。
 ……まあ、お菓子貰えるのならいただこう。
 私はゆっくりと彼の机のそばに寄る。
 「サンキューな」
 そう言ってお菓子を机にばらまく。
 そこには飴やガムはもちろん、ポテチやチョコレートに酢昆布など、たくさんのお菓子があった。
 わたしはチョコレートを手に取り、口に入れた。
 一口サイズだから食べやすい。
 しっかりチョコレートを食べ終わると酢昆布に手を伸ばす。
 「……食べないの?」
 さっきから私が食べてるところを見る白石に聞く。
 白石は相変わらず頬杖をついたまま笑みをこぼす。
 「食べへん」
 なんでだ。
 こんなにおいしいのに。
 「…なんで?」
 「ああ、…ちょっとな」
 今度は困った笑顔を浮かべた。
 にしても、頬杖似合う男だ。
 「ふーん、」
 酢昆布を食べ終えて次にマーブルチョコに手を伸ばす。
 なんか手が止まんなくなってきた。
 ふと時計に目をやると教室に忘れ物を取りに行って10分立っていた。
 わたしは食べながら携帯を取り出し、先に帰っててとメールを打つ。
 もう少し食べていたい。
 だって食べないんでしょ?
 メールを打ってから今度はポテチの袋に手を伸ばした。
 ………いつまで見るのだ?
 白石はじーっと私を見つめてる。
 そんなに楽しいか?
 何かを食べてる人間見るの。
 「……」
 「……」
 ポテチの「パリパリ、」という音が教室に響く中、ポツンと白石が口を開いた。
 「リスみたいやな、自分」
 は?
 ポテチを食べながら彼を見ると口の端をやんわりと釣り上げて笑っている。
 「ほっぺた膨らまして食っとるし。」
 ほー…
 めちゃめちゃ綺麗な笑顔を浮かべて白石は言う。
 「そう?」
 「そや」
 「ふーん」
 空になったポテチの袋を綺麗にたたみ、次のおせんべいに手を伸ばす。
 白石はやっぱり頬杖をついて私を見てる。
 「……」
 「……」
 「ね、なんで食べないの?」
 まさかダイエットしてんの?
 と聞くと白石が吹き出した。
 「ちゃうちゃう。」
 「じゃ、なんで?」
 「虫歯」
 「へー、虫歯か……って、え?虫歯?」
 ええ?
 意外だ。
 あの白石が虫歯?
 白石は右頬を押さえた。
 「せや。自然にまかせて直してるんや」
 「……」
 …自然に治ると思ってんのかコイツ。
 虫歯は歯医者さんという名のスーパーマンにやっつけてもらわないと治らないよ。
 と、言いたくなる。
 「…自然に?」
 「せや。絶対治るって」
 もし本当だったらとっくに私もやってる。
 飴をゴリゴリと食べながら白石を見る。
 「本気で言ってんの?」
 すると白石は
 「せやで?」
 と真顔で返して来た。
 まじか。
 あれ、あんた中三だよね。
 まさか……
 「……歯医者行ったことないの?」
 「ないけど…?」
 まじか。
 初めて見たぞ私。
 生まれてこの方行ったことないそうだ。
 歯医者に。
