二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 犬夜叉-刹那主義- ( No.12 )
- 日時: 2011/02/12 07:01
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
 
 (むしろ何の用があるんだよ。本当に何だったんだ……)
 
 それもそうである。
 犬夜叉にしてみれば出会い頭に叫ばれて意味の分からない言葉を大声で話しながら、用があると一方的に喋る暇も与えられなく会話を終えたのだった。
 ある意味彼女が思った、「変な生き物だったと思われたい……」に願ったりではなかろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 場面は変わって主人公。
 
 
 ……息がヤバイ。って言うかさっきのスピードで100メートル走りぬいたら世界レベルだったかもしれない。キョドりっぷり半端ねえな私。
 
 ふと視線を上げると森から開けた平地に出ていた。
 無我夢中で走ったのが幸いしたのか、一定方向に進んでいたらしい。
 
 そのため方向オンチだとか、
 地理の勉強が理解出来ないだとか、
 その前に此処が何処か知らないだとか、
 関係なく森を抜けていた。
 
 「やっと出られた……。」
 
 人工的に整備された道のようだ。辿って行けば、民家があるかもしれない。そう思い、息を整えてまた歩き出す。
 
 「だぁーれかーいーませんかー?」
 
 鼻歌交じりのリズムに乗せて言ってみた。返事は一言たりとも聞こえてこない。
 
 「ホントに誰ーもいないのー?……か。まぁだから迷ってるんですけども。」
 ため息をついた。肩も下がる。
 また最初に逆戻り。進歩が全く無いんだが。
 
 
 
 
 「ん……?」
 少し進んだ時、金属特有の臭いがした。
 細かい事は気にしない主義である私。
 それでもあまり気にせず前に進んで行った。曲がり角に差し掛かった時、現実は姿を現した。ただ冷然と、其処に在った。
 
 「っ!?何これ!何……。」
 
 足元にこつんと音を立てて当たったのは、人の生首。死んで、る—。
 気持ち悪い、素直にそう思った。嫌悪感を抱いた。けれどそれは人なのだ。生の無いただの動かぬ物だとしても。
 申し訳無いと思う気持ちもありながら、心の奥で必死にそれを否定ばかりする言葉が聞こえる。
 
 死にたくない。私、死にたく、ない。
 頭の中が混乱する。漫画で見た描写はあんなに平気なのに、実物で、実際に見た時、こんなに気持ち悪いとは思わなかった。平然と受け止められる物だと思っていた。なのに、こんな。
 
 胃の中の物がせり上がってきた。喉が焼ける様に熱い。
 咳き込みながら嘔吐する。とにかく、此処を離れたかった。逃げるように震える足を立たせる。振り返る間際に、私は見てしまった。
 大量の人間の死骸。それはまるで、山のように積み上がっていた。烏がそれを貪り、辺りには鉄の臭いと腐臭が漂っていた。
 その光景を見て、やっぱり私は、この世界に居る事なんて出来ないかもしれない、なんて—、そんな事を思った。
 
 
 意識が遠くなる。
 歪んだ視界は、すぐに暗くなった。
 
