二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.34 )
- 日時: 2010/12/06 20:32
- 名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)
- あやのんさん、展開急すぎませんか? 
 思ったように書けなくて・・・・少しずつ修正していこうかなぁ・・・・あぁぁぁぁ。
 ごめんなさい。愚痴っぽいですよね。
 何はともかく頑張ります。これからも、読んでいてください。
 シオンさん
 お久しぶりです。
 色々頑張って居るんですが、只今悪戦苦闘中です。
 長い目で見て頂けたら幸いです。
 第十話 —兆し—
 そこは白い世界だった。
 あの部屋と同じ色で同じ雰囲気。違うのはあの部屋のように物がなく、殺風景な空間が何処までも広がっている事だけ。
 零那はその空間を走っていた。
 ここが何処で何なのかは分からない。現実か夢なのかすら曖昧な感覚で理解できていない。
 けれど、走らなければいけない事は知っていた。探さなければならないことは分かっていた。自身がなくしたモノを。無くしたと思っているモノを。探し出さなければいけないと、焦りに似た感情が零那の心に広がる。
 『蜜柑』
 誰かが叫んだ気がした。名前を呼ばれた気がした。呼ばれた名前に心当たりはない。しかし、懐かしさが込み上げてくるのを零那は止められなかった。
 『蜜柑』
 その声に、その名に、叫ばずには居られない衝動に駆られ、声を出そうとするが音が出ない。
 自分は此処にいるのに・・・・。
 『零那』
 今までと違う声が聞こえた。
 『零那』
 その名は知っている。それは自分の名前で、大切な大好きな仲間達が呼んでくれる名前。
 ふと、体が浮き上がる。呼ばれる声の方向に自然と体が向かい温かい光に包まれ、意識が戻っていった。
 「・・・な・・・・いな・・・・れ・・・いな。」
 零那はぼんやりと自分の名前が呼ばれているが分かった。
 「零那!!!!」
 「わっ!!」
 何かで叩かれた衝撃で、零那は体を起こす。見ると彼方が何故かハリセンを片手に仁王立ちしている。
 「零那・・・平気・・・?」
 「たく・・・何やってんのさ。」
 心配している李麻の隣で彼方は持っているハリセンを零那に突きつけた。状況を飲み込めていない零那は、交互に顔を見て曖昧に微笑む。すると、彼方のハリセンが零那の頭にヒットした。
 「惚けるな。今の状況分かってないでしょ。」
 「え・・・・うん・・・」
 「何処まで覚えてる。」
 聞かれた零那は思い出そうと記憶を辿った。
 「えっと・・・学園に来て、彼方が初日早々馬鹿やるからその後始末をしたら彼方を怒鳴って・・・・。」
 「それから?」
 「その後は・・・・あれ?」
 「あれじゃねぇよ。」
 すぱーんと音が響いた。叩かれた零那は涙目になり、叩かれた場所を手で覆いながら彼方を睨む。
 「痛いわ彼方。私が何したのよ。」
 「倒れたんだよ。」
 「は?」
 「聞こえなかった?倒れたんだよ馬鹿零那。」
 呆れた声と睨むような目付きは、日下を馬鹿にしているのと酷似しているが少し違った。そこには、心配する時の彼方の表情が見えた。
 「倒れたの・・・・私が?」
 「そうだよ。何回言わすの?俺を怒鳴った後、鳴海が来たでしょ。あの後倒れたんだよ。」
 「そう・・・。」
 「大変だったんだからね。李麻は泣き出すし、鳴海はあんた運んだ後何処かに消えたし。あんたは全然目が覚めないまま夜になっちゃうし。」
 李麻は彼方に同感するように頷く。目を赤く腫らして頷く李麻に、零那は罪悪感を感じた。
 「ごめんなさい。心配掛けて。」
 「俺より李麻に謝って。」
 「うん。ごめんね李麻。」
 「ううん・・・・零那が・・・悪い訳じゃ・・・ないから。」
 目を腫らすほど心配を掛けた零那に、李麻は気にしないでと首を振った。零那はありがとうと李麻に聞こえるぐらいに呟くと、李麻を抱きしめた。
 「で、零那。何か夢でも見てた?」
 彼方が不機嫌そうに零那に聞く。
 「夢・・・?分からないわ・・・・。」
 「何言ってんの?」
 「夢なのか分からないの・・・。ただ・・・呼ばれているのよ。誰だか分からないけど・・・懐かしい声で聞いた事もない名前を。」
 「・・・・名前?」
 「えぇ・・・『蜜柑』って。」
 首をかしげる李麻に躊躇いながらも夢の中の名前を口にする。その名前を聞くと、李麻は驚き彼方は何かを考え始めた。
 「どうしたの?何か知ってるの?」
 零那が二人に問いかけても、彼方は答えず李麻は悲しそうに俯くばかりだった。
 零那達が転校してきた夜、棗は流架と蛍を自室に呼んだ。
 「進展があったのね。」
 棗が招集を掛けた理由に思い当たるのか、蛍は開口一番に棗に詰め寄った。
 「蜜柑が・・・見つかった・・・。」
 予想以上の情報に蛍と流架は目を見開き顔を見合わせてから、再び棗に目を戻す。
 「蜜柑が見つかったって・・・どこよ!!!」
 「・・・・・。」
 「棗君!!!」
 「棗・・・・?」
 流架は黙ったままの棗を不審に思い様子を探るように見る。
 「蜜柑は・・・Zに居た・・・。記憶を消され、自分は毛利零那だと名乗ってた。」
 「・・・・え・・・・」
 流石の蛍も棗が言っている事に思考が付いていかないのか、動きが止まる。
 「記憶を消されてってどういう・・・・」
 「詳しくは分からない・・・。」
 「どうして!!!あなた逢ったんでしょ?何で分からないのよ!!!」
 「今井、棗だって辛いんだ!!!」
 「そんな事知ってるわ!!でも、あの子がいないの!!いつも一緒にいたあの子がいないのよ!!!」
 今までため込んできたのが破裂したように、蛍は泣きながら大声を張り上げた。落ち着かせようと流架が抱きしめるが、泣きじゃくる蛍を止められない。
 「蜜柑は・・・俺が見つけ出す・・・。」
 棗の辛そうな声に流架と蛍は、ただ黙るしかなかった。
 つづく
 やっと書けました。最初の零那の精神状態っぽい所は書きたかった内容の一つです。あと、蛍が泣きじゃくる所もですね。普段強がっている分泣いて欲しいという自分の願望です。
