二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ■05 「Bang Up」 ( No.10 )
- 日時: 2011/03/17 09:16
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
 ■05 「Bang Up」
 元気を取り戻したらしいリオは、気合を入れるかのようにぐぃーと背伸びをする。腰を回すと、動いていなかった骨がバキボキと鳴った。
 「……でよ。コスモス…の戦士?のとこにはどうやって行くん?」
 「そうですねー、ぼくが連れて行ってあげますから、行き倒れみたいな感じで?」
 「助けてもらうんか、なるほど」
 リオは深呼吸をし、若干瘴気の混じった空気を肺いっぱいに満たす。
 「行こか」
 ケフカの顔には、まだ笑みが貼り付いていた。
 「ててててーてーてーてっててー!」
 今イミテーションを倒したらしき旅人——バッツが、得意そうに勝利のファンファーレを歌う。その後ろにいるのは、複雑な表情の盗賊——ジタン。
 「てーれーてーれてーってれーてっれー、てーれーれーれれー」
 「なあバッツ、もういいだろ? 早く行こうぜ」
 「てーれーてーれてーってれーてっれー、てーれーれーれれー」
 「まだ続くのかよ!」
 さすがに怒りだすジタン。バッツは満面の笑みでジタンに向き直り、
 「いやだなぁ、軽いジョークだって。イギリス風ジョーク」
 「イギリス……」ジタンはまた複雑な表情になる。バッツはそんなジタンの背中をどんと叩き、
 「ほら、勝負再開だぜ!」
 「…………おう!」
 二人がいるのは、高い柱に囲まれた空間——闇の世界。彼らはここに来る前、月の渓谷である勝負を始めた。
 ——先にクリスタルを見つけたほうが勝ち。
 クリスタルは神の欠片。この世界を救うのに絶対に必要な物。10人の戦士は、そうコスモスに伝えられた。
 他の戦士にはクリスタルを見つけようと躍起になっている者もいる。逆に、自分なんかに見つけられるのかと不安になっている者もいる。だが、この二人はそのふたつには当てはまらなかった。
 クリスタルを見つけることを勝負の条件にし、戦いすらも「真剣に楽しむ」——この精神こそが、クリスタルを見つけるのに一番必要なことかもしれない。
 子供っぽいとかバカとか言ってはいけない。彼ら(特にバッツ)はただただ純粋なだけなのだから。
 「スコールも一緒に来ればよかったのになー」
 ジタンが退屈そうに、腕を頭の上を組んで言う。横を歩いていたバッツはジタンには見えないようににこりと笑い、「大丈夫だって」と明るく返した。
 「そうそう敵にやられる奴じゃないだろ? それに——」
 バッツの声が急に止まった。「それに?」と先を促したジタンは、その顔がまっすぐ上を向いていることに気が付く。
 つられて同じ方向を向くジタン。目線の先に、何か茶色い物が映った。
 …………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ
 「えっ、ちょ、待っ——
 ドゴォォォォォォォォォオン!!!!
 
