二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン ( No.1 )
- 日時: 2011/01/03 22:06
- 名前: 朱鳥 (ID: g2/uP3Bc)
- 参照: 序章 PARTⅠ
 青い空、白く大きな入道雲、心地よい風。とても良い天気の空の下、盛大にパーティーは行われていた。
 豪華なシャンデリアは眩しいほどに輝き、壁は豪華そうな壁紙が貼られ、床にはレッドカーペットが敷かれている。綺麗で立派な衣装を着た男性や女性達が、ワイングラスにいろいろな酒をいれて、乾杯をしている。
 そんな落ち着いた雰囲気のある会場の中、配置されている机にある料理を黙々と食べる少女がいた。その横では落ち着いた雰囲気の少女が、呆れた顔をしている。
 「……凛。ごちそうが食べたいのは充分分かるんだけど、もうちょっと静かに食べようね? そりゃ興奮するのはわかるけどさ」
 長いブロンド(薄茶色)の髪を下で一つに結んだ少女が言う。恐ろしいほどの整った顔立ちをしている。薄い赤の瞳には、疲れの色が出ている。耳には水色の小さく丸いピアスがついていて、首にもクロスのネックレスが。
 真ん中をリボンで結うと言う、着物風味の白いワンピースを着ている。胸元が大きく開いており、危険な雰囲気を出しているようだ。
 「んがっ……だぁって!! 私こんなお料理滅多に食べられないもの! 食べられるときに食べとかなきゃ、損しちゃうじゃない??」
 黒い髪を上で一つに結んだ少女が、子供のように笑いながら言う。
 水色の肩だしドレスを着ているが、そんなに料理を食べていてはせっかくのドレスも悲しい、とブロンド色の髪の少女は思った。
 「桜君」
 「…あぁ、本堂様。本日はお招きいただき、ありがとうございました」
 「いやいや、どうって事ないんだよ。……そちらの子は??」
 白髪をプチオールバックにした、皺が多い男性が言う。本堂 勇(ほんどう いさむ)。映画などの監督を多くしており、その全てはどれも人気作に輝いている。
 『桜君』と呼ばれた少女はニッコリと微笑みながら、黒髪の少女の足を思いっきり踏みつけた。踏みつけられた少女は驚き、慌てて料理を机の上に置いた。
 「この子は、華稀 凛。私の親友です」
 「は、華稀 凛です。桜 一樹の親友で、本日はこ、ここに参りました」
 「華稀 凛さん。私は本堂 勇と申します。よろしくお願いしますね」
 一樹と呼ばれた少女は優雅に微笑んだ。凛という少女はあわただしくお辞儀をした。
 「本堂様、凛。少しお手洗いに行ってもよろしいでしょうか……??」
 「えぇ、どうぞ。私はそれまで、凛さんとお話でもしておりますね」
 凛がぎょっとする。そしてあわただしく、その場を去っていく一樹に目線を投げるが、一樹はクスリと微笑んだ。
 凛にとって、それは悪魔の笑みにしか見えなかったらしい。
 * * *
 女子トイレの中も輝いており、その場で一樹は携帯電話で連絡をしていた。
 『ほんでー? 一樹は本堂って言う親父が苦手だからトイレに逃げ込んだわけ? しかも凛にぜーんぶ任せて』
 相手は工藤 新一(くどう しんいち)。一樹がよくペアを組む、高校生探偵である。
 彼も今、幼馴染の毛利 蘭(もうり らん)と遊園地に遊びに来ているらしい。蘭は今トイレに行っているらしいので、暇つぶしに、とでも思って電話相手をしてくれているのだろう。
 「人聞きの悪い言い方しないでくれますかー、新一。私は本堂さんが凛と話をしたそうだなーと思って抜けただけー」
 『100パーセント言い訳にしか聞こえねぇ理論言われても納得できねぇっての』
 一樹はため息をついた。本堂とはかなり映画などでも共演させていただいているが、かなり苦手である。自慢話に良く付き合わされているし、しかも本堂の息子、本堂 海(ほんどう かい)と結婚話まで持ち上げられた過去もある。
 映画? 共演? そうだ。言うのを忘れていた。桜 一樹は、トップの名を飾るほどのアイドルである。演技力もとんでもなく上であり、評価はとんでもなく高い物だ。
 「あんたね、新一。私にそんな口ばっかり聞いてると、痛い目見るよ??」
 『はいすいませんねー。っと、ごめん一樹。蘭が戻ってきたから切る。またな』
 「はいはい。だぁーいすきな彼女とのデート、お幸せに」
 新一が電話の向こうで何か言っているが、一樹はかまわずブチ切りした。
 その時、悲痛な叫びが聞こえてきた。一樹はそれに驚き、反射的に持っている携帯を投げつけてしまった。
 「……あー。やっちゃった」
 一樹は頭をかきながら携帯を拾うと、トイレを出て、悲鳴が聞こえた方に急いだ。
 * * *
 そこには、本堂が倒れていた。一樹は目を丸くする。
 急いで携帯を取り出し、凛の番号を入れると、ダイヤルボタンを押した。プルルルルルという小さな音が鳴り始める。そして、プツッという音が続いた。
 『もっしもーし?』
 「凛っっ!! 本堂さんと話してたんじゃなかったの!?」
 『一樹が遅いから、本堂さんがちょっと見に行ってくるって、どこか行っちゃったよ??』
 一樹は目を見開き、続いて瞑目した。低い声で凛に言う。
 「………警察、呼んどいて」
 『え!? ちょっ、かずっ———』
 プツリと、一樹は電話を切った。そして開いていた本堂の目を閉じさせて、立ちあがろうとしたその時だった。
 頭に物凄い衝撃を感じた。そのまま床に倒れ込む。
 「兄貴!! コイツ、どうしやす??」
 (……誰だ…??)
 ひどい激痛に絶えながら、自分を殴った人物を見た。
 言えるのは1つ。黒ずくめの男が、2人。片方が一樹の頭を殴ったと思える棒を持っている。
 「こいつを使おう。組織が開発した……毒薬だ」
 片方の男が、カプセル状の薬を取り出す。一樹の前髪を掴むと顔をあげさせ、薬を無理矢理いれた。そして水をのませる。
 一樹は、体が熱くなっていくのを感じた。
 「じゃあな、運が悪い子供」
 2人は走って出て行く。一樹は、まるで溶岩をかぶせられたかと思うくらいの熱さと戦っていた。
 「あ……う……あ、つ……あ、……」
 その後、一樹の絶叫が部屋に響いた。それを聞く者は、もはや誰もいなかった。
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 お目汚し駄文すいません
