二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロを小説にしてみた【次はメルトだお!】 ( No.14 )
- 日時: 2011/03/06 15:38
- 名前: 夢羽 ◆h1A8iHzIDo (ID: lwyoqLK1)
- →続き 
 お店から出てしばらくすると、私の頬に雨粒が当たった。
 その数は次第に増えていき、あちこちに水溜りを作る。
 私たちはコンビニの屋根の下まで走り、タオルで濡れたところを拭いた。
 折角ふんわりカールにしてきた髪の毛も、雨のせいでストレートになっちゃってる。
 「雨、しばらく止みそうにないな……」
 お兄ちゃんが、独り言のように呟いた。
 実は独り言だったのかもしれない。
 私はタオルをしまおうと思い鞄を開けた。
 「もう、天気予報の嘘吐き!」
 私はそう言いながらタオルをしまおうとして気付いた。
 傘が入っている。
 緑と白チェックの折り畳み傘。私は思わずそれを取り出した。
 「何たる悪運……」
 このまま傘のことがお兄ちゃんに知れたら、デートが終わっちゃうかもしれない。
 まだ、お兄ちゃんと別れたくなかった。
 「あ、ミク……傘持ってたの?」
 お兄ちゃんに気付かれた……。
 「ミク、それ貸して」
 「……うん……」
 私は沈んだ気持ちのまま返事をし、お兄ちゃんに傘を渡した。
 お兄ちゃんは傘を開き、私に手招きをする。
 「ミク、入って」
 「——ッ!」
 このままだと、本当にデートが終わっちゃうかもしれない。
 私が立ち竦んでいると、お兄ちゃんはこう言った。
 「どうしたの?濡れるよ?」
 濡れたいと言う訳にもいかず、私は傘の中に入った。
 「……しょうがないから、入ってあげるっ!」
 ……正し、ツンデレで。
 私ははぐれないようにお兄ちゃんの服の袖をギュッっと握る。
 お兄ちゃんは、こんな至近距離で何とも思わないのかな?
 ふと、そんなことを考えていた。
 私なんか、息が詰まりそうなぐらい緊張してるのに——。
 緊張のせいか、服を掴んでいる方の手が小刻みに震える。
 お兄ちゃんに悟られるんじゃないかと思うと、また緊張して心臓の鼓動が速くなる。
 手をほんの少し伸ばせば、お兄ちゃんの腕に自分の腕を絡ませることだって出来る。
 でも、今は服の袖を掴むので精一杯だった。
 ——私のこの想い、お兄ちゃんに届きますように!
 続く
