二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機〜参照3000突破!!〜 ( No.488 )
- 日時: 2011/08/07 20:09
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 30 ささやかな願い 
 食後、イナズマジャパンのメンバーは練習のメニューを作ると言って、一番小さな会議室を借りた。もちろん、一番小さくても、円堂たちにとってはものすごく広い。
 春奈がチェルタとの戦闘を終えて、倒れていた音無も何事もなかったかのように復帰した。春奈はまだ寝ている。起きるには早くても明日にはなる、と夏未からは話を聞いている。
 「それで、どうするんだ?円堂」
 隣に座っている風丸が聞いた。
 本当のことを言うと、メニューを作る、と言うのは嘘だ。作るなら、鬼道やマネージャーたちに任せればいい。こんなに大人数を集めてやることではない。しかし、冬花や夏未たちにはその知識がないようで、あっさりと承諾してくれた。守と修也には何かある、と疑われたが、夏未が家へ強制送還させた。
 つまり、今この会議室にいるのは、イナズマジャパンのメンバーしかいないのだ。秋や茜などは残っていたが、護衛は自分たちの集中力が途切れるからダメだ、と鬼道が冬花に説得し、一時的に外してもらった。
 「う〜ん、まだよく分らないんだよなぁ〜」
 「…円堂、悪いが、話を進めさせてもらう。風丸たちにとって思い出したくない話だが、試合のためだ。お前たちも聞いてくれ」
 会議の指示を出しているのは鬼道とヒロトだ。場所も場所だが、会議が本格的になっている。
 「俺はダークエンペラーズの戦いは見ていない、だから、まずは風丸くんたちから話を聞かせてほしいんだ」
 「分かってる。実質、エイリア石はただ単に力をあげるものではない…」
 「性格もすこし変わっていたな」
 元ダークエンペラーズの人からは、あまり分からないだろうが、今の豪炎寺の発言は思い返せば、そうだったな、と分かることだった。
 「でも、今の俺たちじゃ、勝てる確率が低いって、冬花姫は言ってたよね」
 「ヒロトの言う通りだ。あのまま、ダークエンペラーズが活動を続けていたら、今の俺たちではとても倒せるような相手ではないな」
 「よし!!特訓だ!!」
 円堂が椅子から立ち上がり、テーブルを叩いた。すぐに鬼道が当たり前のことを言う。
 「だから、その特訓をどうするかについてミーティングをしているだろ」
 「うぅ…あっ、あいつ等に練習に入ってもらえば?」
 円堂が言うあいつ等とは、守たちのことだろう。しかし、彼らはサッカーにはあまり興味がなさそうだ、入って、と頼んだところで、素直に手伝うとは思えない。それに、染岡や綱海たちは彼らをよく思っていない、たとえ練習に入ったとして、逆にチームワークに障害がでれば、時間の無駄だ。
 「俺は反対だぞ。いくら、円堂と同じ顔だからって、あいつ等は何か隠してる。それにそう易々と信用できるような奴らじゃねぇ。護衛と言ってるけど、本当は何がしたいのか、はっきりわからないしな」
 「綱海さんの意見に俺は賛成です。俺たちは自分たちの練習をしてればいいと思うんです」
 最初に綱海の意見に賛成したのは、虎丸だった。その後、壁山や小暮など、一年生たちも賛成している。ますます円堂の意見が引き離されていく。言われれば言われるほど、円堂もうなだれてきている。
 「でも、少しは信用していいんじゃないかな?」
 次に発言をしたのが、冬花だった。彼女は一度、もう一人の自分の本音を聞いている。だから、信用できる、と思っているのだ。
 「ふゆっぺ?」
 「綱海さんの言う通り、簡単に人を信じちゃうのはダメかもしれない。でも、だからって、他人を引き離すのはよくないと思う。夏未さんだっていつも熱心に私たちをいろいろと手伝ってるし、春奈さんだって、自分の体を犠牲にしてでさえも、守ろうとした。だから…」
 「信じようぜ!皆!!」
 最後に円堂が締めて、皆に投げかけた。あの笑顔には誰も太刀打ちできない。彼が大丈夫、と思っていれば、本当に大丈夫だと思えるようになってくる。
 風丸や豪炎寺、それに疑っていた綱海たちも彼の意見に賛成することになった。
 「やっぱ、気に食わねぇ」
 後頭部で腕を組み、真っ暗の夜空を見上げながら、守が言った。
 「ったく、何するかと思ったら、円堂くん達に武器を向けるわ〜怒鳴るわ〜やらかしてくれるんじゃないの」
 「夏未はおかしいと思わないのか?」
 「守の発想のほうがおかしいと思うな〜」
 「大体サッカーって…バカバカしい…」
 組んでいた両手を離し、灰色の地面を見つめた。その様子を夏未は小さく微笑みながら見つめた。
 「?何がおかしんだよ」
 「別に〜それよりさ、明日のことだけど…円堂くんの練習に混ざっちゃおうか♪」
 「「はぁ!?」」
 背後にいた修也も守と一緒に聞き返した。こう見ると、二人は妙なこところで息が合っている。
 「あれ?聞こえなかった?じゃあ、もう一度言うね。明日えn「「断る!!」」あら、どうして?」
 「いいだろ、やりたくないものはやりたくねぇ」
 「ふ〜ん、修也は?」
 クルリッ、と後ろに回り、夏未は修也に向き直った。
 「俺もやりたくねぇ、それだけだ…深い意味はない」
 (まだあの事件のこと引きずってるのね…意外と仲間思いなのよね、二人とも)
 そっぽを向いて、夏未と顔を合わせない二人はどこかかわいらしく見える。
 「まっいっか、しょうがないよね。アンタたちがそういうんじゃあ…」
 「珍しく脅さないんだな」
 「脅さないわよぅ。今回ばかり、ね?」
 「あぁ〜円堂も円堂だよな。本当にうぜぇ!!」
 「アンタ、今日それで何回目?」
 無数の星が瞬く夜空の下。三人は仲良く(?)家路についていた。
 明日、サッカーを嫌った二人は新たな一歩を踏み入れる、それはまだ夏未しか知らないであろう。
 (明日、『また』サッカーやってくれるといいんだけどね…)
 それは夏未のささやかな願い事。
