二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.Gray-man -contrast- ( No.44 )
- 日時: 2011/02/21 23:06
- 名前: 蛍 ◆LU8WrcLlXI (ID: wJNgr93.)
- 4——— 
 次の日の夕方、カレン、ティナ、アーノルドの三人は現地について騒然とした。
 アルプス山脈のふもとの小さな村、現地のファインダーとの合流地点でもあったのだが、その村はすでに崩壊していた。
 並ぶ建物には大きな穴が沢山空いており辺りには瓦礫が散乱、黒い塵が風に舞っていた。
 カレンは塵を目で追う。
 ———アクマの毒にやられたのか……。
 すでに人の気配はしなかった。
 イノセンスを手に入れることのできなかったアクマの腹いせだろうか。
 アーノルドもティナもやるせない表情で辺りを見回していた。
 「エクソシストの皆さん」
 ふいに建物の影から声をかけられた。
 そこには白い衣装に身を包んだファインダーの姿があった。
 よろよろと壁を伝いながら立ち上がったファインダーは傷だらけで衣装もボロボロであった。
 深い傷を負っているのか腹を抑えて辛そうな表情をしている。
 すぐにアーノルドが駆け寄った。
 「よかった。無事だったんだな」
 「ええ、私一人だけですが……」
 ファインダーは申し訳なさそうに告げた。
 「そんな……」
 カレンも目を伏せる。
 「すぐ医者に見せたほうが良い」
 ティナの提案に三人とも賛成したがファインダー自身が頑なに拒んだ。
 「私は平気ですのでイノセンスの回収を。アクマの中には進化したものもおりました。一刻も早く……」
 そう懇願するファインダーを悲しそうに見つめた。口では平気と言いながらすでに死期を悟っているそんな表情であった。
 「……わかった。あなたたちの犠牲は絶対に無駄にしない」
 ティナがレイピアを抜き仰々しく額を傾ける。
 「ティナ……」
 ———犠牲の上に成り立つ平和。それはなんて虚しい物だろうか。それが自ら望むものであっても……。
 ふいに視界に影が降りた。
 ———AKUMA……。
 目の前に下りた球体その中央には人の顔が浮き出ている。千年伯爵の殺人兵器AKUMAだ。
 気付けばアクマは村中に潜んでいたようであり三人は取り囲まれていた。
 何も言わずそれぞれ己が武器を取り出す。
 ———イノセンス発動!
