二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.277 )
- 日時: 2011/11/12 11:46
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- アリスの夜となるの。 
 #01 『私』のおはなし
 ——楽しい物語なんてどこにもないと言う真実と、夢を見たアリスのお話。話を聞いてしまったら、きっと後戻りはできない。……準備は、いいかしら?
 昔の事だった。長い、艶やかな緑色の髪をしたお姉さんが、教えてくれたお話。その物語は『不思議の国のアリス』という物語で、確かに最後は死にそうなめに会うし、それこそ夢だったってお話。
 だから私は、ハッピーエンドは有り得ないと思ってる。死ぬ時だって、死ぬのは嫌だもの。天国だなんて、夢のまた夢。怖いお話じゃあなかったけれど、どことなく腑に落ちなかったアリスのお話。残念な気持ちになったから、真実が嫌い。物語の世界に、溺れていたいと思ってる私も勿論居る。
 お姉さんと私が屈託のない笑みを浮かべている、楽しそうな写真。懐かしい気持ちに浸りながら、私は悲しくなった。どうしてあの時は楽しかったのに、今はこんなにもつまらないのだろう。
 私がエンドの方向に向かっているから? だなんて、自嘲気味にそんな事を考えてみるけど、あるはずもないと振り切った。私が死にたいと思ってる限りは、きっと私の人生は終わらない。
 窓の外を眺めたら、満月が光っていた。眩しい程の光が鬱陶しかった。綺麗なんて言葉、嫌い。だけどその言葉が欲しい。曖昧な感情がグルグルと渦巻いて、私はカーテンを閉めるという選択をして、ベッドの上で眠りについた。
 ——夜の子供たちよ、踊りましょう。
 聞いた事のある声が、頭の中に響いた。満月の光の下で、手を繋ぎ円を作り上げている子供達の影は、私を囲んでいた。そしてクルクルと回りだし、笑う笑う。
 私は逃げ出したくて、走ろうとした。すると、何かが私の足に突き刺さり、鋭く痛んだ。声にならない悲鳴をあげて、私が泣いていると、空から声が響いた。
 ——後戻りは、きっとできないわ。
 「…………今のは、何だったの?」
 眠っていただけなのに、尋常じゃない程汗をかいている。
 足を見てみたら、当たり前だが出血などしていなかった。私は夢でよかった、と安堵して溜息を吐く。
 私は早速お風呂に入ろうと、木製のクローゼットから服を取り出し、お風呂へと向かった。
 ————あの悲鳴で、アリスは目覚めた。
 誰かが笑った様な気がした。
