二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ〜俺達だって恋はする〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/05/03 15:51
- 名前: 琴葉 (ID: mYaacdZq)
- 参照: 風丸とふどきどとにいにぃは譲らないからね!
- 第一話 再会 
 「で、幼馴染って?」
 学校に着くなり、守が風丸に話しかけた。未だ上の空だった風丸は守に振り向いた。
 「……まあ、いい機会だし、話しておくか。豪炎寺にも、声かけてみてくれ」
 「ああ。ちょっと待ってろ」
 そう言うと守は席を離れ、修也を連れて戻ってきた。
 「さ、話してくれよ」
 「……ああ。……」
 「? どうしたんだ?」
 「いや、今日、転校生が来るって話があっただろ?」
 「あったっけ?」
 修也に問いかける守。修也は「また寝てたんだろ」と言いながら守の頭を小突いた。どうもこの話題を理解できていないらしい守に代わって、修也が答えた。
 「昨日その話が出てたが。それがどうした?」
 「……あいつが、引っ越してきてくれればな、って思ってさ」
 「幼馴染か? そんなに離れるのが嫌だったのか?」
 「あ、いや、そういうわけじゃないんだ。こっちに来てから、凄くいい仲間にも出会えたし。ただ—————」
 『ただ?』
 またも二人の声が揃う。風丸はあらぬ所を見つめながら、言った。
 「———心配なんだ。向こうで何かあったみたいだから」
 その言葉に、二人が息を呑んだ。何か———それが意味するものは? 事故? 病気? そんな事を考えていたのかもしれない。
 そんな二人を見ていた風丸が、取り繕うように言った。
 「別に、事故とか病気とか、そんなんじゃないみたいだから。だけど———」
 一拍。間を置いて、苦しげに声を出した。
 「あいつ、声を失くしたみたい、でさ」
 「……声を?」
 修也が眉をひそめた。風丸が続ける。
 「何があったのか分からない。ただ、親が言うには———あいつ、学校で何かあったらしくて、精神的に、ちょっと、な」
 『……』
 気まずい沈黙。それに耐えられなかったのが、守だ。
 「だ、大丈夫だ! ここに転入してくるのか分からないけど、もし、そうじゃなかったとしても、その、えっと……」
 必死になりすぎて、次の言葉が出てこなくなっている。風丸はそれを見て、微笑した。
 「……サンキュな、円堂」
 「……風丸」
 にかっと笑った円堂の隣で、豪炎寺が「お」と呟いた。
 「そろそろ、HR始まるぞ」
 「マジで!? じゃあ、後でな、風丸!」
 「ああ、聞いてくれてありがとな、二人とも」
 一旦席に着く三人。と同時に、転校生を連れた担任が入ってきた。
 「じゃ、HR始めるぞー。まず、転校生が来てるから、紹介だな。入って来ていいぞー」
 担任の声に、ドアが開いた。入ってきた生徒は、男子の視線を釘付けにしていた。
 世界中が嫉妬しそうなほど美しい銀髪ストレートヘアに、一部分を結んでいる黒のリボン。白い肌。儚げな印象の女生徒だった。
 「えー。この子は前の学校でちょっとゴタゴタがあって、声が出なくなってしまっている。そこは馬鹿にしたりとかしないように。じゃ、名前紹介して回れ」
 女子は小さく頷き、メモに名前を書くと、それを順々に見せて回った。
 風丸の席に来たとき、彼女は名前が書かれたメモをめくり、次のページに何か書いて提示した。
 『風丸君 久しぶり』
 「……久しぶり、悠里」
 『呼び捨て!?』
 守と修也が突然立ち上がったのに驚いてか、悠里と呼ばれた女子は風丸の陰に隠れた。
 「風丸、幼馴染って……」
 「ああ、こいつだ」
 『な、何ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?』
 クラス全員の、少年合唱団並みに揃った声が上がる。その様子を見ていた担任は、「知り合いだったのか。じゃ、風丸の隣の席に座れ」とだけ言った。
 悠里の顔は、少しだけ青褪めていた。
 前回よりも遥かに長い駄文を読んでくださって、ありがとうございました^^
