二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: However a dream to you イナイレ ( No.3 )
- 日時: 2011/04/07 12:46
- 名前: きのこメイド ◆EOBRatQA0o (ID: 0ZFQDflb)
- 第1話 
 今日はすごく冷える日で、寒いのが平気な俺でも少し凍えるくらいの風が吹いていた。
 そんな日でも俺は肩の無い服装をしていた。これだけは譲れないものなんだ。
 少し前の幸せだったころ話。俺はサッカーが大好きだった。けど今は出来ない。いや、俺が出来なくしたといったほうがいいのか…。
 今、俺に残ってる幸せだったときのもの。それは今着てるダイヤモンドダストのユニフォームと「涼野風介」という名前…
 あれ?…これだけだったか…?
 何か一つ忘れてる気がする。だけど思い出せない。
 それは俺の見失った「大切」な何かとつながっているのだろうか。思い出したい。のに、思い出せない。そんな矛盾が俺を攻め始める。
 「…今はそんな事、考えてる暇は無い…」
 白い息を吐きながら、俺は脚を進める。ただ勝手に動く体に任せて。
 思い出せそうなのに…「幸せ」だった事しか残ってないんだ。ほかには何も、何一つ無い。
 「見つけなきゃ…」
 どうしようもない不安がまた一つ、思いかせとなって心にまとわりつく。
 「…寒い……」
 「幸せ」だったときの俺にはもっと何か、凍てつく闇を、俺の冷えた心を暖めてくれるまぶしい炎があったはず。
 「う…」
 もう足が限界になってきた。真冬のアスファルトに裸足はさすがに無理があったみたいだ。
 けど、こんなところで終わりたくない。せっかく見つけた幸せへの手がかり。
 「手放すわけにはいかない…」
 血のにじむ素足を、無理やり動かす。ただ前に、前に。
 俺の手には黒い腕輪が。唯一見つけたあいつの…
 「あぐっ…」
 凍傷が酷くなってきたみたいだ。筋肉も皮膚も痙攣を起こし始めた。
 これが限界か…
 「まだ…終わるわけ無いだろっ……くっ…」
 再び歩く。
 いつからだ… こんなに苦しみ始めたのは。
 痛む足と凍りついた心に弱らされていく日々。
 ただ会いたい。この腕輪をつけていた…「誰か」に。
 「届かないのか…?」
 ただ冷えた俺の心から勇気が漏れ出して、諦めだけ残っていく。
 
 第1話 END
