二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン【中学再生作戦編】 ( No.306 )
- 日時: 2012/03/25 23:59
- 名前: 風風 (ID: 7ZyC4zhZ)
  
 [SkyとRainそしてTear.]
 -ポツ.ポツ.ポツ...-
 静かな体育館に響くのは小さな雨の音だった
 灰色の空を体育館越しから眺め、緑色のパイプ椅子に座る狩屋は早く始まらないかと、浅くため息をついていた。
 斜め、左にある小さな時計を目を細めて見ると、時刻は[9時25分]をさしていた。
 たしか、始まりは30分だった気がする
 なんて、軽い気持ちで考えていた。
 再び外を眺めても景色は変わらず灰色の空が広がっていた。
 すると、『卒業生が入場します。暖かい拍手でお出迎えください。』
 突然、体育館のスピーカーから女性の先生のアナウンスが始まった。
 前のはじにいた先生から順に拍手が起きる
 時刻は[9時30分]ジャスト。
 すると、前の入口から3年1組の先生であろう人が、一礼してから中に入ってくる。
 ついに始まったか....
 そう感じた途端に、俺の視界にピンク色のお下げが見えた。
 その人は、いつも以上に固い顔でぎこちない足取りで硬い体育館の床を歩いていた。
 自分が座るであろう席のまえで一度止まり、列の全員が揃うと一斉に座る
 来年、これを俺がやるのか....めんどくさいな
 軽く背もたれにかけながら、狩屋は軽く足を組む
 ここからが、長い道のりだった。
 『卒業証書授与。』
 アナウンスが入った瞬間に、1組の3年生が立ち上がる。その中に狩屋がずっと見ていた霧野の姿もあった。
 「1組。阿坂俊太。」
 「はいっ!!」
 太い声が静かな体育館に響く。
 1人目が卒業証書を受け取り、次の人が一歩前にでる。
 長い式になりそうで、すでに飽きている狩屋は、一つ大きな欠伸をしていた。
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 「霧野蘭丸。」
 来た。
 暇そうにのんきに欠伸をしていた狩屋だが、霧野の名前が呼ばれた途端。狩屋の背は-ピクン-と伸びる
 「ぁ、はいっ」
 緊張して、ぼうっとしていたのか、返事の前に小さく声が出ていた。
 それに、気づいたのか、狩屋は少し楽しそうに笑みをこぼした
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 「吉川美紀」
 「はい!」
 ついに最後の人が呼ばれた。
 最後の人が席に戻ると
 『卒業生代表の言葉。卒業生代表。神童拓人』
 「はい!」
 少しハスキーな声を出し神童は、広い舞台の上に上がり、口を開く
 『暖かい春がもうすぐ訪れ私達は、新しい道への一歩を踏みだそうとしています。』
 ゆっくりとした口調で話始める神童を見て、お前は1人でも大丈夫なんだな
 少し暖かい笑みをこぼし霧野はそう感じる。
 『私達は、今まで共に歩んできた仲間とわかれを告げ、それぞれの道へ踏み出そうとしています!!』
 神童がそういった途端に3年生は立ち上がり、舞台前のひな壇に向かい歩き出した。
- Re: イナズマイレブン【中学再生作戦編】 ( No.307 )
- 日時: 2012/03/26 00:00
- 名前: 風風 (ID: 7ZyC4zhZ)
  
 『私達は、この3年間の短い中で、沢山悩み沢山苦しみました........
 突然、神童の声が止まる
 何事かと、狩屋は椅子の上で上半身だけ動かし角度をかえ神童を見ようとすると、そこには右手で目元を隠している神童がいた。
 時折、-グスン...-と鼻をすする音がマイクに入ったため起こったことが一瞬で理解した。
 『で、すが...っ、そんな....私達を..支えて、く、れたのは....暖かく、、見守って、く、れた.......っぁ....先生方そして、大好きな、お、とうさんに、おか、ぁさんでした....』
 そう、言い切ると神童は一度マイクを切り、ピアノの元へ向かった。
 『お父さん。お母さんへ』
 すると、スピーカーからは違う人の声が入って来た
 『僕はいつも、お父さんやお母さんに迷惑をかけてばっかりだったけど、いつも暖かく見守ってくれました。今ではとても感謝しています。』
 そのフレーズが出ると、ひな壇の下のはじにいた3年生が、真ん中の式台に上る。
 優しく、四拍子を始めると、なめらかな前奏が流れてくる。
 それは、去年も卒業生が歌っていた『大切なもの』だった。
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 「ほら急いで廊下に並べ!!」
 2年生は、あいにくのこの天気なため、学校の廊下に花道をつくり、卒業生を待ち構えてるところだった。
 とくにいうことなんてないし、なんて軽い気持ちで狩屋は廊下に並んでいたが、もうすぐ卒業生が来ると言われるとさすがに緊張するらしく、喉を鳴らして気をつけをしていた。
 すると、先生を先頭に卒業生達がこっちにやってくる。
 早めに来た霧野さんを見ると、目元が少しだが赤くなっていた。
 へぇ...さすがの先輩でも泣くんだ.....
 狩屋はそんな気持ちで霧野を見たが真横を通るときに調度、目が合ってしまった。
 霧野は恥ずかしがることもなく、いつもと違う柔らかい笑顔を狩屋に見せていた。
 その途端。狩屋の目の周りははいきなり-じわぁ-と熱くなった。
 いきなりで驚いた狩屋が目元を制服で触ると制服には水滴が染み込んだ後が残っていた。
 久しぶりに出た涙に驚きふと、目の前を見ると霧野の姿はそこにはなく、随分と前に行っていた。
 このまんまじゃなんか、スッキリしない....
 そう感じた狩屋は涙をこらえ大きく息をすい
 「せんぱいが泣くとほんとぉに!女みたいですねっ!!!そんな女みたいな先輩、すぐに俺が追い越して上げますよ!!!!!!」
 と叫んだ
 狩屋の叫びが届いたのか、正反対側の階段の踊り場からは
 「やれるならやってみろよ!」
 と微かに聞こえていた。
 ほんと、最後までうるさい先輩だなぁ
 雨が止み暖かい風が吹く空を見上げながら、心のすみで狩屋は静かに、呟いた。
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 うぅ....しめが下手くそだ....
 りうむ@薔薇結晶への遅くなった誕生日&卒業祝いです。
 転送は禁止です。長々とすみませんでした。
