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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: さよなら恋心、 [ inzm11/BSR ] ( No.215 )
- 日時: 2011/11/04 18:39
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: f0LIvz7Q)
- 参照: お久しぶりです!(´・ω・`)
 「夏未、」
 暖かい声が私を呼ぶ。希望の光しか宿さぬ瞳が私を映す。凛々しく逞しい腕が私を抱く。嗚呼、なんて幸せなんでしょう。彼が好き、大好きよ。愛してるなんて在り来たりな響きじゃ、この想いの丈は伝わらないわ。
 「……な、つみ」
 ねえ、なのにどうしてかしら? 嬉しいのに、幸せなのに、何故かこの胸の隙間が埋まらないの。貴方の愛で満ち足りているはずなのに。溢れ返っているのに。ぽっかりと空いた空洞には、苦しいくらいパンパンに“空虚”が詰められていた。——あ、あれ?
 「ごめんな」
 どうして貴方が謝るの?
 「だから、泣かないでくれよ」
 どうして私、泣いてるの?
 「愛してるから。今はお前だけを、愛してるから」
 どうしてこんなに苦しいの?
 「あいつのことは、“愛してた”だけだから」
 どうして貴方は過去形の言の葉を紡ぐの?
 「円堂くん、」
 痛い、痛いのよ。貴方の愛しかないこの胸が、酷く痛むのよ。——そう、信じてたのに。
 「もう、いいのよ」
 ねえ私、気付いてたんでしょう? 今しがた気付いたようなふりなんて彼にはばれてるわ。愛しかないなんて嘘を演じ続けて、もう疲れたでしょうね。でももう大丈夫よ、認めたから、諦めたから、もう怯えなくとも泣かなくても、この胸が抉られることは無いのよ。……嗚呼でも少し違うわね。
 「私じゃ代わりになれないもの」
 この胸には、抉られるほどの“何か”さえ詰められていなかったわ。——ねえ、そうでしょう? ××さん。
 ( ××さん≠愛された私、? )
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