二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [005] ( No.51 )
- 日時: 2011/07/22 19:30
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)
- 【 真・帝国学園/雷門イレブン 】 
 その後も佐久間の皇帝ペンギン1号の脅威は続く。禁断の技——佐久間の表情がどれだけ痛みに歪もうと影山も不動も何も言わず、試合を続けるだけだ。一方で源田のビーストファングもまた、源田の手を着々と崩壊へと導いていることになる。
 鬼道は嘗ての仲間の姿に必死で制止をしようとするも、二回、三回と佐久間は皇帝ペンギンを打ち続け源田も雷門のシュートはビーストファングで何度も止める。彩音はちらちらと試合の様子を伺っては「酷い、」と呟いていた。ティアラもそろそろ限界だった。
 「もうやめて……!」
 二人の悲痛な声がフィールドに響く。真・帝国側はにやりと笑むだけ、円堂は二人を見て顔を歪める。しかし。真・帝国の攻撃は止まない。豪炎寺が居ないこともあり、戦力は其処まで高まってはいないのだった。吹雪、染岡がシュートを決めるもあえなく止められ、三度目の皇帝ペンギン1号を止めようとした染岡は傷付いてしまう。
 「——あ、たしが」
 「彩音!? だ、駄目だよ……」
 「あたしが試合に出れば、良いの。そうすれば、誰も傷付かない」
 「それなら私も出る!!」
 そんな彩音とティアラに、制止の声が掛かった。円堂が言ったのだ。
 「俺達で何とかしてみせるさ!」
 何時ものような笑みに、彩音とティアラはこの時ばかりは酷く安堵した。何時も支えてくれる円堂。くす、と円堂の様子に彩音が小さく笑みティアラが安心したように息を吐く。
 しかし、真・帝国側のFWとGK——佐久間と源田——はもうぼろぼろだった。鬼道が焦ったような声を上げる。ピイ、と試合終了のホイッスルが響き渡り、影山が現れる。不動を二流と罵り、挙句の果てに真・帝国学園を崩壊させる。その時の言葉が、蘇った。
 「最高傑作が……俺、」
 「鬼道くん、」
 未だ信じられないという風に呟く鬼道の背をそっと彩音が擦る。あぁ、と小さく鬼道が頷いてからヘリより脱出した彩音達は再びキャラバンへと向かった。
 ( さようなら、お兄ちゃん )
 *
 【 ヘブンズガーデン/亜美、ラティア達 】
 「遊ぼうって言われたけど、一体何をするの?」
 亜美に先程誘われて建て物より出てきたはいいものの、何をするのか目的を伝えられてなかったラティアは小さく首を傾げる。亜美はにこ、と何かを企んでいる子供の様な笑みを浮かべてから何処かに向けて手招きをしてみせた。
 「サッカー、簡易サッカーだけどね、」
 「何人でやるつもり?」
 「……瑠璃花ちゃんと魁渡くんも呼んであるんだ」
 「何時の間に、」
 ぽつ、と小さく呟いたラティアに亜美がにこりと笑んで見せる。手招きをしていたのは瑠璃花と魁渡の方に向けてだったのだ。チームはどうするのかどうか、ラティアが尋ねる。
 「でも、人数は三対二になるわ、」
 「あ、その事なんだけど、瑠璃花ちゃんは参加しないから」
 「え!?」
 魁渡が焦ったように瑠璃花を見る。てっきり瑠璃花もやるのかと思っていたから、だ。瑠璃花は「人数的にあれだし、また後でやるから良いんだよ」なんて言っている、が。チーム分けはセイン&魁渡、亜美&ラティアになった。
 「亜美と同じ……良かった、」
 「でもやっぱ参加したかったなー、」
 ちぇー、とつまらなさそうにしている瑠璃花とは対象にうきうきとしている。どちらかがゴールを守り、どちらかが攻め入る。亜美はキーパーでも良かったのだが、ラティアの希望によりフォワードになった。キーパーはラティアと魁渡、フォワードは亜美とセインだ。
 ピィ、と瑠璃花のやる審判が試合開始のホイッスルが鳴らす。
 「んじゃ、任せた」
 にこ、と笑みを浮かべた亜美がボールを蹴りながら進みだす。其処に賺さずセインが回り込み、ボールへ足を滑り込ませる、も亜美は軽々それを避けそのままゴールまで突っ切った。そして、そのまま足を振り上げシュートを放つ。
 「これ位——ッ!?」
 止めた、と思った瞬時に勢いを増したボールは魁渡の手から飛び出しネットへ突き刺さる。ネットが突き破れるほどの衝撃にぽかん、と口を開ける全員の姿が目に入り、ラティアだけは満足げに笑みを浮かべていた。
 ( 実力を魅せつける )
