二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: マクドポケモン♪ 1/6 1-4更新! ( No.35 )
- 日時: 2012/06/29 13:06
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
- Story1 Game1【バイオハザードですか、そうですね? 分りません】 Part5 
 「いけぇ、らーんらー!」
 「いきやがれ、ボーマンダ!」
 床に落ちると同時に開閉スイッチがオンになり、二人の手持ちのポケモンが現れる。ドナルドの手持ちは、ユキノオー。対して弟ハートのポケモンは、ボーマンダという名前のブーバーンだ。炎と氷。タイプ相性的にはハートが有利なようだ。
 「ぷっ、らーんらーとか兄貴らしい名前だなぁおい!」
 「ハートこそ天邪鬼な感じがそのまんまだよ?」
 二人はそれぞれのポケモンの愛称を茶化しあう。この会話だけ聞いていると上手くいっている兄弟に感じる。実際、口調も穏やかだ。だが、次の瞬間二人のポケモンは主君の命を受けて激突していた。ボーマンダという名のブーバーンはブラストバーンを放ち、らーんらーという名のユキノオーは地震で大地を揺るがした。
 ドナルドの社長室が一瞬で炎上し、崩落していく。羽もないのにドナルドとハートは、宙を舞っている。二人の力の影響か彼らの手持ちもそらに浮かんでいた。壊れていく机や燃えて消える書類を、無感動な目で見ながら彼は炎の直撃を受け、すでにポロボロなユキノオーにさらに命令を放つ。
 「絶対零度」
 「良いね良いねノンストップじゃねぇか兄貴! ボーマンダ、お前も必要ないから死ね」
 絶対零度。それは一撃でポケモンの生命力をすべて奪う、圧倒的な技。ハートは、かねてよりブーバーンに見切りをつけていたらしい。この戦いでドナルドのユキノオーを一撃で倒せるようならまだ使ってやろうと思っていたようだが、結局はブーバーンはユキノオーを倒すことはできず。彼に完全に見捨てられた。
 主ハートは冷酷な男だ。その恐怖政治によりポケモンに対し、絶大の命令力を誇っている。どうせ命令に背いても彼自身の手で殺されるだろう。主人に殺されるなど考えたくもない。そう思ったのかブーバーンは自ら絶対零度の深奥へと躍り出た。
 「……あーぁ、パリパリになっちまって? 割れろ」
 直撃を受け氷結したブーバーンにとどめを刺す。
 「兄貴ィ、見苦しいところをお見せしてすまねぇなぁ……雑魚の処刑は終了したので、こっからが本番ぜよ!」
 砕け散りハートの能力の影響下から外れたブーバーンの残骸は、地面へと降り落ちた。それはまるで氷の結晶のように美しかったが、荒く大きい塊ゆえに下で慌てふためいている社員たち数人に命中して、絶命させた。
 生延びた者達が泣き叫ぶ。それを感情のない瞳で睥睨しハートは言う。前座は終わりクライマックスが始まることを。
 「ドナルドはいま少し怒っているよハート? 彼等は大事な僕の社員なんだ……命で償え!」
 「らしくねぇこと言ってんじゃねぇよ兄貴!」
 ドナルドの怒号が響き渡る。人の死に絶叫するさまが、自分の中にある彼の像とどうしてもかみ合わないのか、ハートは頭を振るう。そして彼を指差せてハートはつぶやく。
 
 生温いこと言ってんじゃねぇよ————と。
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