二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照1000突破!!! ( No.322 )
- 日時: 2011/10/15 10:03
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
- 第33話 潰す。 
 病室のネームプレートには「流星魁渡」の文字。
 魁渡の眠る病室で、ホーリーロード関東地区予選第2回戦の中継を見ていた。0−1で雷門は負けている。
 鈴「魁渡のペースで起きれば良い。」
 細い声だった。
 龍羽も玲央も、今回ばかりは真面目な顔で鈴音を見ていた。
 *
 「ホーリーロードで優勝して本当のサッカーを取り戻す!」
 神童の言葉だった。
 剣城がオウンゴールを決め、フィフスセクターに従える最後のチャンスという倉間の言葉への返事。
 歌「…いつまで持つかしら。」
 葵「え?」
 歌音の視線の先はフィールド。真面目な表情で、真っ直ぐに見つめている。
 歌「今回は相当厳しくなりそうね。」
 月「同意。」
 短く言う月乃。マネージャー達は訳が分からず、2人を見ていた。
 雷門の空気はあまり良くない。
 剣城が裏切ること、それは予測していた事だがこうもハッキリ離反行動されると気が悪い。
 試合が再開された。神童は天馬にパスを出す。
 得意のドリブルで上がって行く天馬はそよかぜステップで相手を抜き去った。が、フォローに入っていた磯崎にボールを奪われる。
 そして始まる万能坂のサッカー。
 サイドを利用するように見せかけて、シュートボールを浜野に当てたのだ。
 これにはベンチもフィールドプレイヤーも驚いて声を上げた。天馬と神童が真っ先に駆け寄る。
 威力は相当の物で、浜野はあまりの痛さに倒れてうずくまっていた。
 ボールは外に出たため万能坂のスローインになったが、まずは浜野が立ち上がれるかどうか…。
 天「浜野先輩!」
 月「……」
 浜「大丈夫大丈夫、あんまり正面だったからカットできなくて…」
 車田の手を借りて、浜野は立ち上がった。
 ベンチはその様子を見て安堵する。月乃は険しい顔でじっとフィールドを見ていた。
 試合再開のホイッスルが鳴る。万能坂のスローインからパスが繋がり、天馬が果敢にボールを奪いに行く。
 橘「…あの足の動き…!」
 ラ「完全に潰しに来るわね。」
 観客席で観戦していた4人も、万能坂の意図が分かったらしい。橘が青ざめた顔で見ている。
 天「!うわあぁっ!!」
 水「!!!天馬っ!!」
 ボールに天馬がふっ飛ばされた。腹に手を当てて苦しそうにうずくまる。至近距離から相当強いボールを食らったのだ。
 月「極力近づけてダメージを最大にした…完全に〝潰すプレー〟になってます。」
 葵「潰す?!」
 月乃が剣城をじっと見ていた。神童はその視線に気付き、何かに気付いた様子で叫んだ。
 神「皆、気をつけろ!こいつ等は俺達を潰す気だ!!……あの時みたいに!」
 歌「あの時…黒の騎士団の事?」
 雷門イレブンの脳裏にあの惨劇が蘇る。レベルの違いに何もできなかった、あの時の事を。
 それであんなキックを、と絶句する霧野達の様子を見て、磯崎はようやく気付いたかと嘲笑った(あざわらった)。
 西園が倒され、彼等が潰しのプロだと雷門は知る事になる。どんなラフプレーをしても審判に見えていなければ反則は取られない。
 歌「味方が審判に見えないように隠してるのよ。」
 無表情だった月乃の顔に少し悔しさが混じった。この先の未来が見えているかのように。
 月「監督…」
 早く貴方の見ていた未来が来ますように。
 *
 龍「審判バカだね。」
 玲「お前に言われたくないとおもー。」
 鈴音達FC組も万能坂の恐ろしさを知り、口々に文句を言っている。(主に龍羽と玲央と泰斗)
 風「でも中学生相手にきちんと仕事できないっておかしいよね。」
 迷「…隠されている事に…気付きすらしてない。」
 奏「俺もそう思う。」
 里「オノで成敗してこよっかな。」
 全「それはダメ。」
 勿論止めます。鈴音が頑張って。
 *
 角「雷門中、万能坂中のラフプレーに倒されている!」
 今、フィールドに立てている雷門イレブンは剣城と三国、速水だけだ。
 月「…霧野さん…足が、」
 瞳が揺れる。手の平を固く握りしめた。
 三国が上がろうとするも、磯崎の蹴ったボールでゴールポストに激突。全く逆らおうと思わなかった速水さえ飛ばされる。
 そして、また神童が。
 山「神様っ!」
 月「…!」
 山菜が両手で顔を覆った。月乃は俯き、ティアラは目を見開いている。実況の角間はあまりの衝撃に何も喋れない。
 磯「この程度か。悪魔の力なんざ借りる必要もなかったな。」
 勝ち誇ったように磯崎が言う。もう終わりだ、立てる雷門イレブンは剣城しかいない様な物なのだから。
 月「…そう簡単に、今まで終わらなかったじゃないですか。」
 天「…まだ、試合は終わって無い!」
 例え、何度食らっても…立ち上がるための動きをしていき最終的に勝利を掴む。
 それが、松風天馬。
 良い様にボールを当てられながら何度でも立ち上がり、そしてしびれを切らした万能坂はボールを天馬に渡した。
 ドリブルで抜いてみろ、と。ただ、彼等の狙いは……天馬の足を壊す事だった。
 ニタニタ笑みを浮かべながら渡す磯崎にベンチも嫌な予感を抱く。
 ドリブルで攻め上がる天馬にスライディングを仕掛ける、それはノーダメージだった上、本人は足を狙われた事に気付いていない。
 霧「足を狙って!!」
 霧野は同じ手を食らったからか、直ぐに分かった様だ。
 剣(間違い無い、足を折る気だ!)
 そう思ったら体が動いていた。自分の兄と姿が重なる。
 天馬をタックルで飛ばしてスライディングを強引に回避させた。やり過ぎだ、と磯崎に向かって言う。
 剣「今のスライディングが決まっていたら、あいつの足は確実に潰れていた。」
 磯「だから?あんな奴、一生サッカーが出来なくなれば良いんだ!」
 ぎり、と怒りで歯を食いしばる。自分の兄はサッカーが出来ない、そして辛そうにしている———あんな姿を見たくない。
 自分の足元にあるボールを蹴りあげ何度もし慣れた技の恰好をした。
 月「……監督。」
 円「?」
 月乃が真面目な顔をして円堂を見上げた。彼が何か小声で言うと、月乃はベンチを去る。
 テ「!剣城君って…さっき天馬君に思いっきりボール当てて無かったっけ?」
 橘「凄く痛そうなのを一発…あ、気が変わったんだ…」
 鋭い観客達は驚いて議論を交わす。困惑の声もたくさん上がっていた。
 剣「デスソード!!」
 シュートは来ないと油断していたキーパーの横を、怒りのデスソードが通り過ぎる。
 同点ゴールが決まった。オウンゴールで雷門に失点を負わせた者の手によって。
 *あとがき*
 万能坂編書いてて楽しい♪
 月乃の出番が…!ほとんど無かったね??!
