二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*〜参照100突破♪ ( No.38 )
- 日時: 2011/09/02 03:08
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
- 第5話 本音 
 〜?side
 お〜、此処が制服って言うのを売ってる所か〜。とりあえずこれを買わないと、いくら通ってたって事にしても変だし。
 小さなこじんまりとした店。マンモス学校の雷門中の制服を扱っているのに店が小さいってどういう事だろう。
 とにかく店の扉を押す。チリンチリン、と音が鳴って女の店員が顔を出した。
 店員「いらっしゃいませ。」
 ?「雷門中の制服下さい☆」
 店員「サイズは?」
 ?「えっと…身長は157センチで女子用…」
 店員「かしこまりました。」
 案外地味な制服を持って来た。可愛い方だけど…
 見た目は良いの!お金だって気にしない、重要なのは雷門中の制服って事!
 私はそれを買って、店を出る。
 明日から始まる生活。あのお方は見つかるかな…。
 私は、明日から…。
 〜ノーマル
 月「紅茶、クッキー…これで良いですか。」
 メ「うん、それじゃよろしく☆」
 相変わらずハイテンションなメイド。月乃はお盆に紅茶などをのせてキッチンを出る。
 廊下に響くピアノの音。防音はしてあるはずなのに、それでも聞こえる。それは弾いているのが神童だから。
 簡単に言えば力強い、そして今の行き場が分からない感情を吐き出しているだからだろう。
 部屋の前まで月乃が来た時、ふと音が止んだ。
 彼女がハッとして立ち止まる。天馬がピアノ弾けるなんて凄いです、と戸惑いながら言っている。
 天「神のタクトの由縁なのかな〜、ってちょっと感動しちゃいました!」
 月「…」
 神のタクト。今度は月乃が戸惑う番だった。全く聞き慣れない言葉だったから。
 天馬が去年のホーリーロード決勝の話をすると、神童が突然両手を鍵盤に押し付けた。不協和音所では無い。
 神「あれはっ、フィフスセクターが自由な試合を許可したからだ!!」
 月「…言いなり。」
 廊下で、月乃がぼそりと呟く。
 結局はフィフスセクターの言いなり。許可が出ないと自由な試合も出来ない。
 天「俺、神のタクトでプレイしたいです!!キャプテンと一緒にサッカーやりたいんです!!」
 神「やめろ!…俺はこれ以上サッカー部に居たら、本当にサッカーが嫌いになる…」
 天・月「!」
 サッカーが好き。
 その気持ちは本物で、あとはそれをぶつければ良いだけ。でもぶつける事が許されない。
 有り得ないけど、それがフィフスセクター。
 天「キャプテンは、サッカー好きって気持ちを守ったんだと思うんです。だからやめるって言ったんですよね。でも、それじゃ大好きなサッカーが悲しんじゃいます。」
 神「サッカーを友達みたいに言うな!!」
 月「っ!!」
 目を閉じて、苦しい思いを抑え込もうとしても痛む心。もう聞いてられず、中に入るタイムングも分からずドアの前にただ立っていた。
 天「円堂監督となら本当のサッカーやれるって思うんです!昨日、河川敷に皆来てたんですよ!!」
 月「…円堂監督。」
 バンダナの監督。昨日の事が思い出された。
 あの監督が来ることが分かって、月乃は逃げた。彼に会ってはいけないと何かが叫んでいた。
 神「円堂監督だって何時かはフィフスセクターの言いなりになる。…帰れ。」
 月・天「!」
 このままで良いのか。月乃は自分に問いかける。
 此のまま、神童はサッカー部を辞めて良いのか。
 月乃は神童が話したことをもう一度洗い直す。その話では自分はサッカーをしたいと言っているようにも思えた。
 本当のサッカー、支配されないサッカーを。
 —命の恩人、だから恩返しを。
 月「サッカー部、本当にやめるんですか?」
 天・神「!!」
 ガチャリ、とドアを開けて問う。神童が月乃、と呟いた。
 天「今日、校長室から出て来た…何でキャプテンの家に?」
 神「ああ、もうやめる。」
 月「…天馬さん、最後に何かお願いしたい事とかあったら、言っておいた方がいいと思います。」
 神「!?」
 引き留める材料が無いように思えた。サッカーの事は聞いただけ、自分が目で見ていないから。
 すがる思いで天馬に言った。
 天「じゃ、じゃあ…フォルテシモ、見てみたいです!!」
 彼がこう言った時、月乃は心の中で安堵した。
