二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ポケモン】漆黒の炎に罪を乗せて オリキャラ募集★ ( No.82 )
- 日時: 2012/06/12 21:40
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://www1.x-feeder.info/kuma/
- 第二十一話 −絶対に止めて見せると誓ったから 
 「…じゃあ、お兄ちゃん探し再開しなくちゃ。じゃあ僕は行くよ〜」
 そう言って僕は手を振って去って行こうとしたその時だった。頭上になにやら嫌な空気が漂った。
 僕はそれを察知して直ぐに避ける。その動きにトウヤ君は驚いた。それは当たり前だ。
 彼達"には"敵が見えていない。だけど…居る!そう、多分プラズマ団の下っ端だろうけど……。
 僕はないとを取りだす。ないとは見えない敵に威嚇をする。…もう、誰かを傷つけることはしたくないんだけどなぁ。
 そんな事を思いながら僕は敵に狙いを定めていつもより低い声で呟く。その声に空気が淀んだ。
 「ないと、メガホーン」
 影は怯えて揺れて消えようとした。だけど、ないとはそれを逃がさない、逃がす筈がない。
 「甘く見ないで、漆黒の炎の別名を。別に、見た目だけでそう呼ばれているわけじゃないんだから」
 ないとの技は敵を貫く。あーぁ。生きてるかな?大丈夫かな?そんな風に呑気に考えながらないとを戻した。
 後ろを振り返ると、ところどころから恐怖の眼差しを向けられている気がした。
 また、か。
 そうだよ。昔もそうだった。この瞳を見てみんな僕を恐れた。
 だから僕は頑張って好かれるようにした。だけど、みんなやっぱり僕を避けた。
 悲しかった。辛かった。苦しかった。恐かった。だから僕は・…ッ?!
 「よく、頑張ったな」
 トウヤ君が、褒めてくれた。いつもいつも頼ってばかりなのに…褒めてくれた。優しすぎる。
 「もう、やめて」
 僕はトウヤ君を押しのけた。トウヤ君は驚いた顔をした。…ごめんね、僕…君にもう頼っていられないよ。
 一人で進まなければいけない道がある。それを僕は知っている。だから、一刻も早くー…。
 「誰もどうせ助けてくれないからいいよ。どうせ、アナタだってそうでしょう?ほら、その眼が語ってるじゃないか。
 あははははッ、狂っちゃうよ僕。だってね、みんなから嫌われて祟られるんだよ?!君にはわからないでしょ?
 僕は僕。そうだ…ないともそうだったんだ。わざわいポケモン?何それ。ないとは被害が来るのを察知して教えてきてくれてただけなのに…なんでッ、ないとが!!」
 ボールを持つ手に力が入る。あ、今ならあの恐怖の技だって平気に打てちゃいそうだよ。あはは…ははッ、
 ないとが入ったボール。力が入りすぎて中に居るないとが少し揺れた。あ、ごめんね…ないと。
 そろそろ本気で出ようとした時だった。
 視界がぶれたのだ。
 殴られた腹に激痛が走る。
 一体、何処に潜んでいたのだろうか。
 まったく気配が感じなかった。
 驚いて目を見開く暇もない。
 否、目を見開く必要もなかった。
 だって、誰かは予測できていたから。
 「お前はッ!」
 トウヤ君の声が響き渡る。
 あはは、久しぶり…だね…。
 「————————!!」
 「あれ〜俺の事、覚えてたの?嬉しいなぁ」
 リエン。白銀の碧…。
 元プラズマ団の幹部。
 「…久しぶり………」
 痛みで顔が歪むけど、必死にポーカーフェイスを保つ。
 口からは血の味がする。凄い力で殴られたようだ。
 リエンはニコニコ笑って僕を担いだ。
 床に血がこびり付く。真っ赤な綺麗な血が。
 「げほっ、がはっ…!!」
 息が苦しい。発作が、ヤバい。
 目が開かない。もう、ぼやけて見えない。
 誰かの顔が歪んで見えた。それが誰かさえ分からない。
 苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。
 「は、なしてッ」
 「無理だよ」
 さらに力を込められて声さえ出なくなる。
 それでも、諦めたくなかった。
 「お、にいちゃ、んを…さが、さな…きゃ……」
 必死に目を開いた。あ、トウヤ君が居る。だけどリエンのポケモンに阻まれて来れない。他の人もそうみたいだ。
 最後の一言になるだろう言葉を僕は全員に告げるように叫んだ。
 「お、にいちゃんを………せめて、お兄ちゃんだけでも……………………"闇"から救ってあげてッ、くださいッ!!!!」
 そう叫んだ瞬間、僕は意識を離した。
