二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ:短編集: ( No.11 )
- 日時: 2012/12/02 21:55
- 名前: 音愛羽 (ID: 4/yJe86Q)
- 帰り道。 
 二人で並んで歩く。
 「大丈夫?濡れちゃってるけど…」
 「あ、ううん。大丈夫。私、ちょっとやそっとじゃ風邪ひかないもん。」
 そっか、と微笑み返すと二人同時に黙ってしまう。
 沈黙の中、歩く音だけが耳に入ってきていた。
 ふと、道のわきにある木をみた。
 ぽたぽたと雫が梢から落ちている。
 「雫って、落ちたらどこへ行くのかな。」
 僕の小さなつぶやきは彼女の耳に届いていたようで。
 「いつの日にかね、大洋に帰るんだよ。」
 そっとつぶやきかえしてくれた。
 通り雨だったようで、もう雨は上がりかけている。
 太陽の光。
 「吹雪君、もうやんじゃったね。」
 「早いね。モノの何分しか降ってないし」
 「まあいいんじゃない?」
 「そうかな。」
 「うん。こうして吹雪君といっぱいしゃべれたからいいってことにする」
 「ふふ…ありがとう、うれしいこと言ってくれるね。」
 「えへへ…どういたしまして。」
 同じくらいの背丈で並ぶ影が二つ、笑ってた。
 *
 「吹雪!来い!」
 「行くよキャプテン」
 いつもの休日練習。
 サッカー部は集まって練習中。
 霜月さんも応援してくれてる。
 僕はゴールに向かって必殺技を繰り出すと、霜月さんに笑顔を見せた。
 彼女も僕の笑顔に笑顔で答えた。
 「さすが吹雪!ナイスシュートだな!」
 なんてほめてくれるキャプテン。
 みんなも寄ってたかって僕をほめてくれる。
 そうやって僕は改めて
 〝ああ、やっぱり僕は、僕の居場所はここなんだ。
 ここが僕の、いるべきただ一つの場所なんだ〟
 って思う。
 僕は、そう思うんだ。
 「ありがとね、みんな。」
 ほめてくれて、なんかじゃなくて僕にとっては今までの感謝の気持ち全部をこめての、ありがとうだった。
 きっとみんなは違う意味でとらえているだろうけれど。
 霜月さんと目が合った。
 僕も、彼女もまた笑顔を交わす。
 ((((----似合わない大げさな幸せより大事なものを見つけた----))))
 そのほほえみはやっぱり天使のようにかわいらしく、きれいだった。
