二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ジョ−カ−の国のアリス ( No.165 )
- 日時: 2012/04/14 10:01
- 名前: 隼子 (ID: gksmjqey)
- 参照: http://pasusitai
- 第十四話「迷い」(サ−カス) 
 遊園地の様な賑やかさに、色々な見せ物。その二つを併せ持つここはサ−カス。
 周囲の観客は期待で胸を膨らませているようだ。皆楽しそうに笑いあっている。
 そんな中に私も歩いている。なのに私の心は全く晴れない。曇っていく一方だ。
 (この前、ジョ−カ−に会いに行って監獄に迷い込んでしまったところまでは覚えているんだけど・・・・・)
 そのあとのことは全くと言っていいほどに覚えていない。目が覚めるとサ−カスの森で横になっていたのだ。
 何も覚えていないなんておかしい。それなのに思い出せない。
 (叩いてみたら思い出しそう)
 そう思って軽く頭を叩いてみる。
 コンコン
 (駄目みたい)
 ビバルディ「あ、アリス!?どうしたのだ?気分でも悪いのか?」
 ぺ−タ−「え!?気分が悪いんですか!!?すみません。気づいてあげられなくて・・・・。」
 「ん?大丈夫よ?気分が悪いとかじゃなくて、ちょっと考え事をしているというか・・・」
 ビバルディ「相談できることなら相談に乗るぞ?」
 ぺ−タ−「やめてくださいよ、陛下。彼女に『ヒステリ−』が移ったら困りますから」
 ビバルディ「・・・・・・・」
 「ぺ−タ−!!」
 (なんてことを・・・!)
 そんなことを言えば彼女が怒ることは確実だ。いったい何を考えているのだろうか。
 「ビバルディ・・・?」
 (どうしたんだろう?)
 もしかしたらぺ−タ−の言葉に傷ついているのだろうか。
 「大丈夫?」
 ビバルディ「・・・・・くくくくく、はははははははは・・・!!!首を刎ねてやろうか?」
 ぺ−タ−「神経が図太いですね。まあ、あれくらいで傷つくなんて思いませんでしたけど」
 そう言いながら時計を銃に変えてしまった。まさかこんな所で戦うつもりなのか。巻き添えを食らえば死んでしまうので、全力疾走でその場を後にした。
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 「つっ・・・疲れた」
 あんなにも全力疾走したのは久しぶりだ。今は走ってすぐだからいいが、後3時間帯もすれば筋肉痛になるだろう。考えて少し後悔した。
 客席に着くとゆっくりと腰を下ろした。そのまましばらく座っていると、私の近くの通路を体調が悪そうな人が歩いてきた。
 「ナイトメア、元気・・・?じゃないわよね」
 「ああ、見ての通りだ。久しぶり、アリス」
 ナイトメアは見ての通り本当に元気じゃなさそうだ。いつもに増して顔色が悪い。
 「どうしたの?そんなに青い顔をして」
 「よくぞ聞いてくれた!実はグレイの奴が・・・・」
 割愛・・・
 ナイトメアにグレイの話を聞き終えてから、この前の記憶を無くしたことを話すとナイトメアは少しだけ考え込んでいたが、しばらくすると口を開いた。
 「それは私にはどうすることも出来ないが、心配しなくても、そのうち思い出すさ。」
 そう言ってフラフラと歩いていくナイトメアを、私は少しの間見ていた。
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 サ−カスが始まるちょっと前には、いつの間にか城のメンバ−が何事もなかったかのように客席へ座り、サ−カスが始まるのを待っている。私も同じようにサ−カスが始まるのを待っていた。
 ピンポンパンポ−ン♪
 「本日はご来場くださいまして、誠にありがとうございます。もうすぐ開演となりますので、しばらくお待ちください」
 そうして待っていると、前回の様に舞台の中央にジョ−カ−が立ち、挨拶が終わると沢山の拍手とともにサ−カスが始まった。
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 サ−カスが終わり、テントから外に出た。今回もぜんかいと同様に素晴らしいサ−カスだった。
 だが私は前回の様に大はしゃぎはできなかった。
 それもそのはずだ。サ-カスの裏を監獄と知っていて素直に楽しめる人のほうが少ないだろう。
 ビバルディ「アリス、今回も楽しめたか?」
 「ええ。今回の芸は可愛かったわね」
 「ああ、あのウサギのピラミッドが凄く可愛かったな!」
 「ええ。・・・・って、え!?」
 (あれ?ビバルディ?)
 ついさっきまで会話をしていた相手がいきなり消えてしまった。いつの間にか後ろにいたぺ−タ−やエ−ス達もいなくなっている。
 (ということは・・・・)
 また迷子になったということか。
 「どうしよう・・・・・」
 「どうしたの?何か困ったことでもあった?」
 困り果てて独り言のように呟いた私の声に返事が返ってきた。
 「困ったこと?大有りだわ。また迷子になってしまったの」
 声の主はジョ−カ−だった。露店の隅で立っている私に胡散臭い笑みを張り付けて現れた。いつもサ−カスで会う方のジョ−カ−だ。
 ジョ−カ−「迷子か。君はよく迷子になるね」
 仮面「ケッ、迷子のがきんちょか。どこかの騎士に移されたんじゃないのか?」
 「迷子は移るものではないと思うけど」
 それはともかく、早く城のみんなに会いたい。皆に心配はかけたくないから。
 そんなことを考えていると、後ろのほうにある茂みからガサガサと音が聞こえた。
 ?「ジョ−カ−さん、アリスに何を吹き込んでいたの?」
 ガサガサと茂みから葉っぱを付けたまま出てきたのは、ハ−トの騎士のエ−スだった。
 ジョ−カ−「単刀直入だね。何も吹き込んでいないよ。ねぇ、ジョ−カ−?」
 仮面「俺に振るんじゃね−よ。」
 「ふ〜ん、そうなのか。じゃあいいや。」
 そう言いながらもジョ−カ−とエ−スからはピリピリとした空気が感じられる。これはマズイ。
 「あ、あの、迎えに来てくれたんでしょ?帰りましょう?」
 勇気を振り絞ってエ−スに話しかけてみた。するとエ−スは普段と変わらない爽やかな顔で振り返った。
 エ−ス「そうだった。うっかり忘れそうになっちゃったぜ!またなジョ−カ−さん」
 仮面「ケッ、お騒がせ騎士が」
 ジョ−カ−「またね、アリス」
 ジョ−カ−は手を小さく振って歩いて行った。
 エ−ス「ほら、行こうぜ、アリス」
 「ちょっと待って・・・、足が痛くなっちゃって」
 今頃になって筋肉痛になってしまった。歩くには歩けるが長距離はきつい。
 エ−ス「痛いのか。しょうがないな。運んで行ってあげるよ」
 「ちょっと!?待って!ゆっくりなら歩けるわ!だから下ろして!!!」
 エ−ス「駄目だよ。早く城に着けなくなっちゃうぜ」
 「あんたがお姫様抱っこしながら道に迷う方がよっぽど遅くなるわよ!!!!!」
 こうして私達は城に向かって歩くが、着くのはいつになることやらと私は覚悟を決めたのだった。
