二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ジョ−カ−の国のアリス ( No.84 )
- 日時: 2012/02/08 17:42
- 名前: 隼子 (ID: o7Zmsdob)
- 参照: http://pasusitai
- 第十話「ハロウィンパ−ティ−」 
 サ−カスが終わり、普通の生活に戻って何時間帯経つだろうか。
 あれから特に、何も事件のような事は起こっていない。それなのに何故か嫌な予感がする。胸の中がもやもやしている。
 (やっぱり、サ−カスとあの暗い場所は何か関係があるのかしら)
 いや、もしかしたらサ−カスではなく、ジョ−カ−と何か関係しているのかもしれない。
 あの暗い空間には長くいられたことはないが、おそらくあの暗い場所は・・・
 (元の世界でも勉強したことがある)
 私の予想が合っているとすれば、あれは監獄だ。悪人をとらえておく所。罪を償えれば、囚人は外の世界に解放される。それが元の世界での私の知識だ。
 でもこの世界のことが、私の元いた世界と同じとは限らない。
 (でも、どうしてサ−カスの森で・・・)
 そんなことを考えながら歩いていた。
 「・・・・・・!!?」
 すると考え事をしていたせいで誰かにぶつかってしまった。ぶつかった人が咄嗟に体を支えてくれたおかげで体制は崩したものの、倒れずに済んだ。
 「ごめんなさい!考え事をしていて・・・・・・」
 と、そこで言葉が途切れてしまった。何故ならその顔を知っていたからだ。
 「大丈夫か、お嬢さん?」
 その聞き覚えのある声にぞっとした。恐る恐る顔を見ると、彼はとても機嫌がよさそうに微笑だ。彼はブラッドだった。状況に築き、私の顔は赤くなる。
 「か、顔が近い!」
 彼はマフィアのボスなだけあって、顔が広い。
 それに女性にもとても人気だ。目立たないはずがない。
 (恥ずかしい・・・・・それに)
 元の世界にいる元彼に、彼の顔が瓜二つで、それが何より嫌だった。ブラッドを見ていると、彼のことを思い出してしまう。それに、姉のロリ−ナ=リデルを思い出してしまうからだ。
 「目立つから放して」
 そう言うと、彼は素直に私の言うことを聞いてくれた。
 「有難う。それじゃあ・・・」
 私はそのまま城に帰ろうと歩き始める。すると、彼は引き留めた。
 「待ちなさい、お嬢さん。せっかく会ったんだ、これは何かの縁だろう。ちょっと私に付き合いなさい」
 「嫌よ。あなたに付き合うと、ろくな目に合わないわ」
 早口にそう言い、歩いていく。
 「しょうがないお嬢さんだ」
 そう言い終えると、彼は指を鳴らした。
 パチ!
 すると私の服が突然変わってしまった。
 真っ黒な衣装に、ピンク色の薔薇の花が付いている帽子。
 「ブラッド、これって・・・」
 「見ればわかるだろう?ハロウィンの衣装だ」
 ということは、私のは魔女の衣装だろう。
 「私、ハロウィンなんてする年じゃ・・・・って、あなたそれ」
 彼は、全身真っ黒の服を着ている。彼はバンパイアなのだろう。というか、彼はバンパイアそのものだ。
 「変か?」
 「いいえ、・・・・ふっふふ・・・似合いすぎているわよ?
 「褒められている気がしないんだが・・・・まあいい。屋敷でパ−ティ−をするから一緒に来なさい」
 「こんな服じゃ帰れないわ」
 しょうがなくブラッドに行いていく。
 そのまま無言で私たちは屋敷へと向かって歩いた
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 屋敷に着くと、メイドさんが可愛らしいお菓子の袋を持って歩いていた。ハロウィンで子供に渡す、かぼちゃのクッキ−の様だ。
 メイド1「お帰りなさい、ボス〜〜〜。いらっしゃいませ、お嬢様〜〜〜」
 メイド2「お二人とも、よくお似合いですよ。ハロウィンの衣装」
 聞いた通り、ここ、帽子屋屋敷のメイドさんや使用人さんは、ブラッドに似て、とてもだるそうに喋る特徴がある。だが行動はとても速い。
 メイド1「はい、どうぞ」
 「あ、有難う!」
 一人のメイドさんが、私に、持っているハロウィンのお菓子を渡してくれた。
 ブラッド「私にはくれないのか?」
 メイド1「ボスは駄目です〜〜〜、バンパイアですから〜」
 メイド2「バンパイアは血を吸うものであって、お菓子を食べるものではないんですよ〜〜」
 (そういうものなのかしら・・・??)
 私にはバンパイアの知識なんてない。
 ブラッド「まあいい。行くぞ、お嬢さん。エリオットたちにも会いたいだろう?」
 「ええ。エリオット達も仮装しているの?」
 ブラッド「ああ。だが楽しみは取っておかなくては。楽しみが半減してしまうからな」
 ブラッドはそう言いながら長い廊下を私と歩く。
 しばらくそうして歩いていたが、ブラッドが「さあ、ここだよ」と言い、ドアノブを回した。
 ガチャ・・・・
 中に入ると、いろんな飾りが部屋の中にたくさん飾り付けられている。いかにもという飾りも沢山ある。
 机の上には沢山の色んなお菓子。
 そして、そこにはエリオットと双子の姿があった。
 ディ−「あ!お姉さんだ!!」
 ダム「ボスが連れてきてくれたの?」
 ブラッド「ああ。買い物の帰りに、お嬢さんと会ってね」
 そう言い、ブラッドは、ポケットから何かの包みを取り出した。
 (やっぱり、彼が動くときはアレしかないわね)
 彼の持っている包みからはとても上品な香りの紅茶の香りがした。
 つまり、紅茶を彼は買いに行っていたようだ。
 予想していなかったことではないが、やはり呆れてしまう。
 エリオット「ブラッドって凄いよな!帰り道にアリスを見つけてこれるなんてさ!!」
 エリオットの目がキラキラキラキラ・・・・・。エリオットはやはり、ブラッドのことをとても尊敬しているようだ。
 「ブラッドの言葉は絶対だ」、「疑う余地なんかねぇ」
 と、彼の心から聞こえてくるような気がしてきた。
 「そういえば、あなた達の仮装、よく似合っているわ!」
 エリオットはミイラ男、ディ−は狼男、ダムはジャックオ−・ランタンの仮装をしている。
 エリオット「あんたも似合ってるぜ!」
 ディ−「お姉さんは魔女だね、兄弟」
 ダム「そうだね、兄弟。今のお姉さんは、悪女っぽくて素敵だよ!」
 (悪女が素敵・・・・・???)
 この子たちは一体どういう教育を受けたら、こうなったのだろうか。とても子供が言うこととは思えないのだが。
 (まあ、大人の姿になれば、話は別だけど・・・)
 彼らは瞬時に時計を進め子供から大人になることができる。彼らは、役持ちならば誰でも簡単にできると言っていたが、彼ら以外に見た目が変わった人物は見たことがない。
 「私は悪女じゃないわよ!」
 こうして、私たちの楽しくも賑やかなパ−ティ−は始まった。
