二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: キョンの消失 ( No.7 )
- 日時: 2012/01/08 13:20
- 名前: デストルドー ◆s4.FcLcEko (ID: COM.pgX6)
- 俺が唖然としていると、 
 「……おや?……ああ、この格好ですか。いや、ふふ、お見苦しい姿で申し訳ありません」
 「いや……そんなことより大丈夫なのか?」
 「お気遣いいただきありがとうございます。しかし、お気になさらずにも大丈夫ですよ」
 とてもそうは見えないが。まあ、コイツは『神人』とやらと命懸けの戦いをしているんだったよな。今日もその後なのか?
 「……!ええ、まあ、そんなところです、ふふ」
 なにやら歯切れが悪い言い方だな。まあいい、それより長門の情報操作で治してもらえばいいじゃないか。
 俺がそう言うと、長門は少々困ったような顔をしているようだった。微細なものだが、変化している。
 すると古泉は、
 「長門さんにエラーが出てしまったようで少しの間情報操作ができないそうなんですよ。こんなときに怪我をするとは間の悪いものです」
 そう言えばコイツが怪我をして学校に来ているのはあまり見たことがないな。『機関』の技術で隠しているのかと思ったが、なるほど、あまりヘマしないのか。そういえばいつだったか、古泉と閉鎖空間に行ったとき、古泉が神人狩りに参加するとあっという間に神人がやられていた気がする。もしかしたらコイツは超能力者の中でもエース的存在なのかもしれない。
 長門が、
 「申し訳ない」
 と一言、すると、
 「いえいえ、鈍くさい自分が悪いのです。気を悪くしてしまったのだったら申し訳ありません」
 コイツらがこんな風に会話しているのを見ると新鮮だな。
 だが、そんな暢気にしている場合ではない。俺は古泉と長門に聞くべきことがあるんだ。
 「いくつか聞きたいことがある」
 俺は続けて、
 「先ずは長門に質問がある。一度古泉から教えてもらったことなんだがもう一度確認したい」
 長門はこちらに黒曜石のような黒い瞳をこちらに向けて、
 「わかった」
 と言った。
 「俺は一週間後に死ぬんだよな」
 長門は少し寂しそうな顔をして、
 「……そう。正確には6日と3時間23分20秒後にあなたは生命活動を終える」
 携帯電話を取り出し時刻を見ると、11月18日午後9時42分となっている。ということは……11月25日の……午前0時、俺は真夜中に死ぬのか……。
 「死因はなんなんだ?」
 「それは不明。その時刻の私と同期しようとしても拒否される。恐らく強力な情報プロテクトがかかっている」
 なるほど、ハルヒの仕業か……
 「確定したわけではない。しかし、あれほどの情報プロテクトをかけられる人物は極少数」
 「なんで規定事項なんだ」
 「私が同期しようとしたときに得られた唯一のデータにあった情報。しかし、その情報が正確なものであるかどうかは不明」
 なるほど、だから古泉はまだなんとかなるかもしれないと言ったのか。
 「現に朝比奈さんがまだこの規定事項を知らないようですから、鵜呑みにするには良くないでしょう」
 古泉、お前が俺に規定事項だとつげたんだろ。鵜呑みにさせようとしたのはお前だ。
 「いえ、その後詳しい事情を話そうとしたのですが、あなたが帰ってしまったのでね。あまりにショックだったようですね」
 ふん、悪かったな。メンタルが弱くて。
 「ふふ、冗談ですよ。それに、急に余命宣告をされて絶望しない人がいたら、その人は悟りでもひらいているか、それとも、既に生きることに絶望しているかのどちらかです。あなたは悟りを開くには少々若すぎですし、後者にしても友人として心配ですよ」
 まあ、俺はゴーダマ・シッダールタさんのように長い修行をしたわけでも、まだミルク粥も食べたこともないさ。
 「んふ、先程よりも大分心に余裕があるようで安心しました」
 「ああ、まあな。それで、だ。俺はどうすればいいんだ。」
 古泉は困ったような、やるせないような顔をして、
 「それが解れば、規定事項などとは言いませんよ」
 と乾いた笑みを浮かべた。
 やれやれ、今回のはかなり厄介みたいだな。
