二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜オリキャラ募集中&800越え ( No.105 )
- 日時: 2012/08/29 16:33
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
- 参照: http://www3.atpaint.jp/kakiko/src/kakiko1346139135706.png/img/
- ☆番外編☆第十一話 「あずかりましょう」 
 「パ、パパ……。」
 「なんだ、風花か。」
 父は、なにごともなかったかのように、テーブル付近のイスにすわる。風花は、その場にこうちょくした。とてもじゃないけど、この間のことがわすれられない。
 「パパ……。」
 「なんだ、風花。」
 「なんで、幼稚園にこの間、きたの?」
 「((ピクッ 幼稚園……?」
 父は、きゅうにこわい顔になって、風花をまじまじと見つめた。そして、ガタッと立ち上がり、風花をつきとばした。いきおいでイスからずりおち、思いきりあたまをゆかに打ちつける風花。
 乱れた前髪の合間から、父を見た。
 「そんなもの、きまっているだろう!」
 父の顔は、この世でこんなひとがいるだろうかと思うくらい、こわい顔だった。まるで、殺人鬼のように……。
 「おまえがジャマなんだよ。赤ん坊もきたし……なんなら、手間のかかるてめえを殺ろうと考えてたのによ……!」
 「パ、パ……。」
 風花はじりじりと後ずさる。
 「おまえがジャマなんだよっ。」
 父も、風花ににじりよってくる。
 「やだ……やだ……パパ、こないでっ……!」
 「黙れ。おまえがジャマなんだ……出ていけ。」
 「っっ……!」
 「とっとと、幼稚園にいっちまえ!」
 風花は耐えきれなくなり、自室にむかうと、友撫をだきかかえて、家を飛び出した。
 ☆
 「はあ……はあっ……。」
 風花は、公園までくると、ベンチにすわった。友撫が、ぴくぴくほおを動かして、いまにも起きそうだ。
 「ど、どうしよう……とっさで逃げて来ちゃったけど……。」
 友撫のこともある。
 「どうしよ……。」
 風花は、ベンチに思いきり体重をかけた。
 友撫のこともあるし……逃げてきたところで、いくあてもない。幼稚園だって、きょうはあるし……。
 「はあ……。」
 ふたたびため息をついた、そのとき。
 「あれっ、ふーちゃん!?」
 「えっ。」
 はじかれたように顔を上げ、ふりかると、
 輝がびっくりしたような顔で立っていた。制服を着ているということは、いまから幼稚園にいくところなのだろう。
 「ひ、輝……。」
 「どうしたの、ふーちゃん? まさか、家出ってやつ?」
 「あ……いや、ううん。ちがう。ちがうの。」
 そうはいっているものの、服装といえば、パジャマのままだし、おまけに友撫までかかえていて……なにかあったのかときかれれば、なにもなかったとはいえない状況だ。
 「輝、どうし……あら。」
 「あっ、輝のお母さん……。」(風花と輝のママは会ったことがあります)
 輝の母が風花を見て、まあっと声をあげた。
 「どうしたの、あなた。」
 「えっと、その……。」
 「はだしで走ってきたのね。風花ちゃん、おうちで、いったいなにがあったの?」
 「パ、パパと、えっと……。」
 「…………なにか、いえないようなことがあったのね。」
 輝の母は、にっこりほほえんで、輝にいった。
 「輝、この子、家であずかりましょう。」
 「えっ。」
 「い、いいですよっ。」
 「でも、その赤ちゃんがいるでしょう?」
 「あっ……。」
 風花は、腕の中で眠る友撫を見て、すこしわるかったが、たのんだ。
 「お、おねがいします。」
 風花はあたまを下げた。
