二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナクロ〜なくしたくない物〜参照120キタ——!! ( No.15 )
- 日時: 2012/07/22 10:17
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
- 5話 「するどいな。とはいえず」 
 朝になりました。おはようございます。
 と、いいたかったんだけど、じつは昼だったっていうね。きのう友撫に半殺しにされたせいで、なかなかねむれなくなってしまい……。
 気がついたら昼でした☆
 で、いまは、なんかみんな化身アームド修得のためにいろいろやってんのに、俺だけフェイに呼び出される。ひでえ。俺、友撫が頑張ってるすがたみたい。シスコンだから←
 「で、なんなんだよ、ききたいことって(はやく友撫のところいかせろよ。)」
 「うん。じつは、気になったことがあるんだ。」
 「ふーん(はやく友撫のところいかせろよ。)」
 「ねえ、風花ってさ……。」
 「なんだよ(もったいぶってないで、はやく友撫のところいかせろよ。)」
 「なにか僕たちにかくしてない?」
 「…………………ん?」
 俺はフェイのことばに、カチンと硬直してしまう。
 いま、なんて?
 「かくしてない?」って?
 「なんかかくしてない?」って??
 オイゴラ、するどいではないか。
 とは、もちろん、いえず。
 「べつに。なんで、そんなこと思ったんだよ?」
 「きのう……。シュウと僕たちが話してるとき、風花がひとりだけいなかったから。」
 「ふーん。……案外、観察力があるんだな。」
 そうとだけいうと、沈黙がおとずれた。
 「…………はあ。わかったよ。あるていどなら話す。」
 「やっぱり。なにか、かくしてたんだね。」
 「うーん……話しづらかったから、いわなかっただけなんだけど。でも、未来人のおまえなら、べつにいいか。」
 「……?」
 「でも、この間いなくなったのとは、少ししか関係ないからな。」
 俺はそういって、フェイに話し始めた。
 俺は、小さいころは、まわりの子たちとまったくどこもかわらない、ひとりのオコサマだったんだ。父さんと母さんにワガママいってふりまわして。でも、母さんがいうには、俺はそこまでオコサマじゃなかったらしい。まあ、そんなことはどうでもいいや。
 幼稚園年中さんのとき。一歳半という幼さで両親を交通事故で亡くした、友撫がウチにきたんだ。俺は自分より小さい子が大好きだったから、かわいがった。
 ふつうなら父親や母親がやるようなことを、俺が半分くらい自分ですべてやりこなしたし、ミルクも寝かしつけるのもやった。どうしても俺の父さんと母さんじゃ、うまくいかなかったみたいだし。
 そんな、なんともない平和な暮らしだった。でも、小学二年生になって、それがガラッと一変したんだ。
 俺が小学一年生になって少ししてから、いじめがはじまったんだ。自分でかくしているつもりだったけれど、俺の友だちだった子が、かってに報告してしまったらしい。校長室にいいにいっても、改善する気がまったくなさそうだったらしかったから、小学二年生のはじめあたりで、俺は学校に通わせてもらえず、かわりに家庭教師のひとに教えてもらうことになった。ていねいだったから、すぐにおぼえられた。勉強に対して、まったく不満はない。でも、やっぱり人間関係に、とても不満があった。
 たとえいじめを受けていたっていっても、高学年のひとたちは、とても仲よくしてくれたんだ。転んだときなんて、すかさず手を貸してくれて、血が出ている時は、保健室まで肩を貸してくれた。
 人間関係上の不満はあったものの、それ以外の不満はとくになかった。それならいいじゃない、と母さんが言うから、それ以上は反論しなかったが、できれば、これ以上のことは、なにもおこってほしくなかった。
 けど、そんな願いもむなしく、やっぱり、これ以上のことはおきた。
 父さんと母さんが、きゅうに俺を、海外の病院につれていくとかいいだしたんだ。どこの国だったかは、よくおぼえていないけど……。
 そのときの顔は笑顔で、俺も家の中だけの生活できゅうくつだったから、うれしかった。すなおに。だって、つまりは家族旅行だろ? うちは、父さんがバリバリの、いわゆる「デキる男」で、仕事ばっかりで、なかなか帰ってこないもんだから、家族旅行なんていったことなかったんだ。だから、心底楽しみだった。
 病院っていうのは、少し気になったけど、きっと見学かなんかだと思ってた。母さんは、看護士志望らしかったから。
 でも、家族旅行なんて言う、おだやかなものじゃなかった。
 最近知ったんだけど、それは……。
 「フェイ、風花、ちょっときてくれない?」
 話のとちゅうで、シュウがぴょこんと、林の中から顔を出した。俺はほほえんで、
 「ああ、わかった。」
 といった。フェイはなにかいいたそうだったけど、有無をいわさず「いくぞ、フェイ。」といって、いく方向へとむりやりおしながした。
 けど、このとき、シュウのことばをむしして、話し続ければよかったと後悔するのは、もう少し先のことになる。
