二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.gray-man -天空の鏡- ( No.16 )
- 日時: 2012/07/05 20:28
- 名前: ラン (ID: qs8LIt7f)
- 第三夢 -回り始める- 
 「上が騒がしいな」
 「だね。何かパーティーしてるのかな」
 崖の上から、声や爆発音が聞こえる。いつもは地下から入っていくのだが、カナタは上に登ろうとしている。
 「もし喧嘩だったら...」
 「大丈夫だって」
 「カナタが行くなら私も行くよ」
 「ハ!?」
 「...」
 「...」
 ハルナには無理をさせたくなくて。カナタはいつも通り地下から教団に入っていった。いつもならみんな<おかえり>と言ってくれるのに、中に入っても誰も居なくて不思議に思い、室長室に向かった。
 相変わらず資料や本が散らかっていて、足の踏み場もない。ハルナが戸惑っている中、カナタは平気で資料を踏んで行く。リーバー班長・コムイ室長が、目に入った。そして、同じエクソシストのリナリーも。
 「あら、カナタ、ハルナ。久しぶり」
 「久しぶり」
 「なにしてるの?」
 「神田が...ね」
 エクソシストの神田が、白髪の少年に剣を突きつけていた。その時、ハルナは確かに見た。その少年の左腕を。何年か前にサーカスで見かけたあの少年と同じ、赤腕だった。
 「嘘...」
 「?」
 少年はずっとエクソシストだと言い張り、クロス元帥から紹介状が送られてきていると言い出した。それもコムイ宛てに。コムイの名前を知っている時点で、疑いは晴れた。きっとあの資料の中に、元帥の紹介状が入っている。
 「そこの君!」
 「は...はい!」
 「ボクの机調べて!」
 「あ...アレをっすか!?」
 科学班員の両手が震える。あの山積みから一枚の手紙を見つけるのは困難だ。一時間...三時間はかかるのではないか。やれやれと、カナタは手紙探しを手伝い、ハルナもまた手伝った。
 「あ、ありましたよ。コムイさん」
 紛れも無く、クロス元帥からの手紙だった。エクソシストだとわかり、少年を黒の教団内に入れる。リナリーはその少年を迎えに、門へといそいだ。
 「...カナタ」
 「ん」
 「あの人...赤腕だった」
 「!?」
 「写真で見た腕と同じだった。左腕だったし、手の甲にあった十字架も同じだった」
 「...まさか。アイツが?」
 「わかんないよ。でも...あんな人そこらへんにはいないよ」
 「...そうだよな」
 白髪の少年と、ハルナの運命の歯車が回り始める。歯車は噛み合うのかどうかはわからない。でも、可能性はあった。ハルナの歯車は絡もうとしても、白髪の少年の歯車は逃げていく。追いかけても追いかけても、交じわえない。これが運命か。
