二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.208 )
- 日時: 2012/09/08 14:05
- 名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)
- 『海馬さん!1号室前の廊下のがれきを除去しました!』 
 『アイアイサ〜。…ッだって。いいよ兄さん。行ってきな。』
 「…ああッ!」
 海馬の言葉を受け海東は1号室の扉を思い切り開けた。
 「琉香ッ!!」
 海東は倒れている琉香のもとへ走った。
 「琉香・・・ッ!!」
 海東は琉香の体を抱き上げ、揺さぶった。
 「目を開けてくれ…琉香…!」
 「海東さんお子さんをこっちに!」
 ばたばたと医療班が琉香をタンカへ乗せる。
 「おい琉香は無事なのか!?」
 「…すごく毒を吸っていて今すごく危ない状態です…。目を開けるところか生きられるかどうか…!」
 「ふざけるなッ!」
 「やめてあなたッ!!」
 医療班の胸倉をつかみ怒鳴る海東を抑えるあかり。
 「…ここで怒鳴っても琉香は目を覚まさない…ッ!」
 「…すまんあかり。」
 しゅん、と海東は医療班の胸倉を離す。
 「あとは…琉香次第よ…。待ちましょう・・・。」
 「ああ・・・。そうだな・・・。」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「…で、琉香は助かったのかよ?」
 青峰が身を乗り出してあかりに聞く。
 「…いいえ。あの子は助からなかったわ。ちゃんとした病院にはこばれたときにはもう・・・。」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ピーピーピー!!
 「いちにッ!いちにッ!」
 救急車の中で救急隊員は琉香に心臓マッサージを繰り返す。
 琉香の小さな体ががくがく揺れている。
 「琉香あッ!しっかりして!」
 「琉香…!」
 「・・・る・・か・・。」
 あかり、海馬、海東は頼りなさげな琉香を心配そうに見つめた。
 しばらくしてから、ピ——————と、糸を切るような音が救急車内を制止させる。
 「…あ…の。琉、琉香は…?」
 「…残念ながら・・・。」
 残念そうに首を振る隊員にあかりは声を上げずに泣き出した。
 「・・・・・・。」
 「あかりさん・・・。」
 3人は何も言えなかった。
 琉香は死んだ。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 「うっ・…琉香…どうして…!」
 霊安室に無機質な顔で眠る琉香の手をあかりは握りしめた。
 「・・・・・・・・・。」
 スッと海東は霊安室を出た。
 「兄さんどこ行くんだよ?」
 何も言わない海東の後を追う海馬。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 「ここは・・・。」
 「ここは俺たちの祖父の文庫だ。」
 海東は1冊の本を取り出した。
 「それって・・・。」
 「そうだ。祖父が完成できなかった死んだ者の細胞を溶媒としてあたえる人体蘇生の本だ。」
 「できるわけないだろ!?」
 「俺はどんな犠牲を払っても琉香を蘇生させる…!」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「だけど、人間は絶対に生き返らない。実験は無駄に終わったの。」
 あかりはキセキ達を見据えた。
 「じゃあ萌香は…?」
 桃井の質問にあかりは、
 「その無駄に終わった実験のなれの果てが萌香よ。どうして無駄かっていうと、萌香は琉香の性格や利き手や眼の色、ほとんどが真逆だったからよ。」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「なぜだなぜだっ!・・・なぜ、すべて琉香に似ていない…!容姿は性格も目の色も利き手も・・・ッ!なぜ…!」
 「…でも、琉香の妹として・・・。」
 「こいつは失敗作だ!!」
 あかりの声を遮るように海東は叫んだ。
 「あなたは命にそんなことを言うの!?」
 「…こいつは琉香の器だ!それ以外何もありはしない!」
 「命を器だなんて言わないで!!」
 「…オレは何年かかっても琉香をぜったいに・・・。」
 「海東…あなた…!」
 「あかり。もう俺にかかわるな。」
 そして、10年がたった。
