二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマGO 金色の懇願姫 ( No.8 )
- 日時: 2012/07/30 18:33
- 名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: Ej01LbUa)
- 三つ目の御話 「懐かしの歌姫」 
 夜。
 マサキは部屋のベットに顔を埋めた。
 「…ったく、一体何なんだよ……あいつは…」
 『ここまで、嘘なんかつかなくていいんですわよ。』
 『貴方の表情を見ればわかりますわ。』
 『私は、『金色の懇願姫』、神無月架那琥ですわ。
 何か願いがあったら、私に言ってくださいませ。』
 マサキは、今日はじめて出会った、神無月架那琥という少女について思いだしていたらしい。
 そして、ぎりぎり、と言う歯ぎしりの音が部屋に鳴り響く。
 「願いなんて…どうせあいつは、ただの人。
 叶えられるわけ、ないじゃんかよ…」
 ——俺も、そうだったように。
 そしてマサキは、暗くなった部屋の中で、目を閉じた。
 * * *
 また、朝が来た。
 空は今日も晴れ渡っている。
 ぎらぎらと光る太陽が、マサキを現実の世界へと呼びもどした。
 「…晴れてるなぁ、嫌なぐらいに。」
 そしてマサキは、今日もいつもと変わらないように、腕を制服の袖に通す。
 * * *
 いつもと変わらない道。
 いつもと変わらない通行人。
 そんな毎日が良かった。
 極端に良い日があると、極端に嫌な日がある。
 そんな嫌な日は、もう送りたくない。
 けれど、いつもと変わらないものなど、ありはしないのだ——。
 「おい、そこのお前。」
 「え…?俺ですか?」
 「そうそう、そこの雷門中の制服を着た少年。」
 黒髪の女性が、マサキに話しかける。
 ——いつもと、違う日だ。
 「ちょいと、雷門中まで案内してくれないか?
 もう数年行ってなくて、道がわからないんだ。」
 「はぁ…」
 雷門中へ向かう途中に、その女性はマサキに何度も話しかけてきた。
 「なぁなぁ、お前は何部なんだ?
 私は一時期、サッカー部に入ってたんだ。」
 「奇遇ですね、俺のサッカー部なんですよ。」
 「ほぉ〜う…。
 今の監督って、なんていう人だ?」
 「円堂監督です。」
 「円堂ぉ!?あいつが!?」
 女性は、あからさまに驚いた表情を表した。
 「そうか…アイツがまさか監督とはなぁ…」
 「知り合いなんですか?」
 「え?…あぁ、まぁな。」
 そんな他愛もない会話をつづけていくと、雷門中はすでに目の前にあった。
 「やっと着いたか…
 もう、ずっと行ってなかったなぁ…。」
 そう言って、女性は懐かしそうなものを見る目でそういったのだ。
 「そうだ。
 お前、名前はなんていうんだ?」
 「えっと…狩屋です。狩屋マサキ。」
 「狩屋か。
 多分、これからちょくちょくサッカー部に行くかもしれないから、よろしくな。」
 そういった後に、女性は微笑みながら言った。
 「私の名前は、和奏。
 月川和奏だ。」
