二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫 -僕等の世界- ( No.15 )
- 日時: 2012/08/27 13:27
- 名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)
- 第十一輪 -遠い距離- 
 「はい、丕くん。これお弁当ね」
 「ありがとうございます」
 噂によれば、リクオは昨夜妖怪の姿になったらしい。見れなくて残念だ。
 久しぶりに今日から学校に行くことにした。でも奏やリクオとは別の時間帯・・・速く登校する。
 「あの・・・ごめんなさい」
 「ん」
 「職員室はどこですか?勝手がわからなくって」
 「・・・この棟の二階」
 「おおきに」
 同級生くらいの、髪の短い女子。この学校の制服は着てたが、方言使ってたし、見たことないから転校生か?・・・まぁ、僕は制服違うから目立つけど。
 「・・・ねむ」
 「やっぱりここ?」
 「・・・奏」
 「駄目だよ、授業サボッたら」
 「別に」
 「将来損するよー」
 「お前こそ、サボッてんじゃん」
 「後でカナちゃんに、ノート見せてもらうから。・・・あの時のこと、まだ引きずってるの?」
 ・・・奏は女子や男子や、先生にも人気が高い。優しくて、かしこくて、運動も出来る。まさに完璧な「人間」になっていた。「妖怪」ではなくて・・・。
 「別に」
 「・・・丕が悪いんじゃないよ」
 「じゃあ誰が悪いのさ」
 「それは・・・」
 「ホラ。俺しかいない」
 「・・・どうしてマイナスの考え方しかしないの?」
 「俺の人生マイナスで出来てるから」
 「じゃあ、私の人生のプラスを分けてあげる」
 ・・・意味が分からない。でも、風に揺れる奏の髪と綺麗な笑顔は、絶好だった。こんな画、もう二度と見れないかも知れない。
 「お前のプラス分けてもらったら、お前が「動ける時間」がなくなるぞ」
 「いいよ。死ぬわけじゃないもの」
 「死んでると同様だろ」
 「・・・丕の馬鹿」
 一時間目の終わりのチャイムが鳴り、奏は屋上の階段を下りていった。・・・おこらせてしまった。あの奏を。でも本当の事を言ったまでだったのにな。
 「ただいま」
 「ずいぶん早いお帰りですな」
 「昼より夜の勉強の方が俺のため」
 俺の帰りを出迎えるのは、毎回木魚達磨。長いヒゲとハゲがモチーフだ。
 「奏様は、かなり馴染んでるようですな」
 「関係ない。あんな楽しい時間、すぐ終わるさ」
 「・・・奏様の事、理解してないようですなぁ・・・」
 「は?」
 何を言ってるんだ。僕等は双子。相手の気持ちなんて充分理解してるんだよ。奏は、人間と仲良くしてるのが幸せなんだ。
 「僕は奏の良き理解者だ」
 「・・・失礼ながら、丕様は本当に奏様と血の繋がりがおありか?」
 「だから何だ」
 「いえ、知らないにも程があると思いましてな」
 「・・・うるせぇな」
 だったらお前は。奏の事を知ってるのか?理解してるのか?みんな・・・他人事のように思っていない、あの「出来事」を。
