PR
 
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 灰色 ( No.24 )
- 日時: 2012/09/01 20:59
- 名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
- 参照: http://nanos.jp/zotbox77/
- 17. 手を濡らす水滴 
 (夏生side)
 中学2年の秋から、私のお隣はずっとずっと緑色の髪をしたバスケ少年だった。
 いつからか好きになってしまって、どうしようもない胸の痛みに耐え難かったのは、今だってそう。
 「別れて欲しい」なんて彼に言わせてしまう程、私は最低な女だったのかと心底落ち込んだ。
 好きだった、大好きだった彼と別れたくなんかないけれど、未練がましい女と思われて余計嫌われるのも怖くて。
 だから嗚咽が出そうな喉の詰まりに気づかれないよう「分かった」と呟いて押し黙る。
 本当は聞きたくて聞きたくて、仕方なかった事も聞けず仕舞い。
 『どうして?何で?何がいけなかったの?』
 繰り返して繰り返して、自問自答、他者他釈してみてもダメで声が涙が出そうになった。
 強がってみたけれど辛くて悲しくて胸が抉られそうで
 ねえ私の何がいけなかったの?
 直すから、すぐには直らないかもしれないけれど、時間をかけてゆっくりと。
 辛いよ悲しいよ泣きたいよ、でも泣けないの。
 涙がカラカラに脱水してしまって一滴も出ないの。
 嗚咽だけが辛いくらい悲しいくらい沢山でるんだよ
 慎太郎
 すきなのに別れるってとっても辛いね
 違う、慎太郎はもう私のことなんか、好きじゃないんだった。
 ポトリと、たくさんの雫が高尾くんの暖かい手を濡らした—。
 PR
 
 
 
