二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- オリバト2
- 日時: 2010/07/13 03:47
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- オリバト2を書きたいと思います。 
 前作と同じで残酷な描写がありますので注意してください。
- Re: オリバト2 ( No.30 )
- 日時: 2010/07/21 09:46
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- 腕時計のアラーム音で、逢坂雫(2番)はいつものように目を覚ました。 
 七時だ。学校に行かなくては。
 時間割を昨夜のうちに合わせておかなかったことを思い出し、雫は慌てて飛び起きた。
 ——なんで昨日、やっておかなかったんだろう!
 大急ぎで鞄に荷物を詰めようとして、雫はようやくそこが自分の家ではなかったことに気がついた。
 そうだ。昨日はプログラムに放り込まれて、それで時間割が合わせられなかったんだっけ。
 まだすっかりとは覚醒しきっていない雫は一人、妙に納得していた。
 「おはよう。よく眠れたみたいね」
 クラスメイトで生徒会長の秋元蘭(8番)が椅子に腰掛け、自前のノートパソコンのキーボードを、何やら物凄い勢いで叩きながら、
 声をかけた。
 そしてやっと、雫は全てを明確に思い出した。
 赤本涼子(6番)に撃たれたこと。
 でも、銃弾は奇跡的に自分本体には当たらなかったこと。
 川本と、一緒にいた赤石渚(5番)が撤退して銃撃戦は終わり、自分達も移動して、今、このオフィスコンピュータルームにいること。
 ついでに、夜半すぎ、二時間ずつ交代で寝ようと決めて、すっかり寝過ごしてしまったことも思い出した。
 「会長、ごめん! 本当にごめん! 今からでも、寝てよ」
 「私は大丈夫。ネットやっててつい徹夜しちゃうことだって、よくあることだし、慣れてるわ」
 蘭は優しい笑顔を雫に向け、しかし、タイピングの手は休めなかった。
 蘭の予想を嬉しい方向に裏切って、回線自体は、切断されてはいなかった。
 サイトの閲覧等、ダウンロードは全くの自由だったのだ。
 情報もまた武器である、上手に利用しなさい、と、そういうことなのだろうか。
 ただ、メールの送受信や、掲示板への書き込みなど、こちら側からの情報の送信は、できないように、何か設定をいじられているようだった。
 それらをいじり返すことも、時間さえかければ亜衣ならできそうであったが、今は、情報集めが最優先事項である。
 「そうだ、6時の放送。私、寝過ごしちゃって聞いてなかったけど、どうだった?」
 二時間ずつで集中して睡眠を取れるよう、部屋のスピーカーの音量は、最小限に小さくしていたので、雫はすっかり聞き逃してしまっていたのだ。
 蘭の顔から笑顔が消えて、ほんの一瞬沈黙ができた。
 それから蘭は(キーボードの上の手はいつの間にか止まっていた)、一度、ごくりと喉を鳴らしてから、慎重に言葉を紡ぎだした。
 「夜の間に死んだのは、8人。裕菜さんに早苗さん、稲川さん、犬飼さん、井内さん、石川さん」
 そこから先がどうにも、言葉には出来なかった。
 その様子を、単に死者の多さに心を痛めているのだと解釈して、雫は何か気の利いた言葉をかけようとしたが、同時にある不審な点に気付き、問いかけた。
 「おかしいよ、会長。それじゃ、六人しかいない」
 「——あとの二人は、渚と涼子、よ」
 二人は暫らく絶句した。先に口を開いたのは、雫だった。
 「どうして——」
 「—ーわからない。一緒にいる所を誰かに殺されたか、別々に行動して、別々の誰かに殺されたかには違いないとは思うけどね」
 「二人で自殺したっていう可能性も、あるよ」
 どうしても、雫は殺し合いが進んでいることを否定したい様子だった。
 特に、渚と涼子の二人に関しては。
 「とにかく。これで私達以外で残っているのは、佳織と里奈、それと市川さんの五人になったわ。五人なら、なんとか、皆で脱出も夢じゃないかもしれない」
 もう、たったの五人しか、いないのだ。
 首輪をはずすとか、首輪本体の機能自体を停止させるとか、そういった策を見出せないまま、五人だけになってしまった。
 しかも、——多く見積もっても五人なのだ。
 放送終了直後に、単発の銃声が聞こえたが、それっきりだったし、放送から一時間しかたっていないので、自分達以外の三人ともが死んでしまっているとは思えなかったが、万一のことを思うと気が重かった。
 「ねえ、会長。考えたんだけど、——」
 「雫!伏せて!」
 蘭は、半ば飛びつくようにして、雫を床に押し倒し、覆い被さった。
 後頭部をしたたか床にぶつけて、文句を言いかけたが(痛いなあ、なにすんの、会長!)、その言葉は派手にガラスの割れる音にかき消された。
 雫の視界の殆どは、蘭の体で隠されていたのだが、わずかに垣間見ることが出来た。
 廊下側のガラスを破って、飛び込んでくるダイナマイトが。
 一瞬のことだったので、雫にはよく見えなかったが、勿論、導火線は点火済みだった。
 猛烈な爆風と爆音が二人を襲った。
 蘭の指が一層強く雫の体をつかんだ。
 【残り 4人】
- Re: オリバト2 ( No.31 )
- 日時: 2010/07/21 09:52
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- やがて、爆風がおさまり、秋元蘭(8番)の体の下から這い出そうとして、その体がもはや「殆ど」存在しないことに、逢坂雫(2番)は気付いた。 
 雫自身、蘭の体が僅かに庇いきれなかった左腕が、ものの見事に丸ごと消失して、激しく出血していたのだが、その事には気が回らないほど、雫は動転していた。
 桃色の制服は、上半身を中心に深紅に染まり、所々に不気味に肉片(恐らくは蘭の!)がついている。
 顔も、手も、血の海で溺れたかのように、血に染まっている。
 不思議なことに、蘭の武器の拳銃だけが、全く破損することなく雫の傍らにぽつんと落ちていた。
 死後も尚、蘭が雫を守るかのように。
 ……たった今まで一緒にいたのだ。
 直前まで、会話していたのだ。
 それが、一瞬で、文字通り、……跡形もなく消し飛ぼうとは、誰が予想し得たか?
 ——言っていた。「絶対脱出しようね」と。
 そう、蘭が死ぬわけがなかった。
 蘭は、かれこれ三年間、国語科教員で演劇部顧問の菅原先生(とても若いハンサムな先生だ)と付き合っていて、この会場から脱出したら、きっと彼のもとへ向かうのだと、雫は信じていた。
 二人の仲は、蘭が成績を嵩上げしてもらっているだとか、時に悪い噂となって、校内を巡ったこともあったのだが、概ね順調だったのだ。
 先週も、二人で新幹線博物館に行ってきたと、楽しそうに蘭は雫に話していた。
 菅原先生を残して、蘭が死ぬなんてあってはいけない。
 頭が良くて皆のまとめ役で運動部でもないのに運動神経だって抜群で。
 「どうした。撃たなきゃ撃っちゃうよ?」
 ゆるゆると、雫は廊下がわに顔を向けた。
 粉々に砕けた窓の向こうの廊下に、秋山里奈(9番)が、拳銃をこちらに向けて立っているのが見えた。
 肩からは、ショットガンを吊るしている。
 なぜ。一応は、自分達グループと親しくしていた(いや、グループ内の人間だったと言ってもいい)、里奈が、なぜ。
 「どうして! なんでなの! なんで、簡単に殺せるの、友達を!」
 蘭が残した拳銃を拾いもせず、ただ全身で怒鳴るように叫ぶ雫を見て、ふう、やれやれ、といった調子で溜息をつき、改めて秋山は、銃口を雫の額に向けた。
 ゆっくりと、無表情に。
 息をのむ雫めがけて、まっすぐに銃弾が飛び出す。
 それは、プロ級のとても鮮やかな射撃だった。
 「友達だからだよ。友達だから、せめて苦しまないように殺してやったんじゃないか」
 それは、雫の耳には、届いていなかった。
 もとより聞かせるつもりも、なかったのだけれど。
 苦しむ暇も与えず、殺してやったのだから。
 志乃の体がぐらりと揺れ、蘭の残骸の上に倒れこんだ。
 血溜りが一度だけ、ぴしゃん、と撥ねた。
 【残り 二人】
 死亡者:秋元蘭(8番)、逢坂雫(2番)
- Re: オリバト2 ( No.32 )
- 日時: 2010/07/21 10:00
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- たたた、たた、たたたん。 
 軽快なリズムにのせて、秋山里奈(9番)の体が、一風変わったダンスを踊った。
 背中と腹に開いた幾つもの穴から血を流しながら、里奈はゆっくりと左後方に向き直った。
 数メートル先に、マシンガンの銃口を向け、妖しい笑みを浮かべた、市川真弓(17番)が立っていた。
 頬の、乾いてこびりついた返り血さえ(一体誰のものなのだろう)、まるで人形のような真弓の美しさを、際立たせている。
 里奈もにやり、と笑い返した。
 唇の端からごぼごぼと流れ落ちる血の滝が、顎を伝う。
 「あんたは、何人、殺った?」
 里奈の問いに、真弓は答えなかった。相変わらず、妖しい笑みを浮かべたまま。
 真弓にはわかっていた。
 石井佳織(15番)のときと違い、近距離で、尚且つ逃げる物体を追っての射撃ではなかったので、恐らく、里奈の傷は致命傷に近い、と。
 だから真弓は里奈が拳銃をスカートのポケットに押し込み、ショットガンを構えなおすのを、黙認した。
 本来の真弓であれば、問答無用で弾丸の雨を降らせていたが、今現在生き残っているのが自分と秋山、(そしてまだしぶとく死んでいないなら瀕死の石井も)であり、石井・秋山共に重傷を負わせたのが自分自身であることから、これが多分、最後の戦闘になると判断し、……ならばもう少し、楽しんでもよいと、そう思ったのだ。
 「私は、五人殺った。……あと一人、増えるけど、な」
 里奈のその言葉が合図となって銃撃戦が始まった。
 腰を落としマシンガンを乱射する真弓。
 そのマシンガンを狙い、ショットガンを単発で放つ、里奈。
 ほんの一瞬、里奈の銃撃の方が、早かった。
 真弓の、引き金にかかった指が、火を噴いたように熱くなり、右手の指がまとめて三本消えていた。
 グリップが流血でぬるっとすべったが、かろうじて真弓は銃を保持した。
 里奈に向けて放たれる予定であった弾丸の群れは、先ほどの爆撃で無残にガラスの砕け散った窓枠を越え、教室に倒れている逢坂雫(2番)にいくつか着弾した。
 雫の死骸が数回、小刻みに撥ね、血飛沫をあげた。
 それでも全てが里奈を捕らえなかったわけではなく、里奈はショットガンを取り落とし、廊下に、うつ伏せに倒れこんで、そのまま動かなくなった。
 廊下に、血のシミがじわりと広がっていく…。
 真弓は相変わらず凶悪に美しい笑顔をたたえていた。
 痛みを感じないわけではなかったし、むしろ、怪我を負わされたことに激怒していたことが、更に真弓のその静かな笑みを、凶悪にしていた。
 真弓は使用済マガジンを排出すると、予備マガジンを詰めなおした。
 片手での作業であったが、驚くほどスムーズであった。
 単なる死亡確認としてとどめを刺すのではなく、自分を傷つけた奴に、絶対全弾をもって掃射してやるという気合がそれを可能にしたのだ。
 「私は三人よ。あなたを含めてね」
 それは、プログラムが始まって以来、真弓が発した、最初でそして最後の言葉であった。
 鳥の囀るような、美しい、透明な声。
 その声に重なるようにして、銃声がした。ただ一発。
 真弓は、整った長い睫毛に縁取られた、愛くるしい目を大きく見開いた。
 それで、うつ伏せのまま、里奈が伏せ撃ちの要領で拳銃を撃ったことがわかった。
 地面に伏せたまま、上半身だけを起こし、右手に握った銃の銃口からは、ゆらりと一筋の硝煙が上がっていた。
 真弓の頬を、血が筋を作って流れ落ちる。
 負けたくない。負けるわけにはいかない。
 優勝することで、真弓は自分の正しさを、独りで生きる価値を、証明せねばならなかった。
 くだらない馴れ合いで徒党を組んでのうのうと日々を過ごしている連中や、真弓の容貌や才能を妬みこそこそと陰口を叩く連中に。
 (もっともその殆どは、もう既にこの世にいないのだが)
 真弓の指に気合と共に、今一度マシンガンの引き金を引かんとばかりに、グッと力がこもり、——しかしそれは叶わなかった。
 真弓の体が、ゆっくりと右に傾いて優雅に倒れた。
 頭部の銃創から、緩やかに血が流れ続けていた。
 【残り 1人】
 死亡者:市川真弓(17番)
- Re: オリバト2 ( No.33 )
- 日時: 2010/07/21 10:08
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- かつん、と小さな音を立てて、拳銃が秋山里奈(9番)の手から転がり落ちた。 
 その手は小刻みに震えていて、拳銃を拾い上げるのは無理なように見受けられた。
 もとよりそうすることを里奈は望んではいなかった。
 里奈は起き上がり、壁に背をつけて、足を投げ出すような形で座った。
 それは、何ということのない動作だったが、全身は思い通りには動かず、かなりの時間を費やした。
 のろのろと、右手がポケットを暫らくさぐり(左腕は、撃たれた傷のせいか、ぴくりとも動かす事はできなかった)、諦めた。
 最後に一服しておきたかったのだが、どうにも煙草の箱が見当たらなかった。
 ——私ね、殺すのも、殺されるのも嫌なんだ——
 不意に、拓美は秋葉優子(7番)の言葉を思い出した。
 あと、自分以外で残っているのは、第三回の放送から今までの間に死んでいないなら、石井佳織(15番)だけだ。
 だが、もはや、今の里奈には戦うことはできなかった。
 相変わらず、唇の端からは血の滝が溢れ出していたし、体中に弾丸の通過した穴があいていて、制服はすっかり真っ赤に染め上げられて
 いた。
 里奈は満足そうに、目を閉じた。
 ——私は、殺すのも、殺されるのも、悪くはないと思ったんだ——
 優子のショットガンは今はもう、その役目を終え、里奈の傍らに無造作に転がっている。
 恐らくもう数分もすれば、この体さえも、役目を終えるのだろう、このショットガンのように。
 「お疲れ様」
 石井佳織ではない、しかし聞きなれたその声と気配に驚いて、里奈は今一度目を開いた。
 まぶたはやけに重くて、非常に苦労を伴ったのだけれど——。
 そして里奈は驚愕した。
 プログラム開始前に死亡したはずの、飯田愛美(12番)が、里奈の傍らに立ち、見下ろしていた。
 その手には、優子の(里奈の)ショットガンが握られており、その銃口は里奈につきつけられていた。
 亡霊? ゾンビ?
 赤石渚(5番)ではなかったが、一瞬そんな言葉が頭をよぎった。
 「不思議でたまらないようね。あなた、もう身動き取れないみたいだから、教えてあげるわ。私が殺される心配、ないみたいだものね。 ……政府関係の人間が、プログラムで、賭けをしているのって、知ってる?」
 ほんの数秒前までは、停止寸前だった里奈の頭脳は、だが、その言葉で全てを理解した。
 プログラム賭博は割と有名な噂話だったので、里奈も知っていた。
 つまりこういうわけだ。
 誰か、政府の高官(恐らくはかなりの有名人)あたりが、飯田愛美に大金を投じて、大穴狙いの一点買いでもしたのだろう。
 プログラム担当官の相沢リカは、事前に内密に飯田愛美と話をつけ、そしてあの試合開始の演技が行われたのだ。
 相沢があのとき発砲した拳銃は、薄暗くてガンマニアの里奈でさえ本物だと誤認したが、あれは、火薬とペイント弾を仕込んだ、巧妙なモデルガンだったのだろう。
 そうして最後の一人(ということは石井佳織は既に死亡したのだな、と里奈は考えた)になったら悠々と校舎内に入り、その一人を抹殺する、
 そういう手はずになっていたわけだ。
 相沢がグルなのだから、首輪も、飯田の分は、当然、禁止エリアなど無効にされている……。
 要するに、八百長試合に参加させられたのだ。
 まるで子供だましの漫画(赤本涼子(6番)だって、こんな結末納得しないに違いない)のような。
 「悪いけど、優勝させてもらうわよ」
 里奈のすぐそばには、市川真弓を撃った拳銃がまだ落ちていたのだが、里奈は拾おうとはしなかった。
 全てが明らかになった今、自分の優勝は(そしてクラスメイト達の死は)、とても、無意味だった。
 そっと、目を閉じ、ぐったりと壁に体を預けた。
 だから、里奈は見ることはなかった。魔女のような、愛美の笑みを。
 ショットガンが火を噴き、一発の銃声が廊下にこだました。
 【残り 1人】
 死亡者:秋山里奈(9番)
 優勝者:飯田愛美(12番)
- Re: オリバト2 ( No.34 )
- 日時: 2010/07/21 10:16
- 名前: sasa (ID: q6B8cvef)
- 「なかなか、いい出来じゃないの!」 
 感嘆した風に、担任・相沢リカ(音楽科教員)は言った。
 隣では、副担任・菅原大三(国語科教員)が、満足げにうむうむ、としきりに頷いている。
 菅原の胸ポケットから、携帯電話のストラップがだらしなくはみ出し、新幹線(700系のぞみ)のマスコットが揺れている。
 ここは、視聴覚教室。
 暗幕を兼ねたカーテンを締め切った教室には、担任たち二人の他、T組の生徒達二十二名が、めいめい好きな場所に腰掛けている。
 全員の視線は、テープを巻き戻している最中の、ビデオデッキに注がれている。
 「でもちょっと気になるわぁ、秋山さんの喫煙シーン、問題にならないかしら?」
 「それは大丈夫です、なんたってあれは秋葉と市川のCGですからね、血飛沫や銃のマズルフラッシュなんかも、こいつらがやったんですよ」
 本当は、喫煙シーンだけは思いっきり本物だったのだが。
 菅原は、相沢の目を盗んで、秋山・秋葉・市川にウインクしてみせた。
 ちょうどそのとき、相沢は、黒板の上に取り付けられた、年代物の丸い掛け時計に目をやっていた。
 「あら、もう、6時前じゃない!下校時刻とっくに過ぎてたのね。皆!急いで帰りなさい。後片付けは先生達がやっておくわ」
 それで、生徒達はそれぞれの荷物を手にとった。
 夢から覚めたように皆が口々に喋りだしたので、あたりは騒然となった。
 「明日の学園祭、楽しみだね」
 「ビデオ部門の優勝は、間違いないな」
 「僕は、正直、総合優勝も狙えると思う」
 「占ってみてもいいけど、嫌な結果出たら嫌だしねぇ」
 「私の漫画雑誌の星占いでも見る?」
 そう、10月1日は、学園祭。待ちに待った、年に一度のお祭り騒ぎが、明日始まる。
 しかし彼女たちはまだしらない。
 明日始まるデスゲームに参加させられることに。
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