二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士
- 日時: 2012/09/13 22:54
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)
- 二つ目であります、漆千音です。元Chessです。 
 さて、ドラゴンクエスト、オリジナル、です。わたしが勝手に考えた奴です。
 名はタイトルどおり——【漆黒の姫騎士】。
 主人公はわたしの幼なじみモデルです。ま、誰も知らないからいっか(笑
 ・・・で、ドラクエⅨとかぶる名前がよく出て来るけど、一切関係ありません。
 この名前が好きなんだろうって解釈して。みたいな。
 【 お知らせ 】
 最近自分の偽物が出現している! って人も多いみたいです。
 で・・・わたしのトリップですけれど、1OlDeM14xYとJftNf0xVME、両方わたしです。本物です。
 前者がかつてのパソコン、後者が今のパソコン。ある理由により使い分けていました。
 ・・・で、その理由及び問題が解決したんで、元通りになりましたわーわー(黙らっしゃい byレイサ)。
 ・・・つーわけで。はい。((殴
 ぬはははは何故こんなにこちら側はやる気が起きん
 それはノートに書いていない話を書き始めようとしているからであるそして
 そのネタが思いつかないからである———スランプ中です。
 いやそもそもスランプとか言える才能持っていませんけれども。
 やる気を起こすまで今しばらく『星空の守り人』を更新しまくりますスイマセン・・・
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- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.44 )
- 日時: 2011/01/24 17:57
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)
- 【 Ⅱ 】 
 アインテルスは、一日もたてば何事もなかったように立ち直っていた。
 ちなみに、偽物の武器防具を買ったために無くなった報酬はマイレナが遠慮容赦なく再び請求。
 何ゴールドもらったのかは知らないが、それは後のマイレナのお小遣いとなる。レイサの今までの行動のことも
 すべて話され、謝罪されたが、マイレナもリーシアも気にしなかった。リーシアいわく、
 「わたしらは死ななかったんだしもうどうでもいい」
 らしい。死んだら恨んだのだろうか、とマイレナは思ったが(そしてそれはかなり恐ろしそうだったが)
 よくよく考えてみれば死んだら恨めないか、と勝手に納得する。迷信深い性格ではない。
 マイレナ、リーシアの二人は、レイサの口利きで宿屋にタダで泊まらせてもらった。
 住民は、エージェがいなくなったことを心から喜んでいた。だが。
 「何だったんだろーね・・・あれ」
 マイレナがポツリと呟く。昼のこと。
 エージェは、あの光に焼かれ——おそらく、死んでしまっただろう。
 「あの声も気になる」
 食後の腹筋をしつつ、リーシアが考え込む。リーシアは見た目の割にかなり食べるほうである。
 だが食べた分だけ運動も過激なので、マイレナはリーシアの腹は
 筋肉標本みたいになっているんじゃないか、と思ったこともある。・・・怖くて見たことはないが。
 「何かが動いているのかもしれない。——第一、なぜこの町を狙ったのだろう」
 「んなこと言ったら、キリがないよ。あぁいうのは、どっかをテキトーに定めて、そこにずっと居座るものだし」
 「いや、リーシアの言うとおりだと思うわ」
 別の声がして、二人同時に(リーシアは床に背をつけたまま)扉の方向を見る。
 おはよう、とやや遅れて言ったレイサだった。
 「どーいうこと? ・・・って、もう昼ですけど」
 「ま、今日初めて会いますから」
 「祭りの片付けは終わったのか?」
 「うん、ビュラの傷もリーシアの魔法で楽になってるみたい。ありがとね」
 「ん」
 リーシアは次いで腕立て伏せに入る。・・・何も堂々と筋トレをしなくても。
 「・・・あぁ、で、さっきの質問ね。・・・この町はある国の支配下にあるの」
 ずかずかと遠慮なしに部屋に入る。
 「・・・ま、ちょっち酷いトコなんだけどね。でも、旅人はほとんどそっち方面に行くし、
 第一その国へ行くまでにある中間の町は港なの。確実にそこのほうが、人が集まりやすいから」
 「そうなの? ・・・てぇか、そのひどい国って」
 「あれ、知らない?」レイサは目をぱちぱちさせて言う。
 「グラデンヘルゼ王国って言」
 がたん!
 「「っ!?」」
 マイレナとレイサが同時に音の方向を見た。リーシアだ。リーシアがバランスを崩し、ベッドの脚に腕をぶつけていた。
 「り・・・リーシャ?」
 マイレナは見る。リーシアの、いつもは冷静な、無感情な顔に、焦り、戸惑い・・・類の色が見えていた。
 (・・・な、・・・何? どうしたん、だろ・・・?)
 「・・・悪い。バランス、崩した・・・続けて」
 明らかに失敗したものではないことは分かる。
 グラデンヘルゼという名に、尋常でない反応を見せたことが分かる。
 「・・・う、うん。・・・えと、グラデンヘルゼっていう、世界指折りの大国よ」
 「・・・グラ?」
 「グラデンヘルゼ」
 長ったらしい名前だね、とマイレナ。
 「でもねぇ・・・今はほんっとに酷いよ」
 リーシアは筋トレをやめる。ベッドにもたれかかり、レイサの話を黙って聞く。
 初めて見せる、追い詰められた表情をして。
 Chess)長いので一度打ち切り。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.45 )
- 日時: 2011/01/25 17:36
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)
- 「・・・酷い、の内容は?」 
 マイレナの声で、話は続く。
 「うん。典型的。税金高いし治安悪いし難民が増えてるし盗賊・強盗・恐喝云々も見るようになったし
 志願兵募集中とか言っておきたがらあたしの兄貴は女王様直々の命令で強制的に兵士にされたし」
 「・・・な、なんでまた。——まさか、よそに戦争しかける気?」
 「かもね」レイサはさらりと言う。「このご世態ってーのに、そんなことやってる暇あんのかしら」
 「ってか、その国、軍事国なの? それとも革命があった?」
 「ううん。・・・ただねぇ。噂として、王子様の許婚が行方不明になったから、ってのがあるわ。
 どこかの国に隠しているんじゃないかとか言って」
 「王子の許婚ぇ?てことは、どっかの姫か何か?」
 「そ。北東にかまえる、世界一の大国マレイヴァの、ヴェルシーナ姫よ」
 「マ・・・マレイヴァ!?」
 ここで初めてマイが、リーシアに向く。
 「リーシャの出身地じゃ——って、どしたのリーシャ?」
 リーシア、夢から覚めたようにはっとする。
 「なっ、何・・・?」
 「何、じゃないよ。どーしたの? らしくない」
 「もしかして」レイサが指差す。「お姫さま?」
 リーシャの機能が全停止している・・・マイレナがそう思ったほど、リーシアは固まっていた。
 だが、すぐにふっと笑い、
 「ばっかねぇ・・・!」
 そう、呟いた。
 「わたしがヴェルシーナ殿下のはず、ないだろ? 一体何がどうなったら、そんな風に」
 「・・・ふうん? ま、いっか」
 何がいいんだろう、とマイレナは言おうとしたが、なんだか妙なところに突っ込んでいるような気がしてやめた。
 「そういやさ。ヴェルシーナ姫って言ったら、“姫騎士”って呼ばれてたんだよね」
 「あ、それ知ってる」マイレナ。「詳しくは分かんないけど」
 「何だそれ、意味ないじゃん」
 レイサがけらけら笑い、教えたげる、と一言。
 「ヴェルシーナ姫が姫騎士って呼ばれるのは、まずは姫君にもかかわらず
 すんごい戦い慣れしてるような方だったから・・・生まれながらにね」
 「う、まれ、ながらぁ・・・?」
 「そ。あたしが生まれながらの魔法使いだったみたいに、姫君も生まれながらの騎士の才能を持ってたんだろうね」
 すげぇ、と、マイレナが娘らしからぬ言葉を使う。
 「そして五年前・・・マレイヴァを魔物の集団が襲った。理由は、ヴェルシーナ姫を殺すためといわれてるわ。
 彼女は“闇と光の継承者”って呼ばれていて、魔物から恐れられていたから」
 「・・・継承者? まさか・・・」
 「知ってるか。そう。世界共通の伝説、あるいは昔話の“世界樹人”——その子孫だった可能性があるわ」
 世界樹人。今はまだ、説明をするべきではない。 (←作者のカッコつけた物言い)
 「で、姫君とその兄様、つまり王子様はマレイヴァの兵士と戦ったけど・・・王様と王妃様は、
 崩れた城壁に飲み込まれ、生死不明。生き延びたはずのヴェルシーナ姫と王子様も、
 行方知れずとなってしまった・・・ってわけ」
 「な・・・なんだよそれ、ひどい」
 マイレナは憤慨する。しかしすぐに、何かに気付いてリーシアに向き直る。
 「もしかして、リーシャの言う敵討ちって・・・マレイヴァを襲った魔物?」
 「えっ!?」
 リーシアの声が上ずる。
 「あたりだね」マイレナは得意そうに言った。
 Chess) 長いので再び打ち切り。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.46 )
- 日時: 2011/01/25 20:04
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)
- 「とにかくさ、マレイヴァとも交流深かったグラモンなんたら王国に行ってみようよ」 
 「・・・あ、あぁ・・・言おうとしていたんだ」
 マイレナのグラモンなんたらに少々の疑問を感じたが、リーシアはとりあえず何も言わないで置いた。
 「方針決まり! ね、レイサ。グラモンなんたらって」
 「グラデンヘルゼ」
 「それそれ。グラタンヘルゼってどう行くの」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 ここまで来ると、わざとしか思えないのだが、恐ろしいことにマイレナは大真面目に間違えていた。
 「ここを出て東の川沿いに北へのぼり、その先の橋を渡ってさらに東、
 今度は崖沿いをぐるっと西へ回って二つ目の橋を渡った先の町の船に乗せてもらい・・・」
 「・・・・・・・・・・・・・・・」
 「船着き場についたらそこを出てさらに西の十字路を南に進みずっと歩いた先の関所を通って
 南西の道沿いをずーっと歩いた先がグラデンヘルゼよ」
 「・・・・・・・・・・・。あんた人間レコーダー?」
 「ここじゃ常識」レイサ即答。次いで、リーシアが尋ねる。
 「・・・“船に乗せてもらう”って、違う大陸に行くわけじゃないんだろ?
 ここはグラデンヘルゼの支配下にあるっていうのなら」
 「まあね」レイサは頷く。
 「崖になってて、行く手を阻んでるの。実際距離は6キロほどでも、最短経路は15キロくらいあるかな」
 「それじゃあ治めるのも大変なんじゃないのか?」
 「まーね。助かってるよ。あそこのひどい政治が、ここに届かないんだからさ」
 「・・・そんなに、ひどいのか・・・」
 「うん。前はそうじゃなかった・・・国は変わるものだね。ヴェルシーナ姫も、かわいそうに」
 「・・・・・・・・・・・・・・・」
 リーシアがやはり黙り込む。姫君のことをよく知っているんだろうか。レイサはそっと、そう思った。
 「・・・ところで」
 重い空気を振り払うように、レイサはいきなり言った。
 「どうせ今のでグラデンヘルゼの行き方がわかるわけないし、あたしが案内しようか」
 「えっ! いいの!? ——って、また偽物武器防具じゃないよね?」
 「んなわけないでしょう!」
 おどけたマイレナの意見に、レイサすかさずツッコミ。
 「・・・昨日の恩もあるんだしさ」
 「ん。まぁ——リーシャ?」
 リーシアの眉が——寄ってはいなかった。ついでに動いていないわけでもなかった。
 一応、疑惑、重大、不審・・・云々はなさそうだ。
 「・・・いいですよねリーシャさん?」
 「ああ」応えた。「頼む」
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.47 )
- 日時: 2011/01/25 20:40
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)
- アインテルスを出て、東の川沿いに北へのぼり、その先の橋を渡ってさらに東へ進んだところにあった 
 崖沿いをぐるっと西へまわり、二つ目の橋を渡った先にあった港町ポスタミアに、三人はようやく到着した。
 「あー疲れた」
 ついてからマイレナが、一番素直な感想を言う。
 「マジでしんどかった。あー疲れた」
 意外と話に聞いた以上に遠く、上り坂も多かった。
 だが、珍しい、リーシアの焦るような足取りに文句はつけられず、黙って歩くことで従ったために、
 マイレナの足は棒状態だった。
 ドスン、とそこらの壁にもたれかかったマイレナを見て、レイサは苦笑。実は彼女の足もパンパンだった。
 「今日はここで泊まる?」
 「そうだな。情報収集もしたい」
 「了解」
 レイサはおどけた敬礼をする。
 「・・・わたしは何様だ?」
 「あはは、冗談」
 「・・・・・・宿屋、取ってくる」
 財布の事情を確認したリーシアは、宿屋を探し、歩いてゆく。
 宿屋の若女将に、部屋は一番安いところでいいと言うと、先客がいるといわれた。
 仕方なしに、それより少し高いランクの部屋を頼む。
 もう一度財布の中を見てため息をついたリーシアの後ろから、若い男が部屋から出てきた。
 闇色のターバンを巻いた、黒髪の若者だ。暗めの服装と、隙のほとんどない身のこなしから、盗賊だろうと想像できる。
 (・・・盗賊でも泊めるんだ)
 リーシアはちらりとそう考え、夕飯などの交渉を始める。
 財布の中身は割と金がたまっていたが、あくまでリーシアは安さを重視する。ケチ、というとぶっ飛ばされる。
 若者が扉を開けて外に出ると、ちょうどまさにその時、町の住民たちが騒ぎ出した。
 何だあれは、こっちに向かっているぞと。
 「?」
 リーシアがひょいと顔をのぞかせた瞬間、空が濁ったように薄暗くなる。
 暗雲を率いて近づいてきたのは、
 「——魔物・・・!?」
 リーシアが、その正体の種類を声に出した。
 住民が悲鳴を上げ、近くの家に逃げ込む。ほぼ無人となった町の外に、魔物たちが降り立った。
 多い。五匹十匹の話じゃない。一体、何故——?
 外にずっといたマイレナとレイサは、だらけきった顔を緊迫の表情に変え、同時に身構えた。
 リーシアは夕飯の交渉を中断し、遠い位置から様子を見る。この辺りに生息する魔物ではない。
 一体なんなんだ・・・? と首を傾げかけた時、視界の横に誰かの姿を認識する。
 ふっ、と見ると、それはひょうひょうとした表情の、例の盗賊らしき若者だった。
 「・・・ここは危ない。家の中に入って」
 リーシアは鋭く言った。気遣う言葉に聞こえるが、ほぼ命令口調だ。
 しかも、若者は聞いていなかった。入るどころか、リーシアを見て不敵に笑ってみせる。
 「あんたは外に残るんだろ? 女だけで戦わせるわけにもいかない」
 「なっ」
 グラデンヘルゼの話をしてから様子のおかしいリーシアは、思わずカッとしたが、今はそんな暇もない。
 諦めたように笑い、足手まといには絶対ならないだろうと判断し、それなら行くぞと手すりを飛び越えて
 三メートルほど下にすたりと降り立った。
 「ふん」
 若者もそれに倣う。
 戦闘、開始。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.48 )
- 日時: 2011/01/26 21:56
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: FjkXaC4l)
- 降り立ったいなや、若者は両手をパン、と顔の前で合わせ、早口に何かを呟いた。 
 リーシアには『真空波』と聞こえた。聞こえたとおりだった。
 若者の周りの空気が変わる。真空状態になった風が刃となり、魔物たちを一気に切り刻む。
 「うっは。大胆だね、盗賊のくせに」
 マイレナがいつの間にか、そこまで来ていた。どうやらマイレナもまた、若者を一目で盗賊と察したらしい。
 「ああ、マイ。そっちはどうだ?」
 「うん。言おうとしてた。まず大胆男は 真空波_それ_ が使えるからいいとしてさ、」
 「・・・大胆男、はやめてくれ。俺はティルスだ」
 答えたのはリーシアではなく、若者——ティルスだった。
 「ん、ティルスね。私はマイレナ、よろしく——で、リーシャ、あいつら、さっきの風の奴は結構効いてたんだけど、
 呪文がほとんど通用しないんだっ。レイサの 氷刃呪文_ヒャダルコ_ 効かないし、ましてや
 私の 風巻呪文_バギ_ なんてダメダメだっ」
 「そうか・・・だけど、こいつら片っ端から倒してもキリがなさそうだな」
 「あれ、見てみな」
 ティルスだ。指差す先をたどる。そしてマイレナとリーシア、同時に顔をしかめた。
 魔物がまた降り立ってくる。要するに、次々と現れているのだ。
 「これってさぁ・・・アインテルスで倒した魔物と関係あんのかなぁ」
 「ん? ・・・恨みを買ったってこと? 人気者になったらしいな」
 リーシアはちょっとした皮肉を言い、・・・そこではっと気づく。
 「・・・マイ、それなら火炎系統は? 確かレイサが使えたはずだろ」
 「え? 火玉呪文_メラ_ ? ・・・い、一応効いてるけど、それじゃ一体ずつしか——え、まさか、
 空爆呪文_イオ_ でも使うつ——」
 マイレナのその後の言葉を一切無視して、リーシアは目を閉じた。背筋を立て、右足をわずかに引く。
 両手を胸の前で組み、人差し指と中指だけを立てて交差させる。
 「——ライデイン」
 リーシアは静かに、それだけ言った。マイレナが驚き、首をかしげる。
 ティルスもまた驚いたが、マイレナとは違う、困惑したような表情だ。
 暗雲を裂き、空が光る。白く神々しい雷が、まっすぐ魔物たちの 咢_あぎと_ に突き刺さる!
 耳をつんざく轟音と、目を開けていられないほどのまぶしい光に、リーシアを除く外にいた三人は
 一瞬だけ気を失いかけたほどだった。
 ・・・それでも三人が目を開けると、なんとそこには、魔物の姿はどこにもなかったのである。
 一同唖然とし、一番最初に動いたのはレイサだった。 ぱちぱちぱち! と盛大に拍手する。
 「すごいよリーシア! 何だったの今の!」
 つられて、無事だと悟り外へ出始めた住民にもそれが伝わり、町中拍手の嵐となる。
 リーシアは少しだけ肩をすくめたが、自分を訝しげに見るティルスと視線が重なり、目をしばたたかせる。
 「・・・何?」
 「あんた・・・どこかの王族の者なのか?」
 リーシアの目の色が変わる。すぐに反応できなかった。
 「・・・何で? ・・・そんなわけ、ないじゃない・・・っ」
 なんでそうなるんだよ、と呟く。ティルスはそれに答えた。
 「・・・今の。 雷光呪文_ライデイン_ だろう・・・? それを使えるのは、この世に立った二人しかいない。
 ・・・そのうち一人は王族の者だって聞いたからな。そうじゃないかって思っただけだ」
 「・・・・・・・・・・・・。———えっ?」
 何だ、そういうことか——そう言おうとして、ふっと話の内容を確認しなおす。[たった二人だけ]?
 「・・・ふ・・・二人・・・!? 王、族・・・っ!?」
 リーシアは絶句した。しまった、と思った。同時に——寒気を覚える。
 笑顔で手をたたき続ける群衆の中で、違った複雑な表情をした二人、
 そして、遠くから群衆に紛れて同じような表情をした者が、一人だけいた・・・。
 Chess) 次回、遂にリーシアの秘密その一が明らかに。予告。宣伝。ほぼネタバレ。
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