二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.194 )
- 日時: 2010/03/19 07:39
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
「・・・・・?」
葵はスッと目を開けた。
障子が少し開けられていた為、朝日の光が差している。
最初はボゥっとしていたが、ガバッと体を起こした。
「!!、ここ・・・・は?」
僕は・・・・川中島にいたはず・・・・・———。
さっきまで川中島にいた記憶を思い出す。
どうやら自分は、頭の激しい痛みに気絶したようだ。
「——っ!」
横腹が痛む・・・・・。
夢ではない、ちゃんとした現実だ。
目の下はどうやら大丈夫のようだ。
だが、葵は少しにがい顔をした。
あの時・・・・幸村を・・・・・!———。
政宗に会うのは少しきつい事だが仕方が無い。
だが、今回は失敗とも言える。
葵は少し悲しくなった。
伊達家の・・・血縁である者のプライドに・・・・泥を塗ってしまった・・・・・・・———。
そう思ってしまうと悔しくてしょうがない・・・・・。
「葵様〜?起きてらっしゃいますか?」
部屋の前に、伊達家の侍女が言ってきた。
部屋に入らないように、葵は答える。
「・・・あぁ、少し痛むが・・・起きている。政宗か小十郎に、少し休めば治ると言ってくれ」
侍女に伝言を言うように政宗たちの所に行かせた。
葵はいまだに女だと皆にばらしていない。
いや、ばらしてしまうと皆がどこかに行ってしまうという勝手な妄想に取り付かれているだけかもしれない・・・・・・。
ただあくまで知っているのは政宗と小十郎、それと幼馴染の三人・・・・・———。
会いたいな・・・・佐助・・・・元親・・・・———。
今だこの頃会っていない幼馴染の名前を思う。
葵はあまりやる事も無い為、少し痛むが朝日が差している障子をもう少し開け、空を眺めていた・・・・・・———。
☆****☆
「葵様がお目覚めになったか」
「はい、少し休めば治ると仰ってました」
伝言を伝えた侍女は礼をし、その場から立ち去る。
葵が傷を負って三日経った奥州は、あまり変わらなく普通であった。
だが・・・・・・———。
問題は政宗様ですね・・・・・———。
奥州筆頭の政宗は、葵が傷ついたのは自分のせいだと責めていた。
その政宗に今葵の目覚めを言うべきか悩んだ小十郎だが、主君に伝えるのが家臣の務めでもある為政宗がいるいつもの稽古場に向かった・・・・・・・———。
★****★
「・・・・・チッ!!」
怒りのような舌打ちを政宗はした。
葵を傷つけてしまった・・・・・・・———。
その思いが自分の判断力を責める。
「俺は・・・・俺は・・・・・!!」
葵は優しい。
だが、今回の戦でかなりの傷を負ったのだ。
しかも、葵の作戦に最初に乗ったのは自分だ。
これを自分で責めないなど有り得ないだろう・・・・・———。
少し竹刀を持つのを止め、雲ひとつ無い青い空を見上げる。
その時・・・・・———。
「稽古中お勤めご苦労様です、政宗様」
「!・・・・小十郎」
一番信頼している小十郎が、いつもと変わらず話しかけてきた。
「・・・・なんか用か?俺は今、気分が悪いぜ」
「だと思っていましたよ。あなたは、葵様を大切になさっていますから・・・・」
苦笑して、小十郎は政宗に近づく。
政宗は、少し下に俯いた。
「・・・・先ほど、葵様が目覚めましたよ」
「——!!。・・・・・・そうか」
いつもならすぐさま葵に会いに行く政宗だったが、ただ雲の無い青い空を見つめるだけ。
「・・・・・政宗様、葵様に会わないんですか?」
「俺は・・・・——葵に会わす顔が無ぇ!!」
「!!・・・・政宗様」
ギリッと聞こえるような音で政宗は歯を食いしばった。
そんな政宗に小十郎は少し問う。
「・・・・政宗様、それはご自分のせいだというのですか?」
政宗はキッと小十郎を睨みつけ、吐くように言った。
「ああ、そうだ!!俺は軽い気持ちでいた!!それで俺のせいで従妹が傷ついたんだ!!!傷つけた奴なんか葵だって会いやしねぇ!!だから俺は「失礼」!」
パァン・・・・・・・———。
小十郎は政宗の言葉を遮った後、政宗の頬に一発はたいた。
行き成りの痛みに、政宗は驚くばかり。
小十郎は深く礼をし、主である政宗に面と向かう。
「主に対して手を出すのは無礼だとは承知です・・・!ですが、聞いてくださいませ政宗様。確かに自分の軽い気持ちで葵様を傷つかせたかもしれません。・・・ですが、葵様は葵様で考えた策でお怪我をしたのです」
「それが何だ!俺が乗った策だから俺にも責任があるだろう!」
政宗は反論する。
小十郎は表情を変えず、続いて言う。
「えぇ、確かに。ですが、あなただけではないはずです」
「——!!」
確かに、葵の策を取り込んだのも政宗だが、承諾したのは政宗を含めた伊達軍である。
「政宗様だけではありません・・・。伊達軍の兵や葵様と一緒にいた兵・・・この小十郎も心が痛みます。ですが・・・政宗様が責任を全て負うのは、無い事なんですよ」
「・・・・・・小十郎」
「・・・後で罪は償います、ですが・・・葵様には会って下され。話もして下され・・・・政宗様」
そう小十郎は言って、政宗を残し城へ戻った・・・・・・———。
祖の四拾七夢 三日後の目覚め