二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.228 )
- 日時: 2010/03/20 15:14
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
——奥州——
「・・・・・・・;」
政宗は葵の部屋の前で立ち尽くしていた。
入って良いのか・・・・悪いのか・・・・・———。
そう思ってしまうとなんだか冷たい城主とかなど妄想を繰り広げてしまう。
小十郎は入ったままだし・・・な・・・———。
そう思っていた時・・・・・・・・———。
「おや?・・・・政宗様」
「——!!」
行き成り戸が開いた上に小十郎がいた。
「こ、小十郎!お、俺は別に葵と用はねぇぞ?」
「・・・・少しは素直になったらどうですか」
はぁ・・・とため息をつけた後、主である政宗に聞こえるように言う。
「葵様に会いに来たんじゃありませんか?」
そう言うと、うっ・・・と図星の顔をして白状した。
「・・・・・・あぁ」
「少しは素直になりませんと、葵様の前では何も喋らないまま終わってしまいますからね;それと私は今から畑に向かうので、二人でごゆっくり」
そう言って小十郎はすぐさま退散する。
政宗は本当は一緒に小十郎もいてほしかったが、すぐさま行ってしまった為、頼みの綱が無くなってしまった。
はぁ・・・とため息をつけた後、葵の部屋に入る。
「・・・・葵、大丈夫か?」
「・・・!、政宗」
葵はすぐさま政宗の声に反応した。
政宗は葵に負担がかからないように近くに座る。
「・・・おはよ、政宗」
「ん?・・・あぁ、Good morning」
少し緊張したが、すぐさま葵に返す。
「「・・・・・・・・」」
二人とも、何も話題が無く無言の間が続く。
どうすればいいんだ・・・・この空気をよ・・・・———。
あまりの緊張感が高まるが、ふと葵が口を開いた。
「・・・・ごめんね、川中島の時は」
「——!!・・・・・なんで葵が謝んなきゃいけないんだ?」
えっ・・・と言うような顔を葵はした後、すぐさま顔を下に向ける。
「・・・伊達家の血縁者なのに泥を塗ってしまったから」
「——!」
政宗は少し心の中で驚く。
今まで自分は伊達家のプライドなど考えなかったのだ。
「・・・・・・葵」
葵の肩を見ると少し震えている。
幼い頃から変わらないこの震えは悔しい自分に勝てなかった時の・・・・——涙。
「・・・・ごめんね。僕が・・・・弱すぎるんだ。・・・だから、戦が嫌いなんだと思うよ」
「・・・・・・・・」
葵の言葉はもう泣きそうな声で、従兄として一番今の葵を見るのは少々辛い・・・・・———。
「・・・葵、お前のせいじゃねぇよ」
「——!!」
泣きそうな葵を政宗は優しく抱く。
政宗にとって精一杯だった。
「まさ・・・む・・・・・・・ね?」
「・・・俺は、プライドなんて考えたこともねぇよ」
「!!、う・・・・そ?」
「・・・・嘘じゃねぇ。俺はこの国の民や部下達・・・葵の笑顔を見たいために戦に出てるんだ」
「——!!!!」
笑顔・・・・・———。
あまり笑顔を見せない葵にとってその言葉は、懐かしく優しい物だ・・・・・・・———。
「・・・葵、俺はお前が傷ついたのは悪いと思っている。だが・・・・小十郎はお前や俺のせいじゃないって言ったぜ」
「・・・・小十郎・・が?」
政宗の顔色を見るように、葵は顔を上げた。
政宗は少し微笑んで頷く。
「小十郎だけじゃねぇ・・・部下達も思っている事だ。だから葵は、プライドなんかに戦に行かなくていいんだぜ」
「・・・・・政宗」
葵はゴシゴシと目をこする。
「・・・・ありがとう」
「——っ!!///」
あまり笑顔を見せない葵は素直な子供のように笑った後、安心したのかそのまま寝てしまった。
政宗は少しため息をつける。
「・・・可愛い顔しやがって」
そう言った後、葵が起きないように・・・・・・・———。
チュッ・・・・・・———。
政宗は葵の額に優しい「Kiss」をした・・・・・・———。
其の五拾四刀 安心の笑顔