二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.533 )
- 日時: 2010/04/17 15:50
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
「ハァ・・・・・ハァ・・・・」
葵は少しずつ治ってきた傷口を抑えた。
だが、痛みは取れない。
少し息切れがあるが、葵は政宗の所に間に合わせるように走った。
葵は一旦、北条の馬小屋へ入る。
もちろん敵にばれないように隠れると言うのもあるが、葵の狙いは違った。
それは、移動手段である馬だ。
馬があればすぐさま政宗に会えると考えて馬小屋に来たのだ。
だが・・・・・・・・・・———。
「——!・・・馬が・・無い」
伊達軍を追う軍隊が馬を全部使ったのかガランとしていた。
葵は少し悔しそうにギリッと歯音をたてた。
少しそこにただずんだ後、入り口近くに行くと・・・・・・・・・・・・・・———。
「北条家の栄光か・・・・。そんなものの為に、国は動かんぞ」
「——!あれは・・・!」
葵は警戒をしながら、入り口近くにただずんでいた武将を見た。
幸村のように赤く、愛用の武器である斧を見て葵はすぐに分かる。
・・・・・・武田・・信玄・・!——。
武田の騎馬隊や「啄木鳥の戦法」を編み出したとされている武田信玄だった。
調度良く、信玄は葵の方へ向いた。
「む・・・・お主は・・」
信玄は少し驚いた声で言うが、さすがは武田の総大将。
微動など表情に出さなかった。
「・・・お主は「奥州の白虎」と言われている者じゃな?」
「——!」
一旦、葵の思考は停止する。
いや、驚いてしまったのだ。
見ただけでは、人はその人が噂の人とは分からない。
だが、信玄は一瞬で分かったのだ。
「・・・・そうですが、何か?」
警戒しながら、葵は敬語で言う。
「幸村の言った通り、同じ容姿の武将とは少し驚いてしまったのぅ」
信玄はそう言うが、驚いているようには見えなかった。
信玄は続けて言う。
「お主は何故、ここにいるのじゃ?伊達の小童と一緒ではないのか?」
「・・・一緒ではありません。私は・・・・誘拐されてここの牢屋にいました」
「ふむ・・・・なるほど」
少しの説明を聞いただけで、信玄は分かった。
葵は未だに警戒を解けないまま、辺りを見渡す。
馬・・・・!!——。
信玄の後ろに二匹の馬がいた。
「・・・武田信玄公、お願いがあります」
「なんじゃ?」
「・・・・・その二匹の馬の内、一匹を貸してもらいたい事です」
信玄は少しキョトンとする。
「・・・馬、じゃと?」
「・・・はい、まさ・・いえ、伊達政宗様の所に行かなくてはならないのです」
葵は力強く信玄の姿を瞳に捕らえていた。
信玄は何かを探る様に言った。
「その、なくてはならないとは急ぎの用と聞こえるがそうなのじゃな?」
「・・・はい、危ない気配がビンビンと来るのですので」
信玄は少し悩んでいる様な素振りをした。
「・・・・良かろう、使ってよい」
「——!・・・・ありがとうございます、武田信玄公」
許しの承諾を貰った葵はすぐさま馬に乗り込み、小田原城を去った・・・・・・・・・———。
其の九拾五絶 馬に乗り、小田原城去る