二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.577 )
日時: 2010/04/24 13:36
名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)

葵の震えは少しも止まらなかった。
その震えを幸村は見た。
自分よりも強い・・・・葵殿が・・・・——。
「・・・・興醒めだ小十郎、葵」
「・・・そうですね」
「・・・・・・・・」
小十郎と政宗は葵の震えに気が付かないまま戻ろうとする。
葵は未だに震えながらそこにいた。
政宗は葵が来ないのに気が付き声をかける。
「葵、奥州に帰るぞ?」
「・・・・・・分かった、少しここにいさせて」
「・・・お前・・!」
今更震えているのに気が付く政宗。
近寄ろうとしたが・・・・・・・・・・・———。
「・・・・・大丈夫、心配しないで・・!」
「——!!」
葵の言葉に少し拒絶の声があった。
その声は・・・・まるで・・・・・・・———。

 ——“『妾を心配するでない・・・化け物・・!』”——

政宗の脳裏に、母親の義姫が言った言葉が浮かんだ。
拒絶された時の心の痛みは、政宗が一番知っている。
「——ッ・・・・・分かった」
そう言って、政宗は戻って行った。
その光景を見た真田主従はその場にいて良いか分からない。
「・・・・葵殿」
「・・・旦那、ここはひとまず一人にしとこう」
幸村は佐助の言葉を聞いて頷いた後、葵を見るがすぐに前に戻し馬を走らせた。
一人残された葵は体育座りでうずくまる。
・・・・死ぬのは・・怖い・・・・——。
政宗の為ならば死んでも良いと思っていたが、織田信長を見て恐怖が葵の心を包む。
その時・・・・・・・・・・・———。

 ——“葵、君は・・・織田信長を見てどう思った・・・?”——

「——!・・・・死ぬのが嫌になった」
謎の声に話しかけられた言葉を返す。
謎の声はため息をつけた。

 ——“どうやら・・・・こんな事を見せなきゃならないようだね・・・・”——

「・・・・・・?」
葵は疑問に思ったのだが・・・・・・・・・———。
ズキンッ・・・・・・・・・・———。
「——痛ッ!!」
頭が痛み出して気持ち悪い。
そして・・・・何かが脳裏に入ってきた。

 ——“『葵・・・逃げなさい』”——

聞いた事のある声で、いつも優しくしてくれた人・・・それは・・・・母・・・——。

 ——“『葵・・・強く・・・華麗に・・・綺麗な私の可愛い娘・・・』”——

父と一緒に笑いあっていた家族・・・・・・・・・———。

 ——“『・・・すまない、君と両親は罪がないのに』”——

あの日、両親の命が消えた・・・・・・・・・———。

 ——“『君は・・・この事を覚えない方が良い』”——

自分と弁丸の目の前で両親は・・・・血の海に・・・・・———。

 ——“『君は何も見なかった・・・。そして、君の友達も・・・』”——

知らない人から・・・・記憶を消された・・・・・・・———。

「僕は・・・・・——!」
思い出した・・・・両親の最後を・・・・・・——。
この時、葵は何かを忘れていたのに気が付いた・・・・・・・・・・・———。

其の壱百弐実 思い出す“何か”