二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【月に誓う…〜記憶を追い続けて〜】 ( No.620 )
- 日時: 2010/04/29 18:09
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
「わぁ・・・・綺麗!」
咲は今着ている着物を見て言った。
数分前、咲は葵と政宗の後に付いて行き米沢城に着いた。
その時、事情も知らない小十郎たちは咲を見て驚いた。
政宗はため息をし、数分ぐらい説得し何とか納得させたのだ。
その後は政宗の命令で咲に着物を着させるよう侍女の一人が指示された。
指示された侍女は明るく咲に言う。
「本当ですわ!咲様は何でもお似合いそうですわ!」
咲はそれを聞いて苦笑する。
咲は少し思い出して侍女に言う。
「あ・・・あの、葵さんは何処に・・・?」
咲はこの着物を着る前に、葵から名前を聞いたのだ。
葵は「苗字は嫌いだから、名前で良い・・・」と言ってスタコラといなくなってしまったのだ。
侍女は少し咲に待つよう言って部屋から出る。
一人になった咲は部屋を見回した。
小さい女の子が住むような部屋だ。
昔、誰かが使っていた部屋なのだろう。
それ位立派で綺麗に掃除されていた。
少し正座をして待つ。
畳の匂いが自然とする。
天然の物を使っているのだろうか・・・。
「咲様、葵様の場所が分かりましたわ」
ガラッとゆっくり開けて咲に向かい言う。
「何処でしょうか・・・?」
「どうやら今日は、裏庭の椿を見ているそうですよ」
「!、分かりました。ありがとうございます」
ペコリとお辞儀をして部屋を出た・・・・・・・・・・———。
☆****☆
「椿・・・か」
昔の幼い頃を思い出して呟いた。
葵の母親は椿が大好きで、よく髪飾りとかで作ってくれたほどだ。
母親の事はよく知らないのだが、その思い出は一番強く覚えている。
葵も椿が好きだったが、あの日から椿は嫌いになった。
理由は真っ赤な血の海のあの日に一輪の椿があったからだ。
母上・・・・・自分は・・葵は・・椿が嫌いです・・・——。
幼い頃の自分は椿が好きでしょうがないけれども、今は好きじゃない。
それは・・・・故に・・心の傷が深いからだろうか・・・?——。
スッと瞼を閉じた。
少し震えているのが分かる。
だが、あの時よりはまだゆるい震え・・・。
「——葵さん!」
「——!」
後ろから声が聞こえて葵はすぐさま瞼を開いて振り返る。
「ここにいたんですか」
ニコッと咲は笑って来た。
その時・・・・・・・・・・・・———。
——“「ここにいたのね、奏牙」”——
「——・・・・ッ」
咲の笑顔が葵の母親に被る。
今のは・・・・母上・・・・!——。
「だ、大丈夫ですか!?」
葵が行き成り苦しい顔をしたのに気が付いて近寄る。
「大丈夫・・・いつもの事だから」
咲は少し心配したが、葵が言う為あまり慌てないようにする。
咲は葵が見ていた椿を見た。
「椿って綺麗ですね。葵さんは椿が好きなんですか?」
「・・・昔は好きだったよ」
「えっ・・・?」
咲は“好きだった”と言う言葉に引っ掛かる。
言葉が過去形だからだ。
だが、咲はそれ以上言わなかった。
何故なら・・・・葵の瞳には少し悲しい色が浮かんでいたからだった・・・・・・・・・・・———。
其の壱百八若 好きだった椿