二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 参照1900!皆に感謝! ( No.789 )
- 日時: 2010/06/09 18:50
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 8keOW9sU)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
☆番外編8 〜関係〜 ☆
「——政宗、少し話があるんだけど・・・」
「ah?」
女装からまた普通に着替えた葵が政宗に話しかけた。(其の壱百弐拾八北>>759参照)
政宗は少し疑問に思ったが、適当に返事をして葵を部屋へと入れる。
「なんだ?・・・少しの話って」
「・・・僕の・・——両親についての話」
「!!・・・」
今日政宗は言った話でいっぱいいっぱいなのだが、葵は覚悟していた。
政宗は少し苦痛な顔をして髪をクシャクシャにする。
「葵・・・その話は後にしねぇか?今日はいっぱい話したし、頭が混乱するぞ?」
「分かっている・・・。けど、それだけは教えてほしいんだ・・・——心のモヤが晴れなさそうだから」
「・・・〜っ!・・・分かった」
葵の言葉に観念したのか政宗はコホンと咳をして言う。
「ただし俺が知っている所までだ。・・・本当かどうかは知らねぇが、話すぞ?Are you OK?」
「・・・・・・・・・・」
少し間を開けてコクンと葵は頷いた。
政宗はその姿を見た後、真剣な眼差しで言う。
「何故、俺と葵が兄妹だと隠していたのかはよく知らない。だが、父上の遺言に少し載っていた。もちろん、遺言も十六の時で見つけたものだがな。・・・『政宗と葵、二人で伊達家をのし上げれる者。兄妹と知るのは私がこの世にいなくなってからだろう・・。従兄妹と言うものは本当は嘘だ。信じられないのも信じるのも二人次第。何故、この話になるかと言うと私の妻である義姫にバレない為だ。本当はお前達二人は私の妻の子。だが、妻は二人とも自分の子だと知らないのだ。そこで私の弟である神楽春也、まぁ、葵の育ての父親が葵を引き取ると承諾してくれたのだ。そして、従兄妹同士と言う関係になる。・・・血が繋がっているのにな』ってな」
「・・・神楽・・春也」
葵は名を聞いて少し驚いた。
“神楽春也”は伊達家でもっとも権力が高く、唯一全国で認められた大名・・・・。
その子供として葵は育てられたのだ。
「・・・葵」
またショックを受けたのかと心配になった政宗は少し漏らす。
「大丈夫か・・・?」
「・・・大丈夫、心配しないで」
少し心配させたのに葵は気が付き少し引きつった笑顔で返す。
葵は一回瞼を閉じた後、続けて言う。
「・・・それじゃあ、僕は何も知らないまま育ったんだ」
「・・・・・・・・・・・」
政宗は葵に向かって無言で頷いた。
「・・・そう。・・・聞けたから良かったよ、ありがとう」
その笑顔は少し苦しい笑顔だった。
葵はバレないようにさっさと帰ろうとするが・・・・・・・・・・・・———。
ガシッ・・・・・・・・・・・・・・———。
「——・・・政宗・・?」
政宗の手が葵の右手を掴む。
政宗は悲しい瞳を浮かべて言う。
「・・・・・もう、そんな顔をするな。お前は・・・——奥州の竜、伊達政宗の妹なんだからよ」
せめての慰めの言葉なのか分からないが、そんな気持ちが広がる。
葵は一旦少し目を見開くが、政宗を見て言う。
「・・・そうだね。もう僕は弱くないもんね。・・・——政宗の妹だから」
ニコッと笑う顔を見た政宗は手を離す。
「スッキリしたよ、政宗。・・・いや、ありがとう——お兄ちゃん」
「——!・・・あぁ」
何故かその言葉を聞いた政宗の顔に笑みが漏れていた・・・・・・・・・・・・・・———。
(真実がどうなろうと、受け止める。それが義理って言うものだ)