二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 刹那の時間【焔】 ( No.11 )
日時: 2010/02/10 09:02
名前: 秋空 (ID: s6U4FeBy)

BLEACH


〜刹那の時間【焔】〜
第三節「異世界 Part2」


一護達の仲間である者の一人。
数百年前に一護と同族である死神に壊滅させられたクインシーとして,
一護に最初は敵愾心を持っていたが今では良き仲間であるこの男もまた,
一護達と同じく今朝のニュースを見て同じ思考に至り現場へと向かっていた。


雨竜『黒崎達の霊圧が突然!?あいつがそう簡単に死ぬはずが……どうして!!』

霊圧を上げ戦うそぶりさえ見せず消えた一護達の霊圧。
突然の襲撃だったとしても何の抵抗もなく一護たちがやられるのは考え辛かった。
何より死の間際と言うものは魂魄が爆発し霊圧が膨れ上がるのだ。
例え頭や心臓をやられ一瞬で死んでも一瞬の間…しかし,それすらない。
石田雨竜は確信した。


雨竜『戸魂界や虚圏の様な異空間に無理矢理一瞬で引きずり込まれた?』

石田雨竜は思案しながら浦原商店へと赴き浦原に黒崎一護たちの霊圧消滅及び,
異空間に引きずりこまれた可能性の情報を与えた。
浦原は「やはり,黒崎さんの霊圧が消えたのは間違いじゃなかったんスね」と
嘆息交じりに言って織姫たちに浦原商店に来いと電話した。
浦原は自ら経営する駄菓子や急遽閉店させ織姫達との会話に集中できるようにした。

浦原「いやぁ,大変なことになりましたねぇ♪」
茶渡「冗談ではないぞ浦原さん!もしも浦原さんや石田の言うとおり
黒崎達が異空間に行ったのだとしたらどうやって救出するんだ!?」

黒い肌の寡黙そうな大柄の男,茶渡は一護とここに居る者達の中で最も親密な人物だ。
普段は冷静で拳や行動で語るタイプの彼が声をあらけるさまに浦原は驚きしばし言葉を失う。

浦原「………っスねぇ…戸魂界や今,解析の終了した虚圏なら行き様もありますが…」
織姫「黒崎君達が連れてかれたのが虚圏や戸魂界じゃなかったら…」

浦原「現状はすぐにはいけませんね」

この世は幾つかの世界で構成されている。
自ら住む世界以外を異界と呼び戸魂界・現世・虚圏以外にも多くの異界が混在している。
しかし,どれほど世界として密着していても異世界に行くには
その世界へ行くためのプロセスが必要なのだ。世界によってまったく違うプロセス。
それゆえに異世界間同士干渉しあわず混在することなく均衡を保つ。
故に異世界へ行くとなるとそれなりの知識と準備が必要なのだ。

雨竜「すぐにはという事は行く手段はあると?」
浦原「えぇ…異界の扉の霊子のパターンが分れば…ですがね?」

茶渡「今分っているのか?」
浦原「残念ながら…ふぅ,次に相手が動くことを今は信じるしかないっスね」

哀愁を帯びた表情で浦原は嘆息交じりに言った。
一護達を助けれる確立は相手がまた現世及び戸魂界…
自らの知る土地に来てもらわなくては話にならない。
更にそれは第一段階でしかない。
賭けの様な話だ。そう,浦原とて鬼ではない。
一護やルキアと関係を持ちそれなりの感情を持っている。
できるなら…生きていると願い助けたい。


茶渡「結局,賭けか」
織姫「そんな」

浦原「……まったく,世話を焼かす弟子っス」

ダァン!!

その浦原の表情を見て雨竜は目を反らせた。
周りの会話は途絶えた。静寂がよぎる。みな,気まずそうな顔だ。
そこにタイミングを見計らったかのように障子扉が開く。
障子を開いた主は夜一だった。
この日は暇だったらしく先程まで戸魂界の砕蜂の所に行ってたのだ。

夜一「今帰ったぞぉ喜助ぇ!!」

浦原「あれ?今日は一日あっち居るって…早かったっスねぇ」
夜一「何じゃどいつもこいつも辛気臭い顔じゃの?着ちゃ悪かったか?」

夜一は周りを見回し喜助に問う。
普段居ないはずの雨竜達が居る事は彼女のおおらかさで無視したようだ。

浦原「いや,そうは言わないっスけど……早いなって(汗」

喜助はおされ気味にしどろもどろに答える。
それをみて夜一はふざけることもなく真剣な表情で言う。


夜一「実はの……今日,隊首会中更木・涅・朽木の三名の隊長が行方不明になったんじゃ…」


周りがざわつく。
三人の隊長が消えたと言うのだ。
当然だ。しかし,訳が分らず質問のしようも無かった。
時間を待ち夜一がどのように消えたかと言う話を始める。

茶渡「突然,暗闇が襲い聴覚と視覚・霊圧知覚が奪われ闇が晴れたころにはその三人は居なかった」
喜助「雲をつかむような話っスね」


突然,一日のうちに怪異が連発して起こり少々頭がついていかない面々だった。


____________________


その頃,護廷は一旦隊長達が隊舎へと戻って平常業務を行っていた。
浮竹と山本・卯の花・京楽の四名は一番隊隊長室で例の事件について答案している。

浮竹「全く…侵入を気づかせないで卍解なんて出来るのか?」
山本「不可能じゃ…いかに東仙が霊圧消去の達人とは言え卍解の瞬間には巨大な霊圧が発される。
それをわし等隊長が気付かぬはずがない。それどころか唯の隊士すら普通なら気付く筈じゃ」

京楽「そもそも,あの一瞬の間に3人も異世界に引き摺り込むなり拉致するなり出来る奴が,
何で僕等全員をやらなかったのかも謎だよ…何か少しずつやっていく理由でも有るのかな?」

京楽たちは全く分らないといった風情で思案げだ。
突然のあの空間…消失した3人の隊長…可笑しなことだらけだからだ。

山本「ふむ,全く事態が分らぬ以上もう少し事態が進展せぬと手の打ち様もないの」

山本は嘆息する様に言う。
事態が進むかどうかも分らない。
これで事件は終り隊長三名が永遠に帰ってこないと言うのもありえる。
鬱々とした空気が一番隊隊長職務室を包んだ。


________

(七番隊)

狛村は隊首会の時に起こった親友の卍解とそっくりの空間に動揺していた。
故に,八番隊側を迂回するように歩き頭をリフレッシュさせて今隊舎に到着した。
射場と…ソファに親友東仙の副官でありこれも友である檜佐木が座っている。

ガラガラ…射場「今帰りやしたか隊長!」
狛村「うむ,少し遅くなった。餌をやらねば」

射場「余り帰りが遅かったですからワシがやっとったです」
狛村「そうか…」

狛村はペットとして犬を飼っている。
異常事態や急用の時意外はほぼ全て自分が世話をしている。
隊長として忙しい身でペット一匹養うのは以外に大変な事だ。
隊長格だ。ペットの2匹や3匹…否,100匹居ても金には困らないが時間が少ない。
隊長になる前から飼っていたペットだが隊長になって大変になったと狛村は思う。
餌を与えてくれた射場に感謝し頭を卸す。

修兵「狛村隊長……何かあったんですか?」


ソファの上でくつろいでいる黒髪のボザボサ頭の男が振り向き問う。
狛村は何も無かったという風情だ。
檜佐木は食い下がる。


狛村「何も無かった」
修兵「嘘です!実直ゆえに貴方の嘘は分りやすい。今貴方は心の中で迷っている」

狛村「長年付き合っていると隠し事もできんな」
修兵「俺は見ました…隊首会をやっている場所に東仙さんの卍解そっくりな物が有るのを…」

射場「実は何人か目撃しとるみたいです」


狛村は観念したように言う。
そして,檜佐木が自分の中にある疑念を吐露する。補うように射場も続く。
次の瞬間だった。


ドクン___狛村「これは!?」


またもやあの闇の空間が現れる。
空間が現れた時間は数瞬…そして空間は砕け散る。
そこには狛村と射場の姿が無くなっていた。


修兵「なっ?射場さん!!?狛村隊長!!?」


修兵は必死に叫ぶが声は木霊するだけだった。
                                          END

NEXT⇒第四節「護廷十三隊動く」へ